2011年4月15日金曜日

Smokin' Mandolin

こないだ、ピックを買いに楽器店に顔を出したら、ショーウィンドウになんともいえない不思議な楽器を見付けたのでした。最初、民族楽器かと思った。赤い派手な四角いボディの弦楽器。近寄って見てみれば、なんと、これ、マンドリン!? 確かに弦は8本、4コースですね。でもって、ボディは葉巻の箱らしい。なんと、実に変わりもの。しかし、これ、どんな音がするんだろう。ちょっと興味が出てきてしまっています。

名前はスモーキン・マンドリン。ボディが葉巻の箱だからでしょうね。楽器としては、フラットマンドリンに分類されるのでしょう。カントリーなんかで使われる楽器ですね。ヨーロッパのマンドリンと違い、ボディのバックが丸くなってない。平らなのでフラットマンドリン。いつかひとつ欲しい楽器だったりします。

でもね、あたりまえのことなんですが、いい楽器は高いんですね。安いのもあるんですが、安いのはやっぱりそんなによくないんですよね。アコースティックな楽器ほど、そういった傾向は強くなって、だからおいそれとは買えない、なんて思ってた。ところがスモーキン・マンドリン、これわりと安いんですね。まあ、ボディが葉巻の箱の流用だからだったりするんでしょうが、2万円台で買えちゃう。しかもコンタクトピエゾピックアップがついている。

まあ、実際の話、あんまりいい音ってのは期待できない楽器だとは思うんですよ。でも、それはフラットマンドリンというカテゴリーで考えるからなのであって、むしろ色物ないしは変わり楽器と捉えることで、その音も独特の個性として受け入れ可能かも知れない。ええ、すごく興味深い。実際の出音は確認していないけれど、そのルックス込みで充分いけるよな、そんな予感がしています。

というわけで、買うかどうか迷い中。でも、もたもたしてたら売れてしまいそうな気がする。ええ、こういうのん好きな人、少なくないと思うんですね。

2011年4月14日木曜日

Etymotic Research カナル型イヤホン ER-6

 私の使っているインナーイヤーヘッドホンはEtymotic ResearchのER-6なんですが、最近、なんか右の聴こえが悪いな、なんて思っていたんです。おかしいなあ、なんでだろうなあ、漠然と思いながら使ってきて、そうしたら、今朝、ついに右から音が出なくなってしまいました。断線? 正直、焦りましたね。決して安いものではないから、買い直しとなったら最悪です。しかし本当に出ないのか、いろいろあきらめ悪く試していたら、どうやら小さいけれど音は出てるんですね。PCに繋いで確認、問題はER-6にあることはわかったけど、しかしなんなんだろう。ええ、調べてみてわかりました。フィルタが目詰まりしているんですね。

ER-6は、というかER-6iもER-4もそうらしいのですが、ある程度したらフィルタを交換してやる必要があるのですね。で、交換用フィルタは製品にふたつ付属していて、だから当座はこれでしのぎ、予備のフィルタはゆっくり買い求めればいいや。そう思ったのでした。

フィルタの交換は独特です。交換用の工具が付属しているのですが、先がピンのように尖っていて、その周囲にネジが切ってある。こいつをですね、フィルタの中心に突き刺してねじこみ、引き抜くんですね。で、新しいフィルタをさしこむ。この突き刺すというのがちょっと怖かったりしたのですが、いえね、ドライバユニットまで到達したらどうしたものかとか思いまして、けれどフィルタは思った以上に硬く、だからぶすりと突き刺さってしまうようなことはなく、問題といえるようなこともなく、無事交換できたのですね。

うん、交換はできた。ただ、間違えて左ばかり2度交換したのは失敗だった。

いや、ほんと、最低です。なんでこんなことに。せめて右を2回だったら! と思うのですが、やっちまったことはもうしかたがない。覆水盆に返らずってやつですよ。なんせフィルタの中央に穴を開けて引き抜くわけですから、一度やっちまうともうそれは使いものにならんのです。ああ、失敗した。ああ、ほんと、なんでこんなことになったのだろうと、自分のうかつさにがっかりしながら、フィルタを注文したのでした。

フィルタが新しくなった左は、解像感がよくなったような気がします……。

2011年4月13日水曜日

『まんがタイムLovely』2011年5月号

『まんがタイムLovely』2011年5月号、発売されました。表紙は『はじめのちひろ』、ちひろと一緒にいるところを写真に撮ってるはじめ、そんなイラストです。シンプルな絵、わりと動きもあって、はじめのパーカーの黄色も目をひく、そんな表紙です。

『みん★うた』は、うわ、ちょっとこれきついな。なにか合唱部に対し否定的な態度をとり続ける大隈先生。それもなぜなんだろうと気になるのですが、それ以上にきついのがヒロイン詠幸ですね。もちろん、これはそういうやばい子なんだということを描こうとしているわけで、その布石は前回にも少し打たれてたわけですけれど、自分がやると決めたら、他の人の気持ちなんて考えない。名義を借りるにしても、断りもなく勝手にやる。その行為に対する反発を、その名義を勝手に借りようとした当人からうけても、一向に意に介さない。これは、こうしたきつい状況描いて、それでいつか引き上げるという、そういう戦略なんでしょうけど、しかしこれはちょっと読んでいてきつかったです。気持ちを伝えあう、そういった根本的ななにかが欠けている人の存在、その恐怖感がすごかった。いや、もう、驚きました。

