2008年12月25日木曜日

うらがアルっ!

 『うらがアルっ!』が始まったときはなぜだか変に抵抗してみせて、というのは、見た目小さな女の子が背伸びをするという話、自宅での素の姿が紹介される毎回の扉に現われる、穂咲りあののあまりの無防備な姿に、こういうのを求めておいででしょう? というメッセージを勝手に読み取ったためなんですね。歳のわりに小柄な女の子、外ではしっかり者を演じているけれど、お家だとこんなに幼気なんですよ。アニメ見て、パンツなんかも見せちゃったりして、っていう、それがどうにも気にくわんかったんですね。でも、読んでいるうちに、なんとなく好きになってしまっているというのも、また私にはよくある話で、ええ、今は楽しく読んでおります。そういえば、こないだも同じようなこといってましたね。ほんとう、私にはよくある話なのです。

でも、あんた小さな女の子好きなんじゃないの? ええと、幼女じゃなくって、小柄な女の子ね、っていわれれば、そうですね、好きですよ。それにりあのん、眼鏡かけてるじゃん。って、確かにかけてますね。だからいかにも個人的に大ヒットしそうなキャラクターなのに、それが意外と駄目で、いったいどこがはずしてるのかわからないのだけど、ぐっとこないんだ。確かにかわいいキャラクターだと思うし、絵もすごく引き付けるものがあるのだけど、それがこない。多分これは、あまりにポイントに迫りすぎたために、少しの齟齬が大きく影響してしまった、というやつなのでしょう。

と、ここまで書いて、わかりましたよ。りあのん、不幸度が低いんですよ。なんか、すごく天真爛漫として、すごく仕合せそうで、もう見るほどに幸いになる、そんな印象いっぱいに描かれていて、だから私も目を細めて見てしまうのだけど、その幸い度の高さが私を寄せ付けないのですね。それは、ペットボトルが猫を追い払ってしまうように! あ、いや、あれは効果ないんだっけか。ともあれ、穂咲りあのが私をロックしなかったのは、陰のない、まるで日向のような娘だったからなのですね。それはそれは、見ているだけで暖かにゆるむ。幸いですね。ええ、とても幸いなあたたかさの心地良い漫画なのです。

でも、これだけじゃないんですよね。お家では稚気にあふれ、学校では生徒会に所属する真面目なしっかり者、りあのんのその二面性、ありていにいえば背伸びなんですけどね、それをちゃんとわかっている先輩たちに彼女が囲まれているというところもなんだか楽しくってですね、見ていてすごくほほえましいのです。りあのんが背伸びしているってことは、もうばればれなんだけれど、それでもしっかり者を演じようとするところが可愛い。そして、そんな彼女を見守る上級生たちをとおして、まるで私もりあのんを慈しむような気持ちになって、そうか、この漫画は、直接りあのんを愛でるのではなく、りあのんを愛でる人たちを通じて間接的に可愛さを感じようという、そういう趣向であるのか。愛での共感、そこにこの漫画の楽しみの核があると、そのように感じます。

さて、そんな私が気にいっているのは、ことあるごとに鼻血を出している会長も大変にお気に入りなのですが、それよりもりあののお母さんが素敵であると思います。割と頻繁に怒ってる、けれど娘大好きで、甘々なお母さんです。その母娘関係がなんだかよいなあと、さらに仕合せ感覚を強くしているよなと思う。とりわけ、あーあ… あーあ!?に連なる流れなどは最高だった。ふたりの関係のよさを垣間見るようで、すごくよかったのでした。

  • もんちぃ『うらがアルっ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

引用

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