私は岩崎宏美が好きで、というのは、前にもいってましたよね。『聖母たちのララバイ』、子供の時分、この歌が好きで、また歌っている人、岩崎宏美にも憧れていた、そんな話でしたっけ。そして今、岩崎宏美熱、再燃です。NHKの歌謡ショーでこの人の歌を聴いて、ああ、やっぱり素敵だと思って、Blogに書くために、『聖母』のはいっているアルバムを調べていたら、もうなんだか堪らなくなってしまって、PRAHA買ってしまって、しかもDVD付きの限定版。で、DVD見たら、岩崎さんがもうお美しくて、素敵で、可愛くて。堪らんね。かくしてその勢いのままに、Dear Friends IVも買っちゃったってわけです。
Dear Friendsはカバーアルバム、すなわち岩崎宏美が他アーティストの持ち歌を歌うという、そんな趣向であるのですね。この度、私が買ったのはDear Friends IVだから、その四枚目。しかし、それがもう素晴しい。たくさんある歌から、特にこれというものをピックアップしていらっしゃるのでしょう。耳に馴染みのある曲、有名曲から定番、名曲といえるようなものまで実に多彩で、またそれを歌う岩崎宏美のうまいこと。この人が上手というのは、いまさらいうまでもないことでありますが、それでもいわずにはいられないほどに上手。全体に落ち着いたテンポで歌われる、そのどれもがまた新しい魅力を引き出されて、それは曲の魅力と岩崎宏美の魅力との相乗作用によるものなのでしょう。聴き覚えのあるという程度だった歌は好きに、好きだった歌はより好きに、こんな具合にどれもが好きのランクを上げた。それくらいに魅力的なのであります。
私がこのアルバムを買おうと思った、そのきっかけとなった曲は、『飾りじゃないのよ涙は』でありました。ご存じ、中森明菜の歌う名曲、作詞作曲は井上陽水であります。これを岩崎宏美が歌っている、その歌唱を試聴してみてですね、フルで聴きたい! そういう気持ちが抑えられないほどに高まったのです。
このアルバムでカバーされた歌は比較的新しいものが多くて、1980年代のものは二曲だけ。テレサ・テンの『別れの予感』と『飾りじゃないのよ涙は』であるのですが、十代のころの私が、テレビの歌番組で耳にして、いい歌だな、かっこいいなあと思っていた、その記憶を呼び覚まされたようなのですね。覚えようとしたこともない、きちんと歌おうとしたこともない、けれどちょっとくらいならくちずさめる、そういう懐しい歌。人が、歌に、音楽に呼び起こされるもの、それは音楽そのものの魅力であるのはもちろんですが、それと同時に、昔、その歌を耳にしていた時代の思い出でもあるのでしょうね。このアルバムは、そうした昔を思い出すきっかけとなって、そしてまた今、この時間を、新たに思い出として刻む、そのよすがとなろうとしています。今の、こうして文字を打っていること、母が気に入って、台所に小さなCDラジカセ持ち込んで聴いている、そうしたことを、いつか思い出す日がくる。懐しく、そして愛おしく、今の日々を思い出す、その時にはきっと岩崎宏美の歌声は優しく私の心に触れて、なによりの慰めとなってくれることでしょう。
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