『いつか王子さまが』、これも若干そうしたコミュニケーションの失敗みたいなのを描いているのかな? 演劇の感想、それをもってつきあっている相手とのギャップを説明していく。ええ、男の感想にあらわれる感じ方、考え方の違い。それをなんとなく受け入れようとしてるヒロインだけど、まあ、こういうの結婚したりしたらもっと大きな問題になったりするから、もう別れちゃいなよ、あんたら性格の不一致できっとこじれるから、と考えたりするのが私です。実際この漫画、ふとたまたま出会った演劇の王子様。彼女との関係がきっかけで、この彼氏と別れることになるんだろうな、そんな期待をしてしまっています。

『君と朝まで』は、前回登場のアシスタント、彼との関係が掘り下げられるのかな? そんな風に思ってたんですけど、違うんですね。今回は編集さん。これまでの人がやめて、変わりにくることになった人、ちょっと怖い人、そして悪い噂のある人。でも実際は、情熱的で、すごくいい人。ただちょっと口が悪いよね。むしろストレートな表現、それが気持ちに訴えて、でも全然恋には発展しそうにないっていうの示されて、このヒロインの空回りっぽい描写、面白かったです。

  • 『まんがタイムLovely』第18巻第4号(2011年5月号)

2011年4月12日火曜日

TVアニメ「夢喰いメリー」オリジナルサウンドトラック

 夢喰いメリー』のアニメを見ていて、結構凝ってるな、なんて思ったのが音楽でした。作曲は奥慶一。プロフィールを確認すれば、なんと、スペクトラムの人なのか! 驚いて、その経歴、東京芸大の作曲卒ってのにまた驚いて、知らんかった! へー、そうなのか。で、驚きつつも納得。というのは、『メリー』の音楽、オーケストラの書法がすごくオーソドックスというか、しっかりしてるなあ、なんて思っていた、その理由がわかったように思ったんですね。というか、わかったといってかまわないでしょう。古典を学んだ、その結果がこの音楽なのだなと恐れ入りました。

気になったのは、オーケストラの書法もそうですが、他にもいろいろあって、メロディ、というかモチーフといいたいのだけど、耳に心地いい旋律を使っていないところなど、それこそ近現代ものを思わせるような音型が目立っていて、実にスリリングな味つけになっているんですね。また複調っぽい曲もあって、すごく耳に残ってた。アニメ『メリー』はサスペンス調に展開していましたが、その視聴者にハラハラと不安を与える効果、展開や演出もそうだけど、音楽も大いに貢献していたと感じています。

スリリングに展開する音楽があったかと思えば、すごくストレートにうったえる、そんな音楽があるんです。ほっとさせられるシーンで、コミカルな場面で、そして気持ちの高まる、そんなシーン、メリーが夢路が、がんがん押していくようなね、そんなシーンにかかる音楽。それは意図的に耳になじみやすいように作られてると感じられて、このコントラストは見事ですよ。いや、ほんと、すごいなと感心しながら見ていたんです。多様なスタイルが、多様な場面にマッチして、すごく効果的に場を盛り上げ、あるいは寄り添うようにあって、これはいいなと思ったのです。

アニメを見ている時から気になった曲、耳に残った曲、それは結構多かったのですけど、どれかひとつといわれると「イチマ」ですね。琵琶を使った曲。わお、すごいな。そう思ってサントラ、楽しみに聴いたら、もっとすごかった。いや、もったいないよ。全然使われてないじゃん。他の曲もそうなんだけど、ものすごくよくできてる、そんなところが使われてないみたいなこと、どうも多いみたいで、いや、ほんと、もったいない。そんなこと思わされたサントラでした。

  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2008年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第2巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第3巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第4巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第5巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第6巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

アニメ

CD

2011年4月11日月曜日

夢喰いメリー

  あまりにヨノナカ、夢もキボーもないものだから、買ってきました、『夢喰いメリー』BD第1巻! ついでに原作とアンソロと『ナイトメアマガジン』も買ったよ。あ、CDはもうコンプリートしてる。というわけで、ずっといつ買おう、いつ買おう、そう思ってた『夢喰いメリー』単行本、買いまして、いやあすっきりしました。『メリー』第1巻の出たころというのが、じわじわと出版点数が増えてきた時期にあたったことから、そのあまりの圧迫感に購入数をしぼろうと試みたりしてまして、ええ、『メリー』はその試みに巻き込まれんですね。

けれど、『メリー』、じわじわと面白さがしみてきて、けれど1巻買ってないからなあ、2巻の時も3巻の時もそう思ったんじゃなかったかな。でもなかなか踏み切れずにいて、そしたらあのランズボロー戦ですよ。これは、これはすごい。あん時は、買ってなかったことを後悔しました。で、今何巻ほど出てるの? ええ、ランズボロー戦が終わった時点で4巻でしたね。買おうと思えば買える。けれどやっぱり買わずにいて、そのうちにアニメ化が発表されて、なおさら買えなくなって、けれどやっと買えた。ええ、悩んでいたことが馬鹿馬鹿しいですね。

