今では普通に耳にするフュージョンというジャンルを創始したのは、Weather Reportというグループだったのだそうです。私はこうした知識を大学のジャズ史の講義で仕入れたのですが、フュージョンの草分けということもさることながら、その名前が印象的で記憶に残ったのでした。Weather Reportって天気予報じゃないか! けれどこういうネーミングのセンスは大好きです。なんか、普通の日常に出て来る言葉をうまくあしらえるというのは、やっぱりセンスのなせる技だと思うのです。
さてそのセンスですが、もちろん名前だけじゃなく音楽にもよく発揮されて、ジャズじゃないし、ロックでもないし、という不思議な感覚漂う独特の音楽が聴いていて面白いんですよ。飄々としたキーボードの、へろへろとしたへんてこの旋律はすごく耳に残ります。私ははじめてWeather Reportを聴いたときには、なんか変わった音楽だなあと思って、けれどやっぱり独特で、何度も聴きたくなる味があるんです。病みつきにさせる癖があるんでしょうね。私はすっかりひきつけられて、しばらくWeather一色でした。
『バードランド』はWeather Reportの最大のヒット曲なのだそうで、軽く裏を打つシンバルのリズムの上で、ベース、キーボード、サックスが軽々と遊ぶ、そんな面白さがあるのです。何度も繰り返されるメロディがだんだんと場を盛り上げていって、クールなのに熱い。けれど熱狂という感じはしないんですよ。なんというのかなあ、聞き終わったときの感想は、ああ面白かった! また聴きたいね。とかそんな風なんです。ポップで、あたりがやわらかくて、ノリがよくって、だから何度でも聴ける、いくら聴いても飽きないという、そんな曲なんですね。
私がはじめて聴いたWether Reportはライブ盤である『8:30』でした。私はこのアルバムに収録されている『Birdland』が一番楽しいと思います。『ヘヴィー・ウェザー』のは、なにか無機的なものを求めてるんじゃないかと思うくらい端正であるのに対して、『8:30』だとなんか踊り出したくなる感じ? 聴いてると嬉しくなるのは、やっぱりライブという特別な場の持つ空気や魔力なのだと思います。
ところで、私は今回、鳥にまつわるものを集めてみようという思いつきにしたがって、今まで数週間鳥絡みのものばかり探してきたのですが、実はWeather Reportのこの曲、『Blackbird』だと思い込んでいたんですね。アルバムを引っ張り出してきて驚いてしまいました。
なんで『Blackbird』なのか? それは同じくWeather Reportの曲『Black Market』と『Birdland』が混ざって覚えられてしまった結果かと思います。『Black Market』も『Birdland』に負けぬ名曲であると思います。なかなかのインパクトのある不思議旋律が楽しくて、私のWether Reportの印象は、この曲に発しているといってもいいと思います。
- 8:30 US盤
- ヘヴィー・ウェザー
- ヘヴィー・ウェザー SACD
- Heavy Weather US盤
- Heavy Weather UK盤 SACD
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