NHKでやってた『新選組!』を見ていたときにも思ったことなのですが、ドラマにせよ映画にせよ、あるいは本にせよ、その舞台となった地を知っているかどうかというので面白さは大きく違ってきます。今日読んでいた短編『理心流異聞』もまさにそんな感じで、京都三条大橋についての描写、こんにちでこそ、この家並みの背後には疎水が流れ、土堤には京阪電車が通っているが、沖田がこの現場に立った当時は、そのようなものはなかった。家並みの背後はジカに崖になっている。とびおりれば、鴨川のしらじらとした磧である
。今はもうここに京阪電車は通っていないのですが(地下に潜っちゃった)、けれど昔を思い出せば、司馬遼太郎のいう景色が目に浮かぶようで、そうそう、NHKの大河では池田屋事件の件がそうでした。八坂神社を出て三条小橋の池田屋にたどり着くまでの道のりは私の足が覚えています。だから隊士の足取りを自分の足の感覚でもって計ることができたのです。
で、なんでそんなことをこの『行殺♥新選組ふれっしゅ』というゲームに関する記事においていうというのでしょうか。ええ、このゲームにおいても、京都に暮らしているというそのメリットが得られるからなのですよ。このゲーム、新撰組の主要人物を女性に変えてしまったという一種斬新な設定が売りでして、で、好きな隊士と組んで京都の町に出ることができるのです。そこでなにをするかというと、京の町を荒らすキンノー浪士をやっつけて治安回復に努めたり、あるいは組の財政を豊かにするため商店に話をつけてお金を借りる、 — 押し借りってやつなんですが、その話のつけ方というのがクイズなのです。
押し借りクイズはいわゆる三択で、けれどその出題の幅広さったらたまりません。私は人から無駄な知識を満載にしているなんていわれる質の人間なのですが、しかしそれがまったくといっていいほど歯が立たないのです。出題にはジャンルがいろいろあって、得意もあれば不得意もあるのは当然で、けれどそのことごとくが不得意ってどういうことですか。掛け金を決めて、クイズに答えるたびにダブルアップしていくという仕組みなので、はっきりいって二三度答えられても全然実入りにならない。やっぱり規定の五問を連続で正解だ、てなぐあいにやってのけたいのですが、それがままならない。だいたい五問目が山ですね。三問目クリア、四問目もなんとか通って、ぎゃあ、五問目は問題のいっている意味がわかりません! で、隊務金が底を突いて、しかたがないからキンノーを襲って巻き上げて、それでまたチャレンジする。
私、このゲームではクイズばっかりやってますよ。なんか間違ってるような気もしますが。
唯一といっていい私の得意分野は、京都ジャンルなんですね。京都ジャンルは宮古一番堂で出るので、はっきりいってここは私の猟場です。もちろんわからない問題もあるんですが、やっているうちに覚えます。その効率が、他の店舗に比べると段違いなんですね。
だってさ、げんじとりといったらなにか、って、げんじがクワガタのことって知らんよなあ。いや、私は子供の頃にげんじげんじいうて野山かけまわってた口ですからちゃんとわかりますが、でもこういうレベルの問題が出るわけです。
と、こういうゲームでございます。ちなみに、昨年十二月Wiredの記事で取り上げられたBlogで問題視されていた『行殺!スピリッツ』はこの『行殺♥新選組ふれっしゅ』をベースにしています。
『行殺!スピリッツ』、私も遊んでみましたが、なかなかよくできて面白いゲームです。特に、あの確定しなければダメージが加えられないというシステムは斬新で、どんなに攻撃を受けても確定されるまでは負けではないから、体力残り数ドットというような苦境に追い込まれても果敢に攻めていけるのです。終盤になってもチキン戦闘が発生しない、撮影を必死で回避しての大逆転も狙えます。
最後まで熱いゲーム。なかなかにお勧めなのですが、なにぶん確定の方式がアレなもんですから、どうも勧めるに勧めにくいのがこまりものです。
蛇足
原田、土方、藤堂。以上。
引用
- 司馬遼太郎「理心流異聞」,『アームストロング砲』(東京:講談社,2004年),317頁。
0 件のコメント:
コメントを投稿