『夢喰いメリー』がアニメになると聞いた時、これはすごく楽しみだ! そう思ったのです。さっきもいったランズボロー戦。あの畳み掛け。ものすごくわくわくさせられた、あれをアニメで見られるとか、最高なんじゃない!? ええ、夢見ましたね。だからアニメも楽しみにしてて、いや、面白かったです。絵はきれいだし、全体に陰鬱な感じが加えられてる、そういったニュアンスの違いも面白かった。音楽もかなり気にいっていて、だから最初に買ったのはサントラでした。まあ、同時にOPとEDも買って、その後キャラソンも揃えてしまって、今、こうしてBDから書籍から、とりあえずひととおり買うにいたったのでありますが。いや、ほんと、いつ買うかだけの問題。遅いか早いか、それだけの違いになってしまいました。

今日というタイミングで原作含め買い揃えたのは、アニメがちょうど昨日終わったところだから、なんですね。アニメは悪くなかったけれど、やっぱり13話は短かった。ランズボロー戦で見せた3段の畳み掛け、あれが1段少なくなって、さらにちょっと小規模に描かれてしまった、そうしたところがちょっと残念で、けど2期があったりしたら、ランズボロー戦、がっちり描かれるんじゃないか? そんな期待もあって、逡巡していたBD購入を決意。で、アニメが終わったら原作を読むという習わしにしたがい、ええ、『フォワード』を全部残してるとはいえ、それで読むのはきついものがあるでしょう。だから、コミックスを買ったのですね。最初はひと月に1冊とか2冊ずつ、負担にならないようにと思ったんですが、いやあ、夢もキボーもありゃしない世の中でしょう、ええい、もう思い切れ! 思い切ったんですよ。

原作、頭から読んで、ちょっと懐かしい。そして、いろいろ仕込まれてますね。ええ、これからどんどん読んでいきますよ。気持ち高めていきますよ。

  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2008年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第2巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第3巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第4巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第5巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2010年。
  • 牛木義隆『夢喰いメリー』第6巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

アニメ

CD

2011年4月10日日曜日

『まんがタイムきらら』2011年5月号

『まんがタイムきらら』2011年5月号、昨日の続きです。

『少女公団アパートメント』は、ちさとろかのふたりだけで展開する、公団探検ものであります。自治会の用事で、他の棟をまわることになった、ええと、ろかが。で、ちさが付き合うんですね。ちさにとって、ほかの棟に入るのははじめての経験、というわけでちょっとの違いが面白い。ドアの色、ちょっとした造り、そして住人の手になる装飾もろもろ。同じような造りである団地だからこそ、こうしたのが面白く感じられるんでしょうね。そして、ちさが引っ越してきた時を思わせる、そんな女の子と出会って、いやもう、可愛いな、みんな。そしてちさのありがとう。なんかすごくいい雰囲気じゃん、と思ったら、最後のページ、右に小さな文字が! グ、グランドフィナーレ!? と思ったら、ああ、次号休みですか。正直、少しびびりましたよ。いやほんと、驚きました。勘弁してください。

『うちのざしきわらしが』、エイプリルフールの話ですね。ひょうひょうとざしきわらしをだます。特に打ち合わせもしてないはずの夕美さんとのコンビネーション、すさまじい。ほんと、心が通じあってるというか、ざしきわらしをからかうとなれば、ここまで意気投合するのですね。でもって翌日の夕美さん。だましてからかってるつもりだったのが、思わぬ逆襲うけて、いや、あの驚きの表情、そして意外な反応。なんと、可愛いお嬢さん。これは面白かったです。お嫁にいけないって、いや、学に責任とらせりゃいいじゃありませんか。

『だいすき♡』、お兄ちゃん大好きの千夜、ついに引導がわたされた? 高校最初のテストの結果、ひどく悪かった。お兄ちゃんの世話、具体的には料理だそうですね、それらもろもろが原因で勉強を疎かにしてしまった。というわけで、料理禁止令が出て、いや、でもこれ、成績をだしに保身はかったんじゃないのんか? そんな気もちょっとしたのでした。しかしね、妹が兄大好きなら、兄も妹大好きで、あの落ち着かん感じ。もう、どうしようもないですね。そんな状況をとりなす志津、いい人ですね。面倒見がいい、思いやりもある。ほんと、いいお姉さんだと思います。

『ねこきっさ』、ここしばらく続いていたバビロンの話、ああ、なるほどそうしたシステムだったのですね。働く必要のない世界。その恩恵をうけて、ゆるみきった人たち。お客をとられて、ねこきっさの存亡が決まった? その判断のくだされようとした時に前へ出てみせたクゥの言葉。最初は、ああこの子らしい、そう思わせる、むしろ残念な台詞。けれどその言葉があぶりだした、みんなの気持ち。言葉の意味するところが転換する瞬間、その鮮かなさま、見事でありました。次号、最終回! 長い連載、好きな漫画でした。ええ、ちょっと切ないけれど、最終回、どういったことが描かれるのか、楽しみにまちたく思います。

My Private D☆Vは大沖であります。いつもながらのシンプルで独特の味がある、そんな絵柄。ジト目がお好きとのこと。ああ、なるほど、道理でこうした表情描かれることが多いわけだ。そして、恥ずかしとか焦りの表情。ああ、これは魅力的です。わりと無表情っぽく描かれることが多いけれど、ちょっとのことで気持ちが表れてくる、そんなところ見せられて、ええ、とてもよいイラストでした。いや、ほんと、可愛いですよ。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第5号(2011年5月号)

