2009年7月5日日曜日

『まんがタウン』2009年8月号

『まんがタウン』、昨日発売です。5日発売のところ、今月は日曜日ということで、前日に前倒しされたのであります。しかし、ついこのあいだ7月号で書いたと思ったところなのに、もう8月号。時間は驚くほどの速さで過ぎていきます。

うちの大家族』は大吾がひどい落ち要因として定着しちゃっていて、いや、気持ちはわからんでもない、わからんでもないけど、みゆ美、もう本当に惨いな……。それはそうと、娘から父への素朴な評価、それであんなに喜んでしまうあの人は、日頃どんだけそうした感謝に飢えているんだろうと思って、けどこの人がそうであるように、大吾にとってもそんな日がいつかくればいいなと、そんなことを思ったりする話でした。

そんな2人のMyホーム』は、異常に濃密で異常に閉じられた、そんな感触さえあった都築の父娘関係の基礎を築いたエピソードの、娘のがわからの心情が描かれて、そしてついにこの娘はその昔のしばりから抜けようというのですね。正直な話、この漫画のはじまった当初の雰囲気からは、こんなシリアスな話に展開するなんて思ってなかった。しかし、このシリアスを抜けたとき、そこにはどんな展望がひらかれるんでしょうか。それが楽しみであります。

『ちっちゃいナース』、私にとってのヒロインはやっぱり洋子であるのか。この作者の描く絵の、あのスラリと伸びた手足の魅力とでもいいましょうか、それはこの洋子というキャラクターに顕著であるように思われます。まあ、今回はどう見ても手足とかスラリとか関係ありませんが。しかし、眼鏡はいいものだけど、やっぱりかけると煩わしい。目が疲れるし、光量落ちるし、重いし。あれは自分がするものではなくて、人のしているところを眺める、そうしたものだと思います。

『天下無双!恋メガネ』、ひどいインタビューの話。実際、いってる言葉をそのまま使っても、編集ひとつで違う印象を作れたりするっていう、そうした話と、自分のやっていることを認めてくれている人がいる、それだけで頑張れる、そうした話が裏表になってる回でした。いずれも、きちんと見てくれている人がいる、それはなんと嬉しくありがたいことなのだろう、そういうことがテーマになっているのかと感じました。そういえば、この漫画はつねにそういう、その人のらしさをきちんと見よう、そうした意識がどこか底のほうに置かれているように思います。だから、私はこの漫画が好き、よいと思うのかも知れません。

三色だんご』は、ミーハーなでしこの真骨頂だと思う。トイレが見つかった!! とかまずい! フロが見つかった! とか。馬鹿馬鹿しくてしかたがないけど、好みっていうのはあるものなあ。なでしこ好み、でもこれは市川さんの好みでもあったんじゃないのか? 似た者同志でいいじゃんか。お別れパーティーのにぎやかさと、パーティーが一段落ついて、なでしこと妹よもぎ、なでしこと市川さんが語らうシーン、感じられる互いの距離感みたいなものがいいなと。ちょっとライバルでもある姉妹、そして悶着ありながらもどこかつながっているふたり。いいなと思いました。

『70's 愛ライフ』、シャービックは覚えてる! っていうか、まだ売ってるのか。偉大だなあ。カルピスの濃度については、もう定番の話ですね。フルーツカルピスは、なんだか特別な感じで、私は好きでした。その存在が特別でよかったんでしょうね。ところで、フルーチェって牛乳使わないと固まらないことないですか? たまごアイスはほとんど記憶にないです。かき氷器はうちにもありました。うちのは電動だったなあ。さすがにもう残ってないと思います。

『ほほかベーカリー』に新人がはいって、意外。今回はまだ顔見せ、こんなキャラクターですっていう紹介みたいなものだから、動くのは次回かな、どうなるんだろう、ちょっと楽しみです。『りさいくるくる繁盛記』の、2コマ目で壊してしまう姉の思考は、ちょっと参考になる。そうか、機械ないし道具の稼動範囲というものを理解しないか過大に評価して、考えなしに動かすから壊れるんだな。いやね、その人がいるだけで故障品が増えるっていう現象が職場であるんです。そうか、このお姉さんみたいな思考で道具に対してるんだな。参考になります。

光の大社員』、ゲリラでゴリラを思い付いてゴリラ豪雨はよくある発想だけど、それがこういう絵になるとよりいっそう面白くなるんだから不思議です。この人のネタは、そんなに突飛ではないけれど、絵での見せ方がうまいんだと思う。ああいうのだ!! ああいうので掃除するんだ!! とか、なんで面白いのかわからないけど面白いですから。不思議な作風だと思います。

『だめよめにっき』、シェフ!? シェフ!!

『龍天寺夫妻の生活』、自作のポエムを贈るのは、まさに時代というものでしょうか。意中の人からだと、気持ちわるくはないのかも知れない。けど、一郎さんは、結果的にはよかったのかも知れません。愛されているなあ。けど、この優子さんがどう老いるか、それもまた未知数だから、なんてことをいっている人は基本的にもてません。

『ママのお気に入り!』、ゲストなのかな? 旦那に対する仕打ちが酷くて、なんだか読んでて辛いです。でも、現実にこんな家庭もままありそうだから、 — そう考えるとなおさらつらいな……。

『よせ☆あげ』のラバーカップの話、現実にそれをする、もしくは同様の発想で作られた豊胸器は存在するそうですが、はたしてそんなんで本当に効くのか……。人間の身体ってそんなに単純なものとは思えないんだけど、どうなんでしょう。なんどもいうけど、胸なんて別にそんなに必要なものとは思えないだけど、やっぱり重要なんでしょうか。以前、ジェーン・バーキンが自分の胸が小さいことをコンプレックスに思っているっていっていて、へー、ヨーロッパでもそうなんだって思ったんですね。いや、でもほんと、大きさなんてどうでもいいのよ。

『子供失格』は、不幸な子供が増えた! きっと、よりシビアな女性視点からのシニカルさを展開するつもりなんだろうな。ちょっと楽しそう。那良江の妹計画がなんともいえないひねくれかたで、けど、これはこれでありなのか? 友人は、現実の妹に絶望して、シスプリに理想の妹を探すはめに陥ってました。私は弟だけど長男だから、次男の気持ちはわからない。古い家庭だと、親の目が長男である弟に向かっているさみしさとか、あるいは男ふたりの場合なら、常にスペアであり続ける弟のさみしさとか、そういうのもあるのかも知れませんね。子供は、親の興味が兄弟の誰に注がれるか、敏感に反応するから、こういうものは意識的無意識的問わず、むごいことになりかねない、そんなことを思います。

『みねちゃんぷるー』、富士野家の夫婦のありかた、複雑でけれどラブラブ。愛のかたちはいろいろだ。素直でないおかあさん、なんか可愛い。両親が仲良いというのは、なによりだと思います。こうした、素直な仕合せさが感じられるところ、とてもいいなと思っています。

  • 『まんがタウン』第10巻第8号(2009年8月号)

引用

  • 山田まりお「三色だんご」,『まんがタウン』第10巻第8号(2009年8月号),67頁。
  • ÖYSTER「光の大社員」,同前,110頁。

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