世に遊戯はいろいろあるけれど、私がかかわりを持たないものといったらそれはギャンブル。馬船自転車には興味がないし、パチンコだって同様。だからコンビニ雑誌の棚を埋めるパチンコ、パチスロ誌のいろいろはまったくの素通り。理由は簡単。負けるのいやだから。もし確実に勝てるなら私だってギャンブルのひとつやふたつたしなみますわー、って勝率が100%になったらそれはもうギャンブルとはいいませんね。こんな感じにギャンブル遊戯に縁を持たない私ですが、かろうじて関わりを持っているとしたら、それは漫画だと思います。『ななみまっしぐら』。パチンコ店を舞台に繰り広げられる、ほのぼのアットホームコメディです。
でも、私が『ななみまっしぐら』を読むのは、パチンコの興味とはまったくといっていいくらいに関係ないような気がします。というのも、『ななみまっしぐら』はパチンコ店が舞台ではあるものの、パチンコという遊技に関するネタは極力控えめになっている。まったく知らなくてもわかるとまではいえないかも知れないけど、パチンコというのが出玉でもって景品交換する遊びで、釘の具合が勝ち負けに大いに関わる、そしてこれ重要なのですが、交換前の出玉はドル箱と呼ばれる箱に入れてスタックされる。この程度の知識があれば充分に楽しめる親切設計です。むしろこの漫画を楽しむ場合、パチンコの知識よりも一昔前の漫画特撮をめぐる空気がわかるほうが重要かも知れません。といった具合だから、私みたいな非パチンカーでもあっても問題なくついていくことができるのですね。
主人公はパチンコ店店長ななみ、女、年齢不詳、身長132センチのどう見ても子供、でも大人。ドル箱を運ぶ途中転倒して、自ら数メートルすっ飛びながら出玉ばらまく、まっしぐらと呼ばれる現象がタイトルの由来でしょう。こうしたどたばたドジっ娘ギャグを軸としながら、個性的な店員、常連客を絡めた和気藹藹とした雰囲気が楽しくて、なんか本当にこんなパチンコ店があるんだったら通ってもいい! って気分になります。打ったら出るのにいつもお茶ばかりしている常連客ノリさんの設定がお気に入りで、他にもお気に入りキャラは多数。一時期は、掲載誌の要請だったのか、女性キャラクター男性キャラクターのカップリングネタみたいのが集中したけれど、最近はそういう傾向も薄れて、長年かけて連載されてきたうちに育ってきたキャラクター(それはもうたくさん)、増えた設定があちこちに顔を出しては読者をにやりとさせ、けど決して一見さんお断りといったような敷居の高さを感じさせない、読みやすさ、かわいらしさ、それでちょっとマニアックな香りをバランスよく配合した、四コマらしい四コマだと思います。
しかし、連載当初からパチンコ固有のネタは薄めの漫画でしたが、巻が進めば店を出た先での話も増えて、いよいよパチンコ固有ネタは薄くなって、だからこの漫画の読者はパチンコ打ちよりも普通の漫画好きの方がきっと多いんじゃないかと思っています。私なんかは、その典型例といえそうですね。
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