2013年9月8日日曜日

ラン様の放課後遊戯

 とく村長は、私には珍しく以前からその名前を知っていた方でした。いえね、四コマ漫画の感想書く時にですね、ええと登場人物の名前なんだっけ、みたいに思って検索することがあるんです。主にタイトルで検索して、そうしたら結構な確率で出会うのがとく村長という人。ネットでイラストを公開されている。それでそのイラスト、四コマ漫画のファンアートが多くてですね、すごいな、ずっとそう思ってたんです。なにがすごいか、いくつも理由はあるんですが、まずはその絵柄。自分のスタイルに近付けるんじゃなくて、その漫画、作家の作風に寄せていくんです。すごいな、しっかりその雰囲気が出てる! そう思わされるイラストが多くて驚いた。そしてもうひとつは、カバーしている範囲ですよね。

しまった、これ、『ラン様の放課後遊戯』の感想なのに、話がそれてるぞ。まあ、いいや。ネットで見る四コマ漫画のファンアートって、きらら系が多いんですよ。それも、やっぱりアニメになったり表紙になったり、そういうものが大半で、しかしとく村長は違ったんですね。きらら系以外も余裕でカバー! タイムとかホームとか、そういうのに掲載されてる漫画も、きらら系に違わぬウェイトでもって取り上げられている。そして深さですよ。アニメ化されてるものも取り上げられるけれど、それと同じくらいの情熱で単行本になってない漫画、それこそゲスト作とかまで取り上げられる。これはすごい。雑誌で追ってないと無理な仕事です。自分も割と読んでる方だと思いますが、その倍は読んでるんじゃないか? そう感じるほどで、いやもうすっかり勝手にファンになっていました。

そう思っていたらですよ、『まんがタイムジャンボ』にて『ラン様の放課後遊戯』が掲載。作者はとく村長。おおう、これは応援しないではおられない。放課後に現れるという謎の美少女。それがラン様。バナナが好き。手袋に隠された左手でもって願いを叶えることができる。1巻時点ではそれくらいしかわからないですね。だから、謎の美少女ラン様と、ラン様に心魅かれている少年有太と、そして有太の幼なじみの女の子りら。この三人によるバナナをめぐるコメディ。有太はラン様のことが好き、それもかなりって感じで好き。ラン様も有太には好意を持っていて、りらはそれが面白くない。三角関係ラブコメディ的なニュアンスも多分に含みながら進行する、その雰囲気が悪くないのですよ。皆がチャーミングなんだと思う。恋愛というよりか憧れが勝っている、そんな思いに揺れる三人。恋のライバルというだけじゃなく、友情も育っていくのがいい感じ。ええ、キャラクターでもって主導していく、そうしたタイプの漫画であるんですね。

1巻ではまだわからないことだらけ。連載では少し話も進んで、ラン様の謎、その根幹に迫りつつある。そんな感じになってるんですけど、コメディとしての面白さは変わりなく、いや、より要素を増してともない面白みも増した。ええ、ラン様をめぐる謎と恋と友情。より一層に楽しくなっています。なので、1巻から是非!

  • とく村長『ラン様の放課後遊戯』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

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