2010年3月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年5月号が発売されました。表紙は 『夢喰いメリー』。青空背負ったメリー、なんで観覧車? と思ったらそうじゃない。青空は傘の内側の柄なんですね。傘のうしろには満開の桜であります。そして、メリーの衣装も桜色。はなやかで、やわらか、ちょっと和風、というかこれ着物か、魅力的ないい表紙であると思います。桜色もいいのですが、メリーの緑の目が鮮かで、それがまたよいのであります。

巻頭は『夢喰いメリー』。前回、主人公夢路が起死回生の一打を放つ、そんな感じの引きで終わっていましたが、まさにその起死回生の一打が放たれるのが今回です。夢を自分の意思で変化させる、明晰夢を駆使し、夢魔の作り出した空間で自由に振る舞おうという、その流れは力技と見せて、けれど妙な説得力を持っています。新しい能力を身につけて、ヒロインの危機に駆け付け、そして大逆転のチャンスを切り開いてみせる夢路。いいですね。オトコのコ漫画としては、実に正統的ヒーローではないですか。いや、ほんと、これは燃える展開です。

S線上のテナ』は、前回に引き続き、今回もやられてしまいました。前回はデュオンの計略に決着がついたかと思ったところで、譜面兵器がなおも作動し続け、どうなる!? と思ったら、今回ですよ、なんとグロリアの意図が判明する。そうか、この人は敵ではなかったのだ。そう思って安心したら、またここでがつんと揺り返しがきて、もう本当に安心させてくれません。アップダウンの繰り返しで、どんどん盛り上がっていく、上へ上へと向かっていく、そんな上昇感がすさまじいです。

『となりの柏木さん』、桜庭くんが応援するsayane、彼女の知名度が上がるほどに当然ファンも増えて、そして桜庭くんはもやもやするっていう、その気持ちはちょっとわかるような気がします。読者からすれば、全体が見通せるという特権のおかげで、彼は別にもやもやなんてしなくってもいいんだよ、ってわかるわけですけれど、状況の一部しか与えられていない彼からしたらそうじゃないよなあ。というわけで、本当は身近にいるsayane=柏木さんとの、うまくいきつつもあり、けれどもやもやも感じという、揺れる桜庭くんの恋心、といっていいの? それがなんだか放っておけない感じであるのでした。

少女素数』は、あんずのクラスでの状況描かれて、敷島なる男子登場、彼の視点におけるあんず、すみれの認識の語られるところなど、ちょっと面白かったです。すみれは美少女らしい。対してあんずはほんわかと笑っている印象? けれど、親しみ持たれているのだなあ。気さくで、ほがらかで、のびやかで、やわらかな娘であると思います。そして、はなやか。敷島も、美少女すみれと姉妹と知ったからか、それとももとから意識していたのか、ドキリとさせられる、そうしたなにげない一コマ、魅力的でありました。

据次タカシの憂鬱』は、結局やっぱりタカシは酷い目にあう、という展開なんだけれど、それでも少しずつよい方向には向かっているんですね。ある程度、終わりというか一段落への流れが作られているのでありましょう。といったところで、タカシの思い出グラフ、これアップダウンしてるけど、平均値をとったら右肩下がりなんだろうなあ……。あんまりタカシのことを笑ってられない自分であります。だがしかし、そうだからこそタカシには頑張っていただきたい。

なきむしステップ』、最終話でした。テストがあけて、奈々が取り掛かったのは、父親の説得。絵を描き、物語として自分の思いを伝えようとする。そして、自分の言葉ではっきりと、絵の道に進みたいという意思を告げて、あの頑なと思えた父親もしっかりと娘の気持ちを受け止めて、ええ、いい話でありました。そして、なんとなくいい流れのままに杉原くんも紹介しちゃったりして、ああ、もうこの父はしようがないなあ、でもなんかいい父だなあと。見開きの空、そしてこれからを思わせるコマに、広がっていく奈々たちの未来感じさせて、いいラストでした。

『わたしたちは皆おっぱい』、実はずっといいたかったことがあるのです。愛咲ルミネって♥$☆? ♥$☆の関係者? ずっと気になっているのです。

本編は文化祭での劇、キャストで出演することになったヒロインたちがまさかのお泊まり会にて貴子の餌食に!? と思ったら、そんなことなかった。というか、貴子のみさかいのなさは特筆すべきものがあるな。でも、期待されるような展開はなく、しかしこのことが後の展開にまで引っ張られるとは思いもしませんでした。いよいよ劇がはじまって、お定まりとでもいうべきか、妨害などあって、そして友達が困った状況に追いやられたことで、化けるヒロイン。かっこいい。劇は好評のもとに幕を下ろし、そしてヒロイン拍手喝采。けれどこれで、妨害した内牧さん、彼女が恥かかされて、ざまあみろだ、みたいにならないっていうところが、一番よかった。結果的に彼女の思いも汲み取られる、そうしたところ、優等生的すぎるといえばそうかも知れないけれど、こういう日陰を日陰に放置しないというところ、この漫画いいじゃないかと思ったのは、そうしたところなんだろうと思うのですね。

で、結果的に貴子は友人の輪を広げて、それはつまりは貴子の変態的野望が達成されるってことなのか? うん、友情とか描かれるその向こうに、馬鹿馬鹿しいところがあったりもする、これも魅力なのだと思います。

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