2006年4月25日火曜日

弦楽四重奏 恋の千年王国

その時々にはやりというのはありまして、あんまりにもその廃れるまでがはやいから自然記憶からも簡単に抜け落ちて、例えばそれはアダージョ1/fゆらぎオルゴール、そして弦楽四重奏。とにかくなにかが流行れば業界というのは売ろう売ろうと躍起になって、まあこういうときにまず出るのはビートルズと相場が決まっていて、弦楽四重奏では松任谷由実なんかも出ました。流行りに背を向けるのが常の私ですからもちろんこうしたものにはまったく関わりを持ってこなかったのですが、ところが一枚だけ持っているものがあります。それはゲーム『ネクストキング』のBGM集。サントラではないのです。ゲームのBGMを弦楽四重奏にアレンジしたアルバムが出るほどに弦楽四重奏は流行ったといったら、その人気、浸透のほどがうかがい知れるんじゃないかと思います。

私は今になって思うのですが、弦楽四重奏のブームというのは結構良心的であったと思うんです。だってね、オルゴールの時なんかはひどかったもの。まっとうなところではちゃんとしたオルゴールを使ったりもしたみたいですが、シンセでやっつけたみたいのもたくさんあったと聞きますし、とにかく音色と雰囲気さえオルゴールなら文句はないだろう、みたいな本当に乱暴なものも散見されて、1/fゆらぎやリラクゼーション、環境ミュージック、癒しの音楽なんて時にもそういった傾向を感じたんですが、本当に、なんかそれっぽいの作って売り抜けちゃえばいいだろうって思ってるんだろうといいたくなるようなものも少なくなかったんです。けれど弦楽四重奏は、少なくともオリジナルの曲を四声部にアレンジして、ちゃんと演奏者を使って録音して、そりゃもちろん急造のカルテットもたくさんあったことでしょうが、それでもシンセやサンプリングでやっつけました、みたいなのに比べたらずいぶんましじゃないかと思ったりして、そして実際そのアレンジもよかったといって、ちょっとした編曲の手本みたいな扱いをされたりもしましたっけね。

『弦楽四重奏 恋の千年王国』にもそうした影があるのです。ゲーム音楽の、時に壮大で、時にユーモラスなBGMを弦楽四重奏に再編して、そしてそれが実によくできているんです。どの曲ももとの雰囲気を壊さず、けれど上品に、けれど勇壮に、そしてそれらはとても弦楽四重奏らしいのです。演奏もなかなかに熱演でして、聞いていると、ゲーム関係なしにいいと思える。仮にゲームを知らなかったとしても、充分にインストゥルメンタルアルバムとして通用する質を確保しています。

このアルバム、1998年にリリースされたのですが、おそろしいことにアマゾンではまだ買えるみたいな表示がされていて、もしそれが本当だったら買いかも知れません。アマゾンは在庫を抱えているのかも知れない。ともあれ、今、ゲーム『ネクストキング』の関連品で普通に買えるのは、もうこの弦楽四重奏アルバムだけではないかと思われます。

ゲームを知っている人ならなおさら、そうでない人にもお勧めできるアルバムで、私は正直サントラよりもこちらの方が好きだったりするのです。

以下参考

プレステ

セガ・サターン

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