2009年6月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2009年8月号

 『まんがタイムきららフォワード』8月号、発売です。表紙は『S線上のテナ』。7月13日にコミックス第6巻が出る、さらに7月24日にはドラマCDも出るそうで、このあたりの展開は今ではそう珍しいという気もしないですが、多様なメディアに進出していく様、一昔前からすると、大躍進だなと感じます。大躍進といえば、現在アニメ化でちょっとブームになってる『けいおん!』がこの8月号に掲載されているということで、いつも以上に売れたりするんでしょうか。今号はさらに、『コミックエール!』から移籍してきた漫画が、前回までのあらすじ付きで載りはじめたりして、だから初見の人にも多少やさしい号なのではないかと思います。

『S線上のテナ』は、テナとアルンに哀れまれる恭介。けど、落ち着いたと思ったら、ちょこちょこ裏で動きがある、しかも今回なんて、ずっとほのぼのとした雰囲気で進んでいったと思っていたのに、実はそうではなかった。ここにも、まだ表には出ていない動きがあると知らされて、それも思いもしなかったところから知らされて、本当、どうなるんだろう。岬下部せすなだから、そんなに怖ろしい展開は待ってないだろう、そうは思うけれど、波乱はありそうだな、そんな気がしてはらはらしますね。

けいおん!』は、澪と律の馴初め話。って、友人なんだから、馴初めは変か。しかし、久しぶり、単行本描き下ろし以来のコマ割り形式ですかね。四コマとはまた違ったテンポで、面白かったです。話としては、番外編という感じで、子供時代の澪律、一コマだけ唯と憂、あれ紬は? 子供律の着ていたTシャツのデザイン、ちょっといい感じ。あんなのあったら欲しいな。楽器は、というかドラムは、アニメ同様にHipGigになってました。こういう、影響が遡上してくるところ、面白いです。

純真ミラクル100%』、エールからの移籍、所長の陰謀でしょっぱなからゴスロリ、というかあれは白ロリ? 着せられるモクソンが可愛いという話。所長の密かな楽しみと、それが裏目に出て、いや、表目か、あたってしまってラッキーというジレンマが久々に見られて、満足でした。けれど、本編はモクソンの焦りやら、その様子を見ていろいろ思うモクソンやら、さらには二宮さんの思惑なんかも、王道ながらも、その王道っぷりがよかったです。私はどうも、二宮さんが好きみたいですよ。

『さんぶんのいち。』、これもエールからの移籍。海都をめぐる騒動が一段落ついて、だからちょうど読み始めるにはいいところかも知れません。しかし、ついつい忘れがちなんだけれど、この人たち中学生なんですね。開き直った葵、葵に対する楓の気持ち、そうしたものが交錯する。そうした様子が今一度整理されたって感じがします。うん、これから読み始めるにはいいところだと思います。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』は、ロボコン編の続き、というか、メイド喫茶顛末って感じになってます。謎の多すぎるみどりについての話も動き出した? ともあれ、エミ太くんが可愛いです。ボクっていうのがあんなに効くのは、それが逆に女の子っぽさを広げるから? ちょっと新たな扉が開いた。いや、すでに開いてたんだけど、そこに明確な認知がついたって感じです。いいぞ、エミ太くん。背の高い娘さん、大好きさ! ビラビラのフリルとか着せたいなあ。

『夢喰いメリー』は、夢魔っていうものがどういうものかという駄目押しがあって、そして主人公が主人公として活躍できる素地、その前提のおさらいがあって、という感じでした。キャラクターの描き方が上手いのか、状況はさほど動いていないのに、思わせてくれるところはずいぶんと大きくて、面白かったです。

『少女素数』、いきなり余談ですけど、フィギュアに使う粘土って本当に毒物含んでるんですか? 知らなかった。いや、富士夫兄さんの単なる脅しかも知れないけど、いや、けど、多分含んでるんだろうなあ。

今回は、双子の、双子だけどそれぞれに違っているんだよ、っていうところが強く押し出されて、しかしそれにしても、意外と思えるほどのすみれの様子。暗いというのともちょっと違う。気弱というのもちょっと違う。ちょっとアンニュイで、そしてうちになにかを抱えていそうという、そうした様子が気にかかる、そんな話でした。後に語られることもあるでしょう。そうしたことを思わせるところなどは、人の内面、心の動きに注視する、そんな視線が感じとれるからかと思います。テーマは人なんだな、そんな感じがするのですね。

『空色スクエア』、深雪にフォーカスが当たってやったあと思ってたら、文香との板挟みになるという、まあ王道といえばそうなんでしょうが、思った以上の急展開だったように思いました。文香は文香で、まだその内心になにを抱えているのとかがわからない。だから、本格的に話が動くのはこれからなんだろうなというところです。というか、文香がなにを思っているかわからないので、深雪ほどに肩入れできないっていうのが素直な感想のように思います。しかし、射的の描写、あれは面白かったです。やけにシリアスな深雪、馬鹿にしたような景品の表情。で、全敗するっていうね。射的の景品はそもそも取れないようにできている、そんな話を思い出しました。

銘高祭!』は、今度は美術部のお嬢さんがフォーカスされまして、文化祭のポスターの絵、その絵に託そうと思った気持ち。けれど、その絵のできあがる前にわかってしまったこと。そうした思いのもろもろを描く、それはこの作者の持ち味がよく発揮されて、とてもよかった。最後に完成した絵の、そこにのせられた思い、小夜子の、それからページにのせた作者の意図、そうしたものがよかった、そう思います。

天秤は花と遊ぶ』、愁の秘密がばれた! その一連の騒動の中、愁は自分の本心をはっきりと自覚し、そして愁の今後に触れられた。以前愁の兄、蓮宮の過去についていろいろいってましたが、そのあたりがちょっと明らかになって、アドバイスがあって、それで彼女はどういう選択をするのだろう、そうしたことを思わせる、そんな、結構な重要性を持った回だったように思います。

『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』は不思議設定が導入。最初はどうかと思ったけれど、事前に仕込まれた台詞が、後から飛び出してくるという、なんだか変に緊迫する設定になって、面白い。しかし、暴走する副会長。副会長に嫉妬するものまであらわれて、どうなるんだ、どういう方向に向かおうとしてるんだ。ちっともわからんというね。結局私は、次回が楽しみだというほかない。ええ、次回が楽しみです。いや、本当に。なんか、気になる漫画なんですね。

『おいでませ!ねこのてや』、今回唯一のゲスト、っていや、『けいおん!』もゲストだったか。仕事のない便利屋の話。やっときた仕事の依頼は、見た目に反してやたらに強い犬を散歩させるというもので、話自体はそんなに込み入ったものではなく、非常に素直なものだったと思います。そして、こういう素直さはわるくないと思います。読み切りで描けるものをしっかり描いた、そんな感じのする話でした。

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