『先生のたまご』は学校を舞台にした漫画。タイトルにあるように先生がメインでして、新米教師、国分寺たまこ先生と同僚、というか先輩か、たちのちょっとお気楽で、楽しそうな日々の情景描いて、すごくほのぼの。職業ものとして読むには、あんまりにほのぼので、楽しすぎる、そんな気もするのですが、この雰囲気は嫌いじゃないです。実際、教師といったら厳しい世間の目にさらされて、激務も激務、大変そう、そんな印象があるんですけども、そうだからこそかな、たまこ先生たちの肩の力の抜けた仕事ぶり、っていうかあんまり仕事仕事してない漫画ですけど、それがいいなって思ってしまうのですね。
仕事仕事していない、それはこの漫画が、たまこ先生 — 、たまご先生って呼ばれているんですが、まだ新米で、それにちょっとドジっこのたまご先生、この人の小動物的可愛さを愛で、ちょこまかと動く、その様に面白さを見いだそう。そうした傾向があるからだと思っています。先輩の化野先生、保取先生、ちょっと無茶しちゃうふたりに引き回されたり、振り回されたり、って、振り回されてるのは、数木先生のような気もしますが、仕事の合間の息抜き遊びや学校行事、体育祭文化祭がメイン、職業上の悩みみたいなのもまず描かれないから、気楽に読める、楽しく読めるということにかけては抜群であると思うのです。
しかし、みなでこうして職場にて楽しそうにしている、それがすごくいいじゃありませんか。シビアな局面、それがないからっていうのもありそうですけど、生徒ともなんだかんだ仲良くやっててさ、実習生とも楽しくやっててさ、生徒は教師を大目に見、教師も生徒を大目に見、そんな具合に互いにしかたないねと許しあっているような感じ。ほのぼのの正体はこうした関係、環境に支えられているところ、そこにあるのかも知れません。修学旅行や体力測定の回なんかでは、楽をしたがる先生たちを対策する、そんなところも描かれるんですけど、それにしても強権的にいうことを聞かせるなんて雰囲気は皆無にして、やんわりと釘をさしている、そんな具合であるものだから、やっぱりね、そういう人たちだと理解して、うまく処遇している。この気の利かせかた、心地がいいなって思わされるのですね。
ほのぼのと心地よく、気を張らずに読める漫画。こういうのはやっぱりいい。しみじみ心に沁みてくる、そんな楽しさが素敵です。
- みなづき忍『先生のたまご』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
- 以下続刊
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