2011年4月9日土曜日

『まんがタイムきらら』2011年5月号

『まんがタイムきらら』2011年5月号、発売されました。もしかしたら入手できないんじゃないか、そんな心配もありましたが、無事、いつも購入している店にて手にいれることができました。いや、最後の一冊だったのですが。さて、入手困難と予測されたのは、ええ『けいおん!』の復帰号だからでありますね。表紙には四人が並んで、中央にただいま。の文字。大学生になった彼女らの生活がどうなるか、いよいよ描かれます。

けいおん!』、大学編のスタートですね。冒頭は唯から梓への近況報告、と思ったら、これ夢なのか。入学式当日の朝、寮にての風景ですね。唯がどれだけ憂に依存していたか、そうした様子が描かれて、けどこの状態、下手したら来年には改善する? ところで曽我部先輩。あの寝起きはいいですね。朝弱いのか、この人は。復帰第1回は軽音部に入ろうかどうしようか、そうしたところが描かれたわけですが、自分で部なりサークルなり作って独自に活動するってのもありだから、そんなこと思っていたけれど、この展開では軽音部に入部、そして和田晶、吉田菖、林幸の三人がライバルバンドに? といった感じになりそうですね。

『チェリーブロッサム!』は、幼なじみ、つばきが久しぶりに登場ですね。どう見ても大咲のことが好きな人。でも、本人はそうした意識持ってないというのが意外です。しかし、妹沙咲野、この子は怖ろしいな。どんだけ兄のことが好きなのか。その独占欲の強さというか、つばきに対する態度が実によいんですね。追い込むように見せながら、追い込むと恋に気付かせてしまいかねない、そうなったら自分に不利益があると、違う方向に振り向ける。したたかな妹、実にいい性格しています。

『2-B!』、なおさらいいですね。バームクーヘン、モグモグいって食べてるヒヨコがすごい。なんだろう、ハムスターみたいな食べ方、すごく味があって、こういう絵、すごく好き。で、次の呆れ返ってる顔も実にいい。ただ可愛いだけでなく、多彩な表情の描かれる、そうしたシチュエーションが描かれる、そのいろいろを見せてくれるところがいいですよ。そして、つかさですよ。本当は皆と一緒したいというのに、立場ゆえなのか、なかなか素直になれない、というか建前でしゃべっちゃう? 自業自得とはいえちょっと可哀そう、でもそれで後悔しちゃったりするところが可愛いと思います。そしてファミレスでのアリスの注文。あれはいかします。通じないんだ! しかし、あの大量に出てきたお菓子、バイキングだっけ? いや、30%オフなだけだよね? ちゃんと問題なく勘定できるのか、ちょいと心配だったんですが、問題なかったんだ。それはよかったけど、つかさに関しては残念でございました。いやほんと、いつか一緒できるといいですね。

『箱入りドロップス』。陽一、雫に加え桂木萌なるお嬢さんが登場してきましたね。ちょっと元気な人。雫曰くはじめてのお友達。強面の陽一、世間知らずの雫、このふたりではあまり活発にまわりそうでないけれど、明るく人懐こそうな萌がいると、いろいろ動きそう? いや、雫ひとりいればいろいろ展開していきそうではありますね。陽一の反応と萌の反応、それがそれぞれ違っているのがいいですね。しかし、ふたりの雫の見守りよう、なんだかお父さん、お母さんな感じで、すごく面白い。それだけ雫がいい子だってことなのかなあ。ええ、雫、すごくいい子なんですよ。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第5号(2011年5月号)

2011年4月8日金曜日

少女カフェ

 いまや少女といえばカフェか素数か、そうした風潮でありますが、本日はカフェ、カフェの方であります。板倉梓『少女カフェ』。優しいを通り越してちょっと頼りないお父さんがマスター。その名もカフェサンフランシスコ — 、サンフランシスコの定番ブレックファースト、パンケーキを売りとする喫茶店を舞台としたコメディ、楽しい漫画であります。さて、そのカフェサンフランシスコが少女カフェである理由。ええ、お父さんには娘があるのですよ。ふたごの女の子。みおとつくしのふたり。しっかりもののつくし、ちょっとどんくさいみお、ふたりともすごく可愛くて、ああ、まさしく看板娘。しかしただ可愛いだけじゃないっていうのがよいのですね。

つくし、ちょっと辛辣。じゃあみおはというと、天性のつっこみ力があって、その踏み込んで斬りつけるかのような言葉の鮮かさ、やっぱりちょっと、いやむしろつくし以上に辛辣だったりしましてね、しかしそれが本当に素晴しいのですね。見た目に甘い子たち、けれど実はビターなんだという、そのちょっとの苦さが、彼女らの魅力をことさらに引き立てています。

そして魅力は店の常連客、お父さんの以前からの知り合いである葉月さんや、最近訪れるようになった宮嶋さんが代表格。コピーライターやっている葉月さんは、見た目にかっこいい女性なのだけれど、どこかちょっと駄目なところがあったりして、そこがチャームポイントになっていますし、浪人生の宮嶋さんはといえば、どこまで本気だかわからない言動が光る、もう大好きですよ。いや、葉月さんのことも好きなんですけどね。というか、この漫画に出てくる人たち、みんなが好き。ええ、いい人ばかりなんですね。

