2013年9月1日日曜日

すいまさんといっしょ

 『すいまさんといっしょ』、これ、素晴しい。はじめて誌面にて見た時のこと、今でも思い出されます。ええっ、これいいのん!? いや、すいまさんの服ですよ。ネグリジェ? スケスケで下着とかまんま見えちゃってるんですが、いやほんと、これいいのん? ベビードールっていうらしいですね。いやもうびっくりしましてね、もし将来、コミックスになった時なんかに表紙とかどうなるんだろう、そう思ってたら、いやもう、ここでまたびっくりですよ。まんまだったーっ! いやほんと、すいまさん、超可愛いですよね。いやもう、度肝抜かれたといいますか、真っ向勝負の直球勝負で、私は見事スリーストライクでノックアウトですよ。

しかし、すいまさん、スケスケベビードールで、パンツなんかも見えちゃって、エロエロだから大好き、みたいな話じゃないんですよ。むしろ、あんまりいやらしくない。抑制の効いた描写の勝利ですよね。いやらしさよりも、清潔さ感じさせる健康的な伸びやかさ、そうした感触が前面に押し出されて、残る印象も可愛さや優しさ、安らぎといったものだっていうんです。いやほんと、ほんとなんですってば。すいまさんは、それとお隣にやってきたふみんさんも、ベビードールとかベビードレス+ベビードール? パンツが見えそうっていうか、パンツがまんま見えちゃってる、そんな格好で日常生活を送っていて、だから読者にもばんばんそうした絵が届くというのに、色気であるとかエロさであるとか、そういうのが丁寧に拭い去られているおかげで、そういう気分にはならない。性的な気分とは隔絶されて、すいまやふみん、彼女らの人の常識を知らないゆえのズレた行動や、いたいけ、素直な言動に和んで、いいなあ、可愛いなあ、安らぐなあ、そんな感情に満たされる。いや、ほんとですってば。ただただ、その愛らしさを愛でてるだけですってば。

ユウくんが羨ましいですよ。すいまさんが居候している家の子なんですけど、ちょっとすいまさんの格好にドキドキしつつも、そういう気にならない純情なボーイだよ。すいまさんも安心しきって、って、この子が警戒したりとか、そういうことってあるんだろうか? それくらい純粋無垢という言葉の似合うすいまさんなんですが、同じふとんで一緒に寝たり、いやユウが強制的に眠らされてる、そんな風でもあるんですが、ええ、すいまさん、人を眠らせることができるんです。すいまさんが出す星、それにふれると眠くなるんですね。対しふみんさん、この子が出す星は、人を目覚めさせるんですね。人の睡眠を司るとか、そんな感じっぽい。お仕事で人を眠らせたり覚醒させたりしている、そんなふたり。長さまのはからいで人の目に見えるようにしてもらって、それでご主人ユウくんや、ふみんさんにとってはしおりですね、皆と一緒の毎日を楽しく過ごしている、そうした様子がですね、ちょっとどたばただったり、それでなんだかほのぼのだったりしてして、とてもよいのです。

夏のことですよ。今年、めちゃくちゃ暑かった夏。見事に体調を崩しまして、頭が痛い、軽く吐き気がする。どうしよう。経験上、こういう時はちょっとでも眠ると回復するんですが、不調と暑さのせいで眠るに眠れない。横になってうんうん唸っていたその時、頭の中にあったのはすいまさんのことでした。ああ、こういう時にすいまさんがいてくれたら。すいまさんが眠らせてくれたら、そう思いながら苦しんでいた。ええ、ただすいまさんの眠りの効果だけを期待してたんじゃなかったんですよ。すいまさんが側にいてくれたら、苦しみもつらさも和らぐんじゃないか。そうしたことを思ってた。人間、弱るとなにを考えるかわかりませんよね。馬鹿馬鹿しい。けど、その時は本当に、すいまさんがいてくれたらどんなにかよいだろう、どんなにか心強いだろう、安心できるだろう、そう思っていたのでした。

まあ、現実にはすいまさんは存在しないので、その後なおも体調は悪化して、気温30度をはるかに超えてるというのに、布団かぶって、寒さにがくがく震えながら浅く眠ることになったんですけどね。

つらいとき、しんどいときに、すいまさんがいてくれたら、そう思ってしまったのは、やっぱりすいまさんに安らぎを感じているからなんだと思うんですね。可愛くて安らぎのすいまさん。ちょっと美人寄りで、健気さがいじらしいふみんさん。幼なじみでドジっ子ながらも世話焼いてくれるしおりに、いけず可愛いあくむちゃん。みんな、それぞれに違った魅力を持って、ほんと優しく素敵な世界。もう、大好きですよ。

あ、長さまのこと忘れてた。

  • みじんこうか『すいまさんといっしょ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

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