『でりつま』ってタイトルはデイリー妻ってことだったのか。さすがにデリバリー妻とは思わなかったけれど(嘘、ちょっと思った)、デイリー妻とは思いませんでした。デリシャスなのかなって思ってましてね、いや、これも大概無理のある解釈であると思います。
『でりつま』は私にとって山名沢湖遭遇となった作品でありまして、これが購読している『まんがタウン・オリジナル』にあらわれたときは衝撃的でありました。異常に可愛い絵柄にシュールな内容。内容のシュールさは絵柄でカバーして、メルヘン? に持ち込んでいるけど、これ、結構シュールだよなあと思っていたら『白のふわふわ』などはその比ではなかった。いや、とにかく、結構衝撃だったのです。
以前からいっていますように、私ははまると既刊を全部買い集めるタイプです。ですが、その時点での既刊は『いちご実験室』一冊で、しかも絶版なんですか? どこにいっても売ってない。いわゆる出版社在庫なしの状態なのですが、これ、絶版とどう違うというのでしょうか。とにかく買えなくて、中古市場とか探すとおそろしい高値で(足下みやがって)、とにかくいろいろ手を尽くして入手がかないませんでした。
お願いですから、講談社さんは『いちご実験室』を増刷してください。いや、本気でお願いしますから。
『でりつま』がよかったと思うのは、現実味が程よくなくなるまでにふわふわに描かれた内容で、読むたびに、こんな夢みたいな感じで生きたいなあという気持ちがじんわりと涌いてくるんですね。決して非現実を追求するような漫画ではなくて、結構現実的な色合いも出しているんですが、メインヒロインのももえさんのズレっぷり、ふわふわ感が効いているのだと思います。ええ、効きます。とにかくいろいろとお疲れ気味の私にはいやになるほど効いて、もう中毒一歩手前というような感じでありましたものね。
でも、多分ヒロインがももえさんひとりだったらこんなにも効かなかったのではないかと思います。ヒロインは三人、ももえさん、すみこさん、たまよさんの、それぞれ性格や色合いを違えた三人が三様にあらわれてきたから、話にも膨らみが出て、私もその膨らみにそっと乗っかることができたのだろうと思うのです。
優しい空間だと思います。優しいというのは、ただひたすらに優しいというのとはちょっと違って、心地よくちょっと刺戟もあって、けどやっぱりくつろげるというような気持ちよさです。ひだまりっぽい。そういう気持ちよさがあふれているというのは、やっぱり作者の人となりであったりするのでしょうか。もしそうなら、私はこれからもきっと山名沢湖を追い続けるだろうと思います。
蛇足
すみこさんですね。すみこさん。ちょっと凛々しい感じのお姉さんって感じで、もうどうしたらええのんっ、て感じになります。
よいですわ。
- 山名沢湖『でりつま』(アクションコミックス) 東京:双葉社,2006年。
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