だから、やっぱりマチコさんのことも好きなんです。『少女カフェ』は、おっとりしたお父さんとしっかりものの娘たちが頑張ってる漫画。お母さんは、先月病気で亡くなりました。ええ、この漫画は、妻を亡くした夫と、母を亡くした子供たちと、そして友人を亡くした女性の物語でもあるのですね。明るく振る舞っている、そうした人たちの姿、その笑顔の向こうに悲しさが隠されてる。折りに思い出されるお母さんのこと、マチコさんの思い出、それはちょっぴり切なくて、けれどとても穏やかで、それが穏やかであるがゆえにたまらなかった。涙が次から次から溢れてきて、容易に読み通せなかった。途中、休み休み読み進めて、ああ、この人たちは、大きなものを失って、大切な人とお別れして、そうした欠けてしまったものを埋めあわせんとして、ひとつ場所に寄り添うようにしているのかも知れないな。ともすれば心の中いっぱいになってしまいそうな悲しみや不安、怖れ、それらが溢れてしまわないように、ともにあって、支え合っているのかも知れないな。そんなことを思ったのでした。

カフェサンフランシスコは癒やしのカフェ。それは、まずその店に働く人たちが、互いへの愛おしさを胸にともにある、そんな場所だからかも知れません。悲しみをではなく、愛情を注いで注がれて、そうした彼らだからこそ、訪れる人たちをも癒やせるのかも知れません。そして、それはきっと、マチコさん、彼女もそうだったのだろうな。彼女の注いできた愛情、それが今も息づいてここにあり続けているのだろう、そう思わせるのですね。

  • 板倉梓『少女カフェ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年4月7日木曜日

『まんがタイム』2011年5月号

『まんがタイム』2011年5月号、発売されました。表紙は鉄道テーマの模様ですね。駅弁を喉につまらせる『おとぼけ課長』をメインに、ドクターイエローに乗ってる『ナイショのおままごと』木の葉、車内販売かにめしを売る『すいーとるーむ?』ゆかりさん、時刻表を手に鉄路の旅『たまのこしかけ』たまこさん、そして運転士? 車掌? 制服がかわいい『タマさん』杏であります。

たまのこしかけ』、なんだ、たまこさん、人気なんじゃないか。けど絶望的に気付かない。誘われてるというのに、その言葉の終わる前にひとり旅の予定ができあがって、しかも予約完了だ。いかすなあ。この人は鉄道と結婚したようなもんだ。でも京都にいく予定なのに、途中で下車してしまうというの、これは鉄道ファンとしては普通? それとも大失敗? でも、紀伊一周にすぐに切り替えられるのはさすがといったところなんでしょうね。しかし、旅、よいなあ。ほんと、どこか旅行にいこうかしら。

『ソフテン!』、今回、結構面白かったな。いえね、好きな男ができて、噂にきくその男の好きなタイプに変わろうとする。それも豊胸手術とかいう方法で。そんな子に対して、監督がいろいろ嘘の情報与えて、振り回して、それはよくないよと静かに説教する。ちゃんと伝わったかどうかは不明だけれど、なかなかに面白かったのでした。で、ソフトボールは関係なかった……。いや、別に必ずソフトボールじゃないと駄目とは思ってないので、面白ければオッケーです。

『華園の微男子』、その方向性が見えてきた感じですね。校外学習でいちご狩り、スイーツ製作体験、そして執事付のアフタヌーンティー。男子には面白くない、っていうのはいいとして、やりたい放題の女子連中がいかします。ホイップクリーム持ち込み、あんこ持ち込みはまだしも、チョコレートファウンテン持ち込みとな! 見た目に可愛く、けれど実態は結構たくましい女の子たち。こうした描写はとてもいい。でもって主人公、なるほど執事としての才能を評価されるわけですか。実際、この人は生徒会の女子たちを執事的ポジションで支えることになったりするのかな。でも、そういう展開もいいかもなって思っています。

『ねじゆるゆる』はなかなかに狙ったネタを展開してみせて、そういえばねじこはネコ型ロボット。どのへんがそうなのかわかりませんが(もしかしてあのネコなのか? だとしたらねじこのキャラづけも理解できる!)、あの有名なネコ型ロボットを意識したフリと回収、期待させてがっかりさせる。その畳み掛け、好みであります。どれだけ馬鹿馬鹿しく落とせるか。それが鍵だと思うのですが、スモールライスにはもう本当にやられました。私の発想ではこんなの出ません。なんだかわびしい花見の様子も面白かったです。

  • 『まんがタイム』第31巻第5号(2011年5月号)

2011年4月6日水曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年5月号

『まんがタイムジャンボ』2011年5月号、一昨日の続きです。

ボクの社長サマ』、情報漏洩を扱って、なるほど、昨今なかなかシビアな問題であります。けれど、漏洩させないための対策、いろいろ見せてみて、それを軽く乗り越えてみせている藍按常務、この人いったい何者なんだ!? 某国なんたらってのも、ただ迷い込んだだけ? それともなんかの特命で!? 謎の男であります。そして特別編。驚きました。こういうちょっとハード目の描写、以前に描かれてた漫画を思い出させますね。上昇志向がやたら強くて、社長を追い落とそうとしている音長専務。彼の情に厚いところが描かれて、いや、よかった。そしてなるほどあの彼が、なぜあれほどに専務に忠実に付き従っているか、その理由がわかりました。なんだか本編からは伺えないような話。ちょっと異色で面白かったです。

