2013年9月9日月曜日

『まんがタイムきらら』2013年10月号

『まんがタイムきらら』2013年10月号、発売されました。表紙は『ゆゆ式』。面白いですね。手前からゆずこ、縁、唯と並んでいるんですけど、望遠のショット、真ん中の縁にだけフォーカスがあたって、ゆずこ、唯は被写界深度の外に追い出されてしまってるんですね。って、ゆずこなんて画角からも追い出されて、髪しか写ってないレベルなんですが! カメラに狙われて、ふと気付いてこちらを向いた、そんな縁の表情が、人の目を意識していない自然な雰囲気を残していて、大変に素敵。距離感は中望遠ってところでしょうか。この近しい感じも魅力的でした。そして、ゆゆ式、タイトルの文字なんですが、式にだけピントがあってるの! これも面白かった。なかなか見ない、そんな仕掛け。背景のボケも実に美しいです。

ちょっと待って欲しい。読者プレゼントの表紙イラスト図書カードとiPhone5ケース、ゆずこの存在が完全に抹消されてるよ!

今月は、ゲスト、新連載が多めです。

『Pretty Prison』、今回は刑務所を飛び出して、というか、コハクとリンネの子供時代の話ですね。コハクのパパのろくでなしっぷり。のっけから凄まじくてですね、猫がいなくなった! そういって駆け込んできたコハクに、ママもいなくなったと告げるんですね。そしてリンネも登場。この子、お母さんと血が繋がっていなかった。なるほど、リンネはスーパーハッカーである母の技量を継いでいるんですね。コハクのうちには大きな借金がある。リンネの母は犯罪に手を染めている。複雑な家庭の子、ふたりはなにか寄り添うようであったんですね。リンネのコハクへの助け船、それはむしろ家族離散の引き金を引くきっかけになって、そしてリンネの家庭においても同様の結果に。母の言葉足らずが原因としても、リンネの復讐はむしろ自分自身を傷つけて、ほんと、なんだか切ない、そんなエピソード。コハクはこれを嘘だっていってるけど、そうじゃないんだろうなあ。ええ、この雰囲気、実によかったです。

『放課後リトリップ』、新連載です。カムバック新連載。『少女公団アパートメント』のmsでありますよ。ああ、これは嬉しい。この人の漫画、その雰囲気、キャラクターの魅力、もう大好きなんですね。いや、ほんと、新作の扉も超可愛い。女子高生ふたり、と思いきや、そうじゃないっていうのがミソですね。ヒロイン佐倉ハナ、26歳。キャリアアップを目指すが転職に失敗。無職になってしまったウサを晴らすべく、高校時代の制服を着て町に出てしまったっていうんですね。って、26歳で、けど女子高生にちゃんと見えるっていうのはすごいじゃん。女子高生みなみに声をかけられて、ばれるんじゃないか、ドキドキしながらプリクラ撮ったり買い食いしたり、それでちょっと元気になるハナが可愛くて仕方ない。本当は高校生じゃないっていわないと、そう思いながら、楽しくて、それでなかなかいいだせなくて、メアド交換もしちゃって、そうしてはじまる放課後限定JKライフ。これは面白そう、ワクワクさせられますよ。

『サイドチェンジ!』、『きららMAX』8月号掲載のゲストの続きが『きらら』本誌に登場です。って、自分は両方読んでるからいいけど、どっちかだけの人には厳しい掲載だな。いや、そんなに珍しいことでもないですけど。ミドリとソラ、生徒会長の許しを得て女子サッカー部を作った。ミドリがサッカーうまくて、生徒会長は鉄壁のキーパーで、ソラはサッカー好きだけどあんまりうまくないのね。そんな彼女らのもとに岡田春、ちっこい女の子がサッカー教えてくれとやってきて、実践で教えていこうというんですね。このハルって子、ミドリが蹴る足の向きを見て、ボールのいき先を予測する。ちょっとスーパーな子ですよね。才能ある子が集まって、いずれは立派なサッカーチームができるんでしょうか。この漫画のノリ、雰囲気、見せ方もろもろ、好きなので、続いて欲しいと期待していますよ。

『報復絶叫!マンドラゴラさん』、ゲストです。なるほど、報復絶叫とはいいタイトルですよ。マンドラゴラ、引き抜く際にあげる絶叫、それを耳にしたものは死ぬ! なので犬に引かせるとか、そういう話。あ、犬だ……。うん、ごめん、この犬に引かせるものと思い込んでしまっていました。多々良あきらの家の庭に突然生えた奇妙な植物、それがマンドラゴラ。飼い犬のケルが見つけたんですが、って、むしろこのワンコも被害者か。小屋の下に生えてきたんだな。このマンドラゴラ、エリィ・アン・マンドェインなる名、どうも王女らしいんだけど、うん、性格に難がある模様。あきらに偉そうにいろいろいうんだけど、あきらは全然受け付けないし、むしろしてやられてる? マンドラゴラについて説明してやろう、エリィがそんなそぶりを見せるよりもはやく、ケータイでもってウィキペディアを検索。情報化って素晴しいなあ。そしてマンドラゴラの絶叫。ああ、これ確かにあきらのいうとおりだ。抜こうとするから危ないだけで、埋めっぱなしだったらむしろ無害か。で、犬けしかけるとか酷い。あの8bit表現、もうめちゃくちゃ面白かったですよ。何度見ても笑えて、なるほど、こういう表現もありなのかあ。偉そうだけど、なんだか駄目っぽいマンドラゴラと、楽勝で対抗してしまうあきらのやりとり。面白かったです。これはかなりいいですよ。

『召し上ガール』、ゲストです。これ、なかなかにいいですよ。くるみ、こまち、なつき、お嬢さん三人の日常ものといった雰囲気。けど、ここに一味添えるのがくるみの料理なんですね。一人暮らししてるくるみ。彼女の家に朝6時にやってくるこまちとか、ほんと、困った友達なんですが、野菜を持ってきてくれたり、そうしたらくるみがさっとそれを調理してしまったりね、ああ、くるみさん、有能だ。くるみの料理が一味添える、そうはいいましたが、料理ものというほどに料理ばかりという感じではないんですね。でも、重要なものであるのは確かです。朝にニンジンとササミのキャベツ巻き、昼はお弁当で、夜にはたこ焼きパーティですよ。合間合間のマッサージとか宿題とかもいい感触。たこ焼きも、キムチに納豆にほしぶどう、およそたこ焼きらしからぬ具材を入れて、けどそれでも楽しそう、おいしいのかな、試してみたいかも、そう思わせるところがあって、こうしたところに女の子三人の仲のよさ、くるみの寂しがったり素直じゃなかったり、そういう要素が加わるんです。よかったですよ。予想をはるかに上回りました。

  • 『まんがタイムきらら』第11巻第10号(2013年10月号)

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