昨年末の購入なのか、今年明けての購入なのか。新年一日に到着したPCゲーム『白詰草話』をクリアしました。とはいっても、達成率を100%までもっていったわけではないのでクリアというにはまだもう少し足りないのですが、でもまあ三人それぞれのラストを見たからいいかなって。でも、いいかななんて言いながらも、見ていないルートがありそうな気がしてならないので、もう少し回転させるんじゃないかと思います。ええと、このゲームはオートモードはあるけれどスキップはないようで、32倍速でぶんまわしてやるとだいたい三十分でエンディングまでたどり着きます。けど、本当ならこういう見方はしたくないなあ。なんて思いながらも、ルートを把握するまではこういう作業になってしまうのも仕方ない? いや、でもいやだなあ。なんか申し訳ない気がするんですよ。
初回プレイは特別なものだと思います。まったくわからない状況で、それこそ手探りで物語にあたっていくという感じがあるから、私は特にこの初回を大切にするのですが、その際には必ず決めていることがありまして、それはなにかといいますと、なるたけ自分らしい選択肢を選ぶということです。でも、これって実は両刃の剣でして、私が私の思うままに選択していくと、なぜかイベントが成立しないのです。もう、それこそ呪いでもかかってるんじゃないかというほどにイベントが発生しません。おそろしい健全プレイが実現した初回。もしかしたら、一周目はそうしたシーンが出ないように調整されてるんじゃないかと思っているのですが、でも本当かなあ。いや、でも二周三周とやってみて、やっぱり初回には調整が入ってるんじゃないかという思いを強めて、ですが実際のところそういう調整がなかったとしたら、 — やっぱり呪いがかかっているのかと思います。
このゲームにおいて物語られようとしているものというのは、一体なんなんでしょう。実はちょっとつかみあぐねています。人と人の繋がりが問題にされているようなんですが、運命論といったようなモチーフも見えて、かといえば自由というキーワードもあって、とにかくてんこ盛りにいろいろが入っているから逆にぼやけてしまっているような気がします。でも、この物語は、多分、自分はなんのためにいるんだろう、みたいなことをいおうとしているように感じます。
情けないことなんですが、主人公である津名川のいう空虚さみたいなものって、妙に共感できてしまったりするんですよね。なんというんでしょう。あれだ。プレイしている間、妙に『ナツノクモ』を思い起こすことがあったのですが、そうそうこれこれ、この台詞です:あいつが俺にすがりついてた間だけ、俺はみじめじゃなかったんだ
。私は津名川の空虚さにそういった必要とされないことへの惨めさ、誰ともなにとも繋がっていないことへの悲しさ、自分の存在しているということへの疑念といったようなものを感じ取って、だから彼がエクストラたちを必要とする気持ちがわかるような気がしたのでした。いや、イベントを発生させると、自分の立場を利用しやがって、こいつは本当にひでえやつだって話になって、今話していることの前提がぶち壊れてしまうのをひしひしと感じないではおられんのですが、あ、そうか、私自身がそういう感覚でプレイしていたから、イベントがちっとも発生しなかったのか! 津名川がエクストラたちを必要とし、またエクストラが津名川を必要とすることでお互いに充足しているという、その関係は私に今欠けていることをあらわにするようで、だからむやみに感情移入してしまうのかも知れない。卑怯であるかも知れないと思いながらも、私が求めてやまない人との繋がりというものをこのゲームの中に見るようで、けれどこうした匂いは、以前にもいっていたけれど、前世紀末から二千年代当初の数年
にはいたるところで感じられたように思って、だとしたらみんな寂しかったのかも知れないねえ。ええ、少なくとも私は寂しい。自分の空虚さに足を取られてしまうこと、今ではさほどではなくなったとはいえど、やはりありますからね。近代の自我の悲しさというやつなんでしょうか。
ゲームをやっていて思ったこと。もうちょっと戦闘シーンが多いのかと思ったら、そうでもなくてちょっと残念。オープニングのアニメにあったような市街戦、あんなのが本編でもあったらなあ、なんていうんだけど、それはあの物語の運びないしテーマからするとちょっと無理。あったとしても、見ている私が受け入れないでしょう。本来は予定されていたのがそういうテーマになって立ち消えたのかな。どちらにせよ、ああいう見どころがあると思っていたからちょっと意外だったのでした。
クリアして、数周してみての蛇足、やっぱり透花が好きです。ちょっとネタバレになっちゃうけど、自分の熱を申告するときにわざと高めにいうとですね、悪くなってるじゃないですか! って怒ってくれるんですよ。これはどの娘にもいえるのだけど、シリアスな、険しい表情が映えるよね。オープニングの銃を撃たんとするシーンの沙友もそうだし、とにかく私はああいう凛々しいというか、シリアスな表情というのが好きなようです。特に、普段との落差があると格別よねー、ってなわけで、本当にどうでもいい話でした。
Dreamcast
Book
- 『白詰草話infomation-book』東京:笠倉出版社,2002年。
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