『輝け星の川高校自由形』、菊池乙女が素晴しい。妙にアンニュイ、どうしたのかなと思わせて、なんだその理由。その理由が明かされるまでのひっぱり、やたら単純でやたらストレートな中島との対比もあって、すごく魅力的と感じていたものだから、いや、ほんと、いつもの乙女であったのかと一気に気持ちがゆるんで、その落差がよかった。しかし翼にもっと恋しちゃうっていうの、いやほんと、そういや最初はこんなところからスタートしたんでしたっけね。

『天文むすめ』は天文まんがというよりも、オカルト含む、そういった方向に舵をとっていますね。でも、そういうのも好みですよ。部として活動できるよう、いろいろ策を講じるレティちゃん。それで星占いっていうんだけど、どう見ても違う。すごくうさんくさくって、というか、今の若い人、火星は喜びのうちに統治されるの元ネタとか知らんのじゃないか? いや、しかし懐かしい。もう十年以上も前だもんなあ。そして、澄礎二の母。この人もいかします。レティに戻れば、アカシックレコード監理局、あのグルグル目が素晴しい。でもね、最後に普通の推理なんじゃないかって思わせる、そんなところ描いて、こういう、丸っ切りオカルト設定でもいいのに、そうじゃないかも知れないって風に感じさせる、その塩梅がよかったなって思ったんですね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第5号(2011年5月号)

引用

  • 高内優向「天文むすめ」,『まんがタイムジャンボ』第17巻第5号(2011年5月号),147頁。

2011年4月5日火曜日

『まんがタウン』2011年5月号

『まんがタウン』2011年5月号、発売されました。表紙は、『新クレヨンしんちゃん』ですね。実はスパイだったのだそうです。これは、映画の題、スパイ大作戦をうけてのものですね。けれど、ちょっと昔の映画、007あたりを意識したデザイン、ひまわりがボンドガールでありますね。

光の大社員』、「犬のようなモップ人形」、これはすごいアイデア商品だ! とは思うけど、たまきさんの気持ち、よくわかります。しかし、あの無表情の3コマ目から落ちにいたる、その転換、ギャップが見事です。静かな怒りを感じます。さて、忍者係長とすずな君。ふたりは仲がよいなあ。あの密書型USBメモリの落ち、あれは面白かった。そして、すずなさんの失敗。けれど、それはむしろバリューを高めたように思います。

ほほかベーカリー』は、うまい構成でありますね。パン屋で働く娘たちの漫画。基本、単発ネタで勝負するタイプであるのですが、冒頭に消防車見ると走ってついていってしまう人のネタをふって、そして最後にきれいに回収する。途中に一段、ステップになるようなのがあるのがいいなと思って、そしてそれもまたなんだか夢のある感じで、きれいだったなって思うのですね。しかしふわちゃん、ほほかに対し、勝負だなどというけれど、ほんといい友達になったなって感じです。

『せんせといっしょ!』、今回は桜公園に遊びにいくというのですが、あの電車が好きなんだろうなって男の子。あのやりとり、もう大好き。3コマ目の絵、微妙に感じられる距離感もいかす。でも、こうした違いわかっちゃってる子供っていますよね。もう実によかったです。しかし自慢げに揺れるとか、上半身に重心とか、こういうネタを見るたびに、いやいや揺れないのも魅力的よ! 上半身が軽いのも素敵よ! と思ってしまう私です。

『みねちゃんぷるー』、婚活部を邪魔するために作った反婚活部。見事に骨抜きにされてしまうわけですが、最初のうち、丸め込まれながらも納得いってない様子だった峰が、最後には和解、友情を確認して、しかし今度はわかばのポジションが面白くなるっていうの、なんかちょっとめずらしい感じがしました。もりあがるふたりに対し、基本冷静であるために取り残され気味になってるんですね。けど蚊帳の外はいやだから、ちょっと抵抗ありつつも、とりあえず混ざってみる。こうした冷静な視点を保っているところがこの子らしくてよいなと思いました。

  • 『まんがタウン』第12巻第5号(2011年5月号)

2011年4月4日月曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年5月号

『まんがタイムジャンボ』2011年5月号、発売されました。表紙は海賊でありますね。『じょしもん』、『おねがい朝倉さん』、『でり研』から、主要キャラが海賊コスチュームで参加、って、『でり研』はまさかの浦飯屋。ヒロインを出さないっていうの、驚かされます。そして『レーカン!』、『半透明勤務薄井さん』も登場。天海さんはお姫様? 薄井さんは酒場の給仕? いえね、樽にドクロが描かれてるから、火薬樽かと思いましたよ。

『レーカン!』、今回も二本立て、なのはいいとして、ページの右と左で風邪ひき天海さんと学校組の出来事を同時並行的に描くというの、面白いですね。こういう凝った見せ方する人、たまにいますけど、最後に合流するまで、こうもうまく見せてくれると、やっぱりよいなって思うのです。しかし、クラスの皆が幽霊慣れ、怪奇慣れしてしまってて、もう当然のようになってる、さらには軽くコミュニケーションとってるってんだかものすごいです。しかし、最初のころはちょっと陰鬱というか、暗めの印象がありましたけど、今となればなんかみんなのりのりの楽しい漫画です。

