2009年7月3日金曜日

けいおん!

 関西での『けいおん!』の放送が終了しました。ああ、バットとグローブ買ってくるか……、嘘ですけど。とりあえず今後の買い物は、CDとバンドスコアと、それからBlu-ray Discとその再生機ってところでしょうか。Blu-ray / DVDとミニアルバムの連動キャンペーンとやらは、応募だけはしてみるけどきっとはずれるだろうし、でもまあいいや、なんでもかんでも手に入るって考えがもう間違ってるんだ。そもそも、昔は欲しくても手にできないなんてことが普通で、Blu-rayやらDVD、まあ昔ならレコードやCD、LDとかになりますか、ソフトは買った、けどプレイヤーがないから、友人に頼んでテープにコピーしてもらう、なんてこともありましたっけね、とちょっと昔ばなし。でも、今はコピー防止技術が発達しちゃってるから、Blu-rayからコピーとかできないんだね。なんか時代はどんどん厳しくなっていっちゃってるなあ。なんてことを思ったりして、けれどこれも関係ない話ですね。

さて、アニメ終わりまして、途中、第6話「学園祭!」の演出意図がわかんないとか、いろいろ思ったりしたことも懐かしい。けど、あれって、山場となるライブシーンを前半後半に二度置くことで、最終回「軽音!」が弱くなってはいけない、そういう配慮だったのかも知れないな、なんて思っています。ハードディスクに録りためた『けいおん!』を第1話から見返した時のこと、第9話「新入部員!」で梓が泣いてしまうところとか、第1話のリフレインのように感じたんです。泣いた理由こそ違うけど、軽音部でやっていけないかも知れない、やめよう、そういおうとする場面で泣いて、それに皆が演奏で応えてくれるという、そういう流れに1年目と共通するものを感じてしまったんですね。

思えば、「新入部員!」、「また合宿!」、それから「ピンチ!」の前半は「楽器!」でしょうかね、ちょっと1年目をなぞっている、そんな風に思わせる2年目でした。けれど、年中行事のようにめぐってくる出来事、それは去年のものと似ているようでも違っている、そんな、かけがえのない特別な出来事であるんだよ、そうしたことも感じさせてくれようとしていた、そんな風に感じるんですね。だから、最終回、2度目の文化祭。1年目でたくさんの人が期待していた舞台の描写を、あえて肩透かしを食わせても2年目に集中させた。もし、これが各回1時間とかだったら、初舞台と、2年目の舞台の違いも描けたのかも知れないけれど、短い尺での表現で、見るからに1年目とは違った2年目を演出したかったんだろうなって思った。原作では、酷い演奏だったってことにして、1年目との差別化をはかったところを、アニメではハプニングを加え、けれどそれがよりクライマックスに気持ちを集中させる、そんな効果を担ってた。第1回の冒頭のリフレイン、昔の自分に語りかけるモノローグを被せて、ああ、おっさんはああいうのに実に弱い。泣くって、いや、もう、泣くって。ライブシーンの、これ評判悪かったみたいだけど、歌ってる顔が変な顔になっちゃってるところとか、もう一生懸命歌ってるって感じがして、すごくよかった。曲が終わって、紬が沈黙を破って鍵盤を弾きはじめる、あの表情もすごくよかった。いや、もう、泣くって、泣くから。

番外編の「冬の日!」、これはこれまで以上に原作の雰囲気からも、それからアニメの雰囲気からもはずれていて、あの彩度が低いといったらいいのかな、くすんだ色合いで淡々と描写される彼女らひとりひとりの暮らしの表情。なんか危うい感じもあって、けれどそれが後半にすっと抜ける。時間はどんどん過ぎるし、立ちどまってなんていられないけれども、それでも落ち着ける場所はある/あった、そこには気を許しあえる友人がいたんだっていう感じ、ちょっと忘れていた感じ、とてもよかったと思っていて、けれどこの落ち着いたなんて表現では追い付かないような暗さ、普段はにぎやかなの作ってるからか、こういうのやりたくなっちゃうのかなって思って、けれど面白かった。番外じゃないとできない、だからこそといった気持ちが感じられるようでよかったと思います。思いますが、でもなんか見ててさみしくなっちゃうんだよな。最終話「軽音!」の盛り上がりを一気にクールダウンさせて日常に引き戻す、そんな感覚を味わいました。

