『ただいま勉強中』の2巻が発売されました。女子校を舞台とした学生ものなんだけれど、華やかというよりは自然体。気取らず、それぞれみなが個性、というか地を丸出しにして過ごす学校生活が、見ていて楽しくて好きなんです。なにか目標があるわけではない。部活動やってるとかじゃないですから。熱い友情ものなんてこともない。彼女らはただ、今という時間を彼女らなりに過ごしている。精一杯という感じでもないし、だからといっていい加減というわけでもない。その、中庸な感じがよいのだと思います。決して平均的でも標準的でもない娘らの、気張らない、普通の日常。そのお仕着せではない普通さ、それが心地いいのです。
主要人物紹介が帯にあって、4人、彼女らを表現することばが面白かったのでした。うっかり、きっぱり、さっぱり、ちゃっかり。私はうっかりが好きです。江端由良。単行本には由良ときっぱり、風間飛鳥の出会いが描かれて、小学生時分の勝気丸出しの飛鳥も可愛ければ、今以上にぽーっとしてる由良も可愛くて、そんな由良を、と、ネタばれになるからこの先は書かないよ。けど、由良は飛鳥と出会えてよかったな。けど、多分、飛鳥にも由良という友人がいてよかったんだろうな。
メインのヒロインは由良で飛鳥だと思っているんですが、しかしそれ以外の娘らの話も面白くて、オカルト好きの千里、この子はちゃっかり、そして元気でちょっとおっちょこちょいなのか? バレー部所属の葉菜子、さっぱり、そして他にも担任教師やら理事やら、そして美術部所属の娘やら。えっと、教師は珠子、理事は麗、美術部は初音、みんな闊達で、からっとしててね、気持ちがいいんです。バレー部の上級生、岡田と藤堂もいいコンビで、藤堂はちょっと闊達とかいう風ではないけれど、けどこの人の場合はその弱気だったりするところ、それが魅力になっているっていうね。長身でフリフリでも大丈夫。可愛いよ、なんて思うんだけど、一般的にはどうなんだろう。
漫画だからといわれればそうなんだろうけれど、この娘らがあまりにも個性的すぎるという、それが面白いんだというんですね。他の誰でもない、その人っていう感じがする。借り物ではない、無理してるわけでもない、本来個性っていうのはそういうものだと思うのですが、自然にあらわれてくるその人のらしさを受け入れて、よい点もわるい点もあるけれど、けれど人に迷惑かけるわけでなし、そうした個性を隠すことなくいられる、彼女らのコミュニティ。その場の持つ雰囲気というのからして魅力的だと思うのですね。
キャラクターが魅力的、それは実際そのとおりだけれども、辻灯子の漫画の場合、そのキャラクターの存在する場の雰囲気、それもまた魅力的であると思うのです。ちょっと憧れる、そういっちゃってもいいような、そんな素敵な場所です。
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