『√中学生』は、第1話の扉絵が鮮烈でした。主人公の月・モニカトニア・セルトニアスが立っているイラスト。綺麗なカラーで、うわー、すごいな、なんだろう、目が離せない、どきどきするよ! ってな勢いで、すっかり好きになってしまって、それでちょこっと調べたら、なるほど、ゲームの原画なども描いてらっしゃる方なんですね。うん、ゲーム、買いました。それから『イラストワークス』も。そして満を持して『√中学生』ですよ。やあ、これは嬉しい。いやもう、えらいこと楽しみにしていたのですよ。
しかし、月、可愛いですよ。王国の王女様。けれど気さくで、偉ぶったりしない。というか、その性格が災いして、友達にプリンセスであると信じてもらえない? みたいな感じなんですね。月の友人たち、彼女らもまた個性的で、手榴弾装備の図書部員である鞘に、手品が得意な琴、役者志望の操。鞘は、作者の持ちキャラって感じみたいです。眼鏡、ロングヘア、制服、腕章に手榴弾とか日本刀とか、そういう感じのイラストを見て、ああ、なんだか見覚えがあるよ! ええ、随分前から知らず知っていた模様です。
さて『√中学生』は、月たちの日常を描く漫画ではあるんですが、手榴弾ならぬ虫除け炸裂させたり、見事に鮮やかな手品を披露してくれたり、そしてウィッグを変えると同時に人格まで演じわけちゃったりと、いろいろギミック盛り込みながら、基本的には身近な話題で進行するといった感じであります。アップダウンは少なめで、むしろ一定のテンポで展開していく、そんな印象もある漫画。ですが、こうして単行本にまとまったものを一度に読んでみると、その一定のテンポにのって、すらすらと読み進めていく、それが気持ちよかったんですね。エピソードを次々またぎながら、一定のテンションで読み進む、その合間合間に引っ掛かってくるネタがある。ああ、自分は琴の手品のネタが好きだな。それから月関連のネタが好きだな。操の月をたらしこむ話術の巧みさ、そしてひとり月の王女であることを知っている鞘、この子の不穏当な発言も実にいい。濁流怒涛とは程遠い漫画、静かにけれど速い小川の流れの、あちらこちらに見える景色表情が彩りになって、目にも楽しく、くすぐるようです。読みはじめると、一気に最後まで読み切ってしまいたい。流れにのってしまうのですね。
- さくやついたち『√中学生』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
- 以下続刊
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