『でり研』、ああ、私も人生迷ってます。さて、海原さん、なんでそんなに下手なのか。ホットケーキをまともに焼けない。その苦闘の様子、見ていて、ちょっと可愛いと思うのだけど、うん、大仏くんに焼かせればいいんだよ。いや、ほんと。あきらの反応がよかったなあ。バンバン、とか、ほんと、気さくさがいい感じ。といったわけで特別編。以前、お酒の時にちょっと語られた話ですね。罰ゲーム。その時のこと、今さら謝られたってなあ。そう思ったら、やっぱり大仏くんも思ったか。この話、私なんかは、そりゃ謝った方はすっきりしていい気分よね、とか考えちゃうんですが、それを許してしまう大仏くん、この人はほんとうにいい人なんだなって思わされましたよ。ええ、ほんと、いい人です。

『半透明勤務薄井さん』、連載になったのですね。気に入ってるので、これは嬉しいです。幽霊、けれどほがらかな薄井さんのいる職場。今回はヒロイン麻生の歓迎会の様子を描いて、けど薄井さんがオフィスを出られないからということで、職場で飲むことになったんですね。麻生さん、ほんとに薄井さんのこと大好きだな。この漫画はほがらかでほのぼので、見てるとなんだか嬉しくなる、そんなところがあるのですが、たまにちょっと寂しげな情景、感傷、情感がさすことがあって、そういうのもまた気に入っているのですね。

パドラーズハイ』は残念でした。今回は最終回。部をつくるところからの回想があって、そしてみんなで夢を語る。そんな最終回。ちょっと駆け足でしたね。この漫画は好きだったから、うまく育っていくといいなあって思っていたのですが、ちょっと急ぎすぎたのかな。そんなこと思わないでもなくて、ああ、2巻は出ないんだろうな。すごく残念に思います。もう少し、軟着陸できなかったのかな。そんなこと思います。

また、なにか描いてはくださらんかな。今はただただそう思います。

スペシャル企画エッセー「とっておきの宝物!」。まさか一本目からギターが出てくるとは思いませんでした。松嶋でぇご。これ、ヤマハだな。間違いなくLシリーズとわかる。LLかなLSかな。最初の絵はLLに思えるけど、弾いてるところ見るとLSっぽく感じます。26、確かにン十万でありましょう。楽器は弾かないと、人にも楽器にもよくないんですが、時間をなかなか確保できないっていうのが、やっぱり最大の問題になります。しかし、Lシリーズの上位機種。いいなあ、ちょっと弾いてみたいです。

そして他の方の宝物。梨尾は手紙、清水アイは猫、あろひろしは、映像のコレクションか。これはすごいな。でも、プレイヤーの確保っていうのが難しいですよね。LDプレイヤー壊れたら、ほんと、どうしよう。見られない、ただ持ってるだけのコレクションになってしまいます。ビデオデッキはもう諦めました。そして弓長九天、これはなんかすごいぞ。しかし、この人はちょっと思いもつかないようなもの、たくさん持っているような感じですよね。実際、この惑星の音っていうの、すげえ、こんなのあったんだ、ちょっと興味深いしろものでありますよ。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第5号(2011年5月号)

2011年4月3日日曜日

ラッキー・ブレイク

 『ラッキー・ブレイク』は『まんがタイムきららキャラット』に掲載されている漫画、デザイン会社にて働くお嬢さんたちの漫画であります。ええ、社会人ものなんですね。『きらら』系には珍しい、そういってしまってよいものか少々迷いますが、 学生学校に基本まったく接点がないというのは実際めずらしいかも知れません。基本会社が舞台。あとは出張の工場の出勤途中のと、とにかく仕事がらみの社会人ものです。なのですけれど、ただのオフィスものとは一線を画していて、むしろ学生気分がよく残されている、そうしたよさがあるのですね。それは、やっぱりデザイン会社、クリエイティブ系だから? なんだか自由そうな社風で、けどだから即、夢の会社とはならないところがよいのですね。

主人公は野々川陸。芸術系大学にてデザインを学んでいたお嬢さんなんですが、初回、冒頭にていきなり学生生活が終了するという、まさに逆境からのスタートってのがしびれます。雑誌で読んでいたときには、不況の今日、実にわびしい話であるなあ、なんて思ったものでしたっけ。で、バイト先で見初められてはじめることになった仕事ですけど、これもどんな仕事かわからない。いや、もうどんな風になるのだろう、そんなこと思いながら読んだこと思い出します。

デザインを学んでいた陸が勤めることになったのはデザイン会社。デザイナーとして働くこととなって、同僚たちは皆なかなかに個性的で、明るく楽しい人たち。ああ、いい感じじゃん。学校をやめざるを得なかったのは悲しいことだけれど、それでも理想的就職ができたんじゃん。そう思っていたら、なんといいことばかりではないんですね。そう、最初にいってた、夢の会社とはならないってところです。ちょっとぎすぎすした人間関係が描かれたりするんですね。陸の才能に対する嫉妬なのか、敵愾心をあらわにする人がいる。きつくあたられる、ネガティブな評価、そうしたところにまたハラハラとさせられて、ああ仕事っていうのは大変だよね。とりわけ人間関係ってのが難しいよね。色々思ったんですね。

けれど、だからこそこの漫画はよかったと思うのです。きついちゃこ先輩と陸が一緒に出張にいかされる。豊岡の工場につめて、連日検品させられる。もう、見ているだけできついです。ああ、自分ならたえられないかも知れない。そう思った。けれど、この件をきっかけにして一気に関係が動くのですね。それまでに延々描かれてきたことがあった。また、この出張の間にもいろいろあって、ああ、それらはひとつの山に向かう道のりでありました。山をひとつ越えて、そうしたらその向こうにはまた違った景色が広がっていたというのですね。あれは素晴しかった。思いやり、やさしさ、ああ、よかったなあ。そう思って、ああ、やっぱりここは夢の会社なんじゃないかなって思ったんですね。

決していいことばかり、楽しいことばかりが描かれる漫画じゃないのだけれど、時にきびしかったり苦かったりする、それがアクセントになって、面白さに一味添えている。そんな感じであるのですね。いえ、ほんと、甘い楽しいばかりじゃなく、苦いつらい大変もあって、大人の毎日っていうのはできあがるんだなって思ったりするんですね。

あと、余談。舞台が大阪で、知ってる景色もいろいろ出てきて、おお、なんだかすごくいい感じ。やっぱり知ってる風景とか、わくわくさせられます。

  • 平つくね『ラッキー・ブレイク』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年4月2日土曜日

『まんがホーム』2011年5月号

『まんがホーム』2011年5月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』らいかがどーんとメインをはって、ウェイトレスですね。トレイには苺のパフェ。なるほど、今回のテーマは苺、春めく表紙であります。『夫婦な生活』はどんぶりみたいなパフェを前にしたふたり、『笑って!外村さん』はスカートにつんだ苺か、一杯にもっていて、そして『椿さん』。これはいったいどうしたものか。色物担当? なかなかにインパクト強い椿さんであります。

笑って!外村さん』は6月に第2巻、ということは、第1巻、売れたのかな。しかし人気のある様子、これは嬉しいことであります。さて本編はといいますと、新学期。ついに短かいスカートにチャレンジする外村さん。いや、でも、これ普通の丈よね。膝下よね? それでも恥ずかしいというんですから、よほどの繊細さであります。しかし、前回前々回といっていいのかな? 吉永先生姫木さんも登場して、なるほどこうやってちょこちょこ登場してくるのか。関西からきた転校生、三雲も外村さんを意識していい感じ。けど、一番好きなのは外村弟に恋しちゃってる彼女らだと思います。純情娘たち。ほんと、面白い。いいキャラクターが揃って、いい動き見せてくれます。

『椿さん』、めちゃくちゃ面白いです。着ぐるみでアクションもすごければ、あの家政婦業で鍛えた? 掻き消えるように移動して、その上分身まで! でも今回はあの4月1日にまつわるシリーズ。あれが面白かった。全力でだましまくる。木まで植える? いや、作った? 髪の吹っ飛ぶギミック装備? 弟から商店街の皆からだましまくって、もう、椿さんも人が悪い。しかし、これが本当に面白かったんですね。もう、めちゃくちゃ面白かったです。

おしのびっつ!』、これは面白かった。咲ちゃんの恋。気になる人がいるんだけど、という話にくないが乗り気になる。そこまではいいんだけど、尾行の聞き込みの変装のと、常識が違うというのをどんどん露呈させて、いや、もう、ほんと素晴しい。でも、あの男装くない、可愛いな。いや、眼鏡だからじゃないよ? でもって、女装しのぶ。もう素敵すぎ。しかし男装女装で兄妹デートって、どんなシチュエーションなんだろう。鼻血でそうです。でもって誤解されるしのぶ。いや、ほんと、最高でした。

『センセイあのね?』、いい感じに新学期ですよ。久しぶりに先生に会える! しかも担任の先生、また石沢先生だ! そんな気持ちに水をさす石沢先生の勘違いですよ。もう、はやいこと誤解といちゃえばいいのに! と思うんですが、そう思うのは私だけじゃないようで、真理さん。ああ、やっぱりそう思いますよね。けど、気付いてることいいにくい。いや、いいたくないだけなのかな? そんな葛藤が描かれて、ここからこういう展開でしばらくやるのかな? って思ってたら、おおう、越後屋さん! 思いっきり踏み込んで、素敵! しかし、クールなのか無愛想なのか、それともただただストレートなだけなのか。面白い人が出てきました。次回のつぐみさん、どう返事するのか、もろもろが楽しみです。

  • 『まんがホーム』第25巻第5号(2011年5月号)

2011年4月1日金曜日

inote! — アイノテ!

 『inote! — アイノテ!』の表紙、ちえがどーんと川に飛び込んでる! と思ったら、これ、放り投げられてたのか! いやね、表紙はこんなにもダイナミックに見せつけて、その状況は裏表紙にて語られる。そして、カバーをはずせばその後の状況まで描かれて、いや、もうこれが面白いの。いえね、表紙に見える携帯電話、iNoteですね、これ、ちえと一緒に飛び出たんじゃなくて、誰かがこっそり投げたんだ! なんという悪辣な所業。表紙ではあんなに楽しそうなちえですけれど、きっと自分のiNoteが宙を舞う様を見て慌てたに違いない。ケータイ守ろうと必死のちえ、あたかもまぶたに浮かぶよう。そんなこと思わせる展開がきっとあったというんですね。

さて、『アイノテ!』でありますが、このタイトルは第3回にてちえが入手した携帯電話、iNoteからきてるんだ。そう思っていたら、それとは別の理由もあったのですね。いなかの i 、私を意味する I に、ノート、日記、学校を思わせる note を組み合わせたのだそうです。なるほど、ちえのいなか暮らし、といっていいのかな? 京都は琴弾にてのメモリー、を意味するタイトルなのかと妙に納得したのでした。実はですね、iNoteが一向に活躍する