2012年9月11日火曜日

桜Trick

 『桜Trick』、すごい威力! 『まんがタイムきららミラク』に連載されている漫画なのですが、第1話ですよ、あの日の印象、今なお忘れられない。大変なことになった! ほんとのほんとにたまげたものです。しかし、これって最初だけ? そう思って待った第2話にてその本気を知り、そして問題の第3話。え、えらいことになった! ど、どうしたらいい!? むしろ狼狽に近いほどにおろおろして、いやもう、最高です。『桜Trick』、最高です。

しかし、こうして読み返してみると、なるほど高山さんの方がずっとあかんたれだったんだなあ。高山春香さん、園田優さん、ふたりの学校生活。友達のできていく優を見て嫉妬する春香とか、今見ると新鮮。最近は春香の方が余裕持ってるように見えるというか、いやそれは、優の姉美月さん、彼女のうろたえぶりがあまりに見事だからでしょうね。序盤では、むしろ不安を感じてたのは春香だった。自分は優にとっての特別でありたい。その思いが強くって、けれど特別なんて自分ひとりが思ってる、過ぎた願いなんじゃないか。その不安を解消したのが、キスだったんですね。

私たちは他の娘たちとは絶対しないことをしようよ

いや、もう、驚いた。しかもそのキスというのが、これでもかこれでもかって、えええ、それほどまでに!? もうたまらぬ。そう思ってたら問題の第3話。こりゃ一大事だ! ほんと一大事。うわー、すごいことになったー。いや、もう、その目で確かめていただきたいところです。

最初は、不安な気持ちを解消する手段として、いや、より踏み込んで、自分の気持ち、相手の気持ちをはっきりとさせるため、証拠立てる手段としてのキスだった。でもそれが次第に、キスしたいという気持ちをストレートに押し出すようになって、ああ、大変だ。およそ気持ちを治めることができない。そんな状況にシフトしてきて、そして美月の参入 — 。桜の季節にはじまる、彼女らの、まさに今のこの瞬間に生きている、そんな姿にしびれたのでした。

彼女らの、まさに今のこの瞬間に生きている。 — これは、統廃合される学校の最後の新入生である彼女たちの置かれた状況。球技大会や1年生と3年生が揃って参加できる文化祭、そうしたものも強く後押ししていて、まさに刻々と現れ過ぎていく彼女らの「今」がそこにある。彼女らの置かれた状況と、まさにその「今」を惜しむように鮮烈に過ごす彼女らの生、それらが一緒になって、よりその「今」という感覚を強くしている — 。彼女たちの「今」。そこに、決して苛烈ではない、けれど火花散るような、そんな瞬間を感じるのですね。

  • タチ『桜Trick』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
  • 以下続刊

引用

  • タチ『桜Trick』第1巻 (東京:芳文社,2012年),17頁。
  • 同前,42頁。

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