犬特集は続きます。
元日紹介の『まりといっしょ』に続き、今回もまた宙出版がお送りするたかの宗美漫画です。Amazonでたかの宗美をキーワードにして調べてみるとわかるのですが、結果におけるエメラルドコミックスの比率はかなりのもので、この人の漫画の人気の高さがうかがわれます。
多分この人気を支えているのは、たかの宗美の、一般向けというにはちょっとマニア好きするところや、かといってマニア向けというほどとんがりすぎてもいないという、絶妙の立ち位置なのではないかと思うんです。マニア向けというのも、漫画やアニメのマニアではなく、鳥のマニアなど、とにかく多様な層に働き掛ける懐の広さがあって、それは『ポチの群れ』に関しても同じではないかと思っています。
『ポチの群れ』をはじめて読んだとき、これは他のたかの漫画とはちょっと違うなと、そういう感想が強かった。主人公は中山家に飼われているポチ。淡々としてマイペースで、そんなポチが人間の暮らしを観察し漏らす感想の面白さ。とにかくマイペースで、ちょっとずれていて、それですごく素直なものだから、なんだか目からうろこ的な気分になることもあって、そういうところがこの漫画の面白さなんでしょう。
実際、このポチの視点が人間のものであれば、人生に達観しているといったような印象を与えるんじゃないかと思います。そういえば昔キュニコス(犬儒派)という哲学の一派がありましたっけ。もちろん、ポチの視点は彼らの視点とは違っているんだけど、たまには人の視点から離れてみれば、また違った世界の見え方があるかも知れないと思ったりして、でもまあそこまでいけば考えすぎというものでしょう。この漫画は、もっと気楽に素直な気持ちで読むほうが、絶対いいと思います。
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