『ひよぴよえにっき。』、この漫画が『まんがタイムきららキャラット』にゲスト掲載されたとき、こういうのもありなのかと驚いたのでした。姉妹の日常描いた漫画です。ただ、その姉妹というのがちょいと異色でありまして、姉、小学5年生、ちあき、ちーちゃんです。そして妹、はる、2歳! ええ、お姉ちゃんが小さな妹の子守りする、そんな漫画なんですね。特筆すべきはその内容でしょう。お姉ちゃん、ものすごく一生懸命。その一生懸命ぶりは、見ていて気持ちがほころぶ思いですよ。すごく素直で、すごく真面目。そんな印象もある漫画。それこそ学年誌に掲載されててもおかしくないような雰囲気を持っていて、けれど私が読んでも面白いのです。
そして、この漫画、さっきもいったように、最初ゲスト掲載だったんです。ええ、ゲストをへて連載に昇格した。その事実は、『きららキャラット』の読者はこの漫画、この表現、この雰囲気を受け入れて、楽しんでいる。面白く読んでいるということを物語るのだろうと思うのですね。
罪のないといってもいい、そんなふたりのやりとり。どちらかというとあかんたれで、おっちょこちょい、ちょっと気弱だったりもするちーちゃんが、妹はるのために奮闘する。その様子はほのぼのとして微笑ましく、楽しく、面白く、時には笑えて、けれどその笑みは、ただおかしいからっていう感じではないんです。なんというんだろう。そう、頑張ってるね、いいお姉ちゃんだねって、そんな気持ちが自然とわいてきて、笑顔になってしまう。しみじみと嬉しくさせてくれるようなお話なんです。そしてまた妹、はるが可愛いんだ。この漫画がはじまった頃、具体的に2歳児を観察する機会に恵まれたのですけれど、実際の2歳児よりもずっとしっかりとしてると思う。それは漫画として成立させるための、いわば演出なのかも知れない。そう思いながら、不思議と自然な子供らしさを感じたりすることもある、その塩梅がうまいのかも知れません。
子供は可愛いもの、とはいうけれど、実際に触れ合ってみれば、可愛いばっかりではありません。この漫画は、そこまでの現実味を突き付けたりはしません。でも、わがままいってちーちゃんを困らせるはるなんてのは普通に描かれて、でもってちーちゃんは、そのわがままに精一杯応えようとしたり、あるいは気をそらせようとしてみたりと、ほんといいお姉さんなんですね。ああ、お姉さんっていいな。私にもお姉さんがいればよかったのに。と書いたところで思い出した。いたよ! 姉、いるよ! うう、うちの姉はちーちゃんみたいに優しくなかった……。この漫画は、そこまでの現実味を突き付けたりはしません……。
本編は、妹の世話をやくお姉さんの話。決して非現実的とまで思えるようなエピソードは描かれません。だからでしょうか、単行本のおまけ、途中途中に差し挟まれたもしものエピソード、これがすごく新鮮で面白かったです。交代してみたら、同い年になってみたら、などなど。本編なら決して出てこないだろう気持ちがあらわされて、とても面白かった。じゃあ、本編に見える気持ちってなにかといいますと、姉の妹に対する、妹の姉に対する気持ち、大好きという感情ですね、これがあふれているんです。もう、本当に嬉しくさせてくれる。たわいもないエピソードであっても、心からあたたかいと感じられる。ええ、とてもいい漫画だと思っています。
- 琴久花央『ひよぴよえにっき。』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。
- 以下続刊
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