漫画というものは、絵の魅力、キャラクターの魅力でもって楽しませる、そういうものでもあるんだってこと、あらためて思わせてくれたのは『放課後せんせーしょん!』だった、そんな風に思っています。いえね、絵の威力がすごいんですよ。四コマ漫画というフォーマット。そいつを破綻させないぎりぎりまで、またやりすぎにならないところ一杯いっぱいまで、絵の魅力を押し出してくる。枠狭しと、時に枠からはみ出してまで主張してくるキャラクターたちの元気さ。これ、すごくいいな。いえね、2段とか、あるいは3段とかをぶち抜きで表現するっていうの、今では四コマでも決して珍しくないし、断ち切りだって当たり前って感じではあるんですけど、それでも『放課後せんせーしょん!』のそれははっとさせるものがあったのですね。なにこれ、すごい! そう思わせるものがあったのです。
実は、単行本になるにあたってちょっと心配したことがありまして、それは判型とカラーページなんですけど、雑誌で読んでいる時は、もちろん判型も大きく、またカラーなんかもあって、それはそれはダイナミックに、向こうから飛び込んでくるかのように感じさせるものがあったわけです。けど、それがコミックスの判型になったら、カラーページもモノクロに印刷されてしまったら、あの時の鮮烈な印象、失われたりしないかな、もしそうなったらものすごく残念だぞ。そう思っていたんです。けど、これ、杞憂でしたね。モノクロでも魅力的。扉で魅せる、そうしたところは変わってない。そして、むしろ、目にも楽しいこの世界、キャラクターも可愛く、元気、こうした魅力に持続的に触れていられるということが大きかった。いや、もう、まいっちゃいますよね。ああ、もう可愛いなあ。具体的にいうと、スナオ、もともと好きだったんだけど、なおさら好きになった、そんな気がします。
単行本にはゲスト回から収録されているんですが、そのうちの一本は巻末に別扱いにして載せられていて、もしかしてゲスト掲載分、各四コマにサブタイトルつけられていたり、またちょこちょこ違いがあるから連載分とは別個に扱いたかったのかな。そんな風にも思ったりしまして、けど、このゲスト掲載分もちゃんとしっかり記憶していて、ああ、そうだったそうだった、懐かしく、ええ、忘れてないんですね。いいテンポで、ぽんぽんと見せてくれるものがあった。悪くないね、そう思っていたのが、連載となったらまた違った魅力を備えて、ええ、サブタイトルがなくなった分、コマも大きくなった。絵を大きくしっかり見せる、そんな工夫も見られるようになって非常に好感触、好印象。引き込まれるというか、心つかまれるものがあるんですね。あふれんばかりの絵の魅力、それはキャラクターの魅力を補強し、より一層に訴える、そのための手段として、実に生きているのですね。
そういえば、『まんがタイムきらら』が創刊された頃、絵の魅力、DOKIDOKI★VISUAL、それがさかんに謳われていましたね。今、こうして絵の魅力にまいってしまって私は、『放課後せんせーしょん!』、この漫画はDOKIDOKI★VISUALの原点回帰的な位置にある、いわば『きらら』系、D☆V系の本道を歩んでいるのかも知れないぞ、そんな気持ちがしています。
- 庄名泉石『放課後せんせーしょん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
- 以下続刊
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