さて、音楽を扱った『けいおん!』、それゆえに楽しかった、そんな風にも思います。やっぱり、音楽っていいね。っていう私の一番好きな回は「クリスマス!」でした。あれは楽しかった。あの回には見どころがいっぱいで、打合せでプレゼント交換の話が出たところ、やろうやろうという唯を見て、紬がまったく同じに追従するんだけど、その時の顔がちょっと変になっちゃってて、それがもう本当に嬉しそうで最高だった。ああいう顔、『三者三葉』でむかし出てきたような覚えがあるんだけど、どうもこういう表情私は好きみたいで、いや違う『きつねさんに化かされたい!』だっけか? まあいいや、好きなんだ。で、さわちゃん先生の歌う『ジングルベル』。ジングルベール、ほい。ジングルベール、いえー。最高だ。

とまあ、まだまだいいたりない気分だけど、そうした気分もいずれ思い出になっていくのでしょう。三ヶ月の間、『けいおん!』があったおかげで楽しかった。HDRの威力を思い知り、そしてテレビはアナログからデジタルに。激動のようでした。まだ、BS-TBSでの放送は残っているけれど、それが終わったら、本当に思い出かなあ。でもそれでもいい。三ヶ月間、すごく楽しかった。この楽しい気持ちが薄れていくのはさみしいけれど、それでも楽しかったという思い出はずっと残るのではないか、そのように思います。

あ、一応ことわっとくけど、原作は原作で好きなので、これからも楽しみに連載を追っていきますよー。でもこういう感想が出るあたり、私はアニメと原作を、まったく違うものとして楽しんでいるみたいです。

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2 件のコメント:

らぷとん さんのコメント...

アニメの「けいおん!」は私が久々にちゃんと見たアニメでした。
アニメ化の話を知った時は、「どうしてこの作品が?」と思っていましたし、きららで出てくる情報(アニメ版のイラスト)を見てもさほど興味も無かったのですが。不思議なものです。

さて、感想といいますか考察を読んでいて「なるほど」と感じたところがいろいろとありました。
第6話の演出意図や第9話のお話についてなどなど。自分はそこまで考えていませんでした。

第12話は原作とはまるで異なる展開にして、きちんと盛り上げたりしんみりさせるお話だったのがとても印象的です。
私も唯がギターを取りに戻る場面(特にモノローグ)で涙しそうになりましたし。唯もちゃんと考えているんだな、とか成長したんだなと思ったものです。

番外編は、個人的には全体的に淡々とした感じを受けました。ハラハラさせる場面もありましたけど。
あと冬独特の、弱くて鈍い光の色合いに思わず見入ってしまったり。

私はアニメは殆ど見ないので、アニメ版「けいおん!」がブームになった理由は良く分かりません。
京アニが手掛けたから、とも言われますが、あいにく他の作品は見ていませんので比較できませんし。
アニメに関わった人たちの、色々な不思議な力や縁がかみ合ったから……と私は思いますが、如何に。ある意味奇跡が生んだマジックだったのかもしれません。

長々と失礼しました。さて、私もBlu-rayプレイヤーが欲しくなってしまいましたね……(笑)。

matsuyuki さんのコメント...

> アニメ化の話を知った時は、「どうしてこの作品が?」と思っていましたし、きららで出てくる情報(アニメ版のイラスト)を見てもさほど興味も無かったのですが。

ああ、それは私も同じです。アニメ化って聞いた時は、またまたー、騙そうったってそうはいきませんよ、って、ほんとかよ! うへーっ、って感じで驚きましたし、雑誌に載る情報も、ぱっぱとパスしてたくらいです。実際、あまり褒められないやりかたで試聴した予告編、あれがなければ見てなかったですね。

演出意図のうんぬんは、そこまで考えたというよりも、それくらい何度も見てるってことなんだろうと思います。「クリスマス!」はちょっと見すぎたくらいに見ました。「特訓!」の冒頭の、ギターの弦ってこわいよねー、っていうしゃべり方、「合宿!」の冒頭の、律ちゃん、おいすー、の響き、もう耳にしっかり残ってる。それくらい見たんですね。はっきりいって、あほかとばかかと。

アニメがブームになったっていう理由、それは私もわからんですね。あの京都アニメーションが! というような受け取られかたも、え!? どの!? って感じでよくわかりませんし、けど、実際、こうして当たって、それはやっぱり作り手の方々の力あってのものであるんだろうなと思うんですね。いい風が吹いたのかもは知れませんが、風をとらえるのはやっぱり船を動かす水夫なんですから。

アニメの放送が終わって、だんだんに落ち着いていく、そんな状況が感じられて、ちょっとさみしいです。でも、しんみりとBlu-rayで振り返るのもいいかなと。いうことで、いつどこに注文するか、そのタイミングをはかるだけといった状況です。