2012年8月1日水曜日

純粋欲求系リビどる

 『まんがタイムきららミラク』発の漫画、『純粋欲求系リビどる』であります。リビドーほとばしる純情少年枕井リヒト君のもとに現れた女の子三人組。伊沼レン、空羽ルコ、咲馬リクは、リヒトのリビドーが生み出した化け物を倒し、そのもととなったリビドーを摂取、つまり食べてしまうというんですね。いうならば悪夢を食べるというバクのようなことをしてる。ただ、バクと違うのは、普通なら夢の中にしか現れないリビドーが、リヒトのリビドーのあまりの強さがために、夢の外にまで出てきてしまっているってところ。このままじゃリヒトが危ない! というわけで、リビドーを倒しリヒトを守るために、リビドル三人は今日も戦うのであります。

しかし、昨日の『Good night! Angel』といい、今日の『純粋欲求系リビどる』といい、見事に戦うヒロインでありますよ。このふたつがまず単行本化されたのは、最初にページがたまったのがこのふたつだった、というだけなのかも知れませんが、ある意味、『まんがタイムきららミラク』の性格あるいは売りを明確に色付けておこうという意図あってのものなのかも知れないな、なんて思ったりしたのですね。なにせ戦うヒロイン、しっかりとアクションを描写できることが重要です。四コマという、コマ割りの工夫で動きを見せることができないフォーマット、縦によっつ並んだ小さなコマに、複数人詰め込んで、それでもきちんとどういう動作をしているかわからせないといけない。ええ、この2タイトルにおいては、これら課題を見事にクリアして、アクション成立させながら、コメディとしての面白さもしっかり伝えてくるというんですね。『まんがタイムきららミラク』創刊時のキャッチフレーズは、ドキドキ☆ヴィジュアル進化型、FreeStyle 4komagazine。これまでの四コマとはちょっと違うよ、アクションだってこなしちゃう、実際誌面からもそうした意気込みが感じられたものでしたが、その『ミラク』において売りにしようとした進化、新たな感触をこの2タイトルをまずリリースすることで世に問おうとしたのかも知れない、そういった印象を受けたのでした。

さて、『リビどる』ですよ。可愛い女の子。リヒト憧れの女の子井戸川しずく、この子は純情可憐な感じでありますが、リビドルの三人は、包容力あるお姉さんタイプのレン、優等生タイプのルコ、元気活発な年下タイプのリク、いろいろ取り揃えまして、でこの子らが皆魅力的。見た目に可愛い、きれいということもありますけれど、戦うとなればきわどいコスチュームに身を包み、その身体の躍動、また思わせぶりにリヒトに迫ったりしまして、いやいや、これはもうリヒト君が大変なことになっちまうのもしかたないよなあ。ほんと、目にも麗しく、見るものの気持ちもひきつける。そうしたビジュアルの力を持った漫画、コケティッシュな魅力、色っぽさも際立つ漫画なのです。

でも、見た目だけじゃないのですよ。リビドーの出現するきっかけから、出現、解決にいたるまでのエピソードの流れ、しっかりと作って、意外性や山場での盛り上がり、飽きさせないのですね。短期のネタに関しては、ここでも思わせぶりが効いていて、まさか? と思わせる際どいもの、予想させておいて実は違う、その誘ってかわすといった見せ方にリヒトともども翻弄されるのも楽しいものです。そして長期には、複数のエピソードをまたいで描かれるものもあって、ちょっとシリアス、リビドルの三人に以前彼女らと一緒に戦っていたという里々森ロカ、過去の因縁など関わってくるというのですね。決して重くはなりすぎないよう、けれど大事なことはいいかげんにはしない、そうしたバランスがよく考えられていることがわかる。そうした見せ方、大きなストーリーも含めて魅力的と感じさせる、幅広さ、奥行もちゃんとある漫画であります。

  • 眉毛『純粋欲求系リビどる』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
  • 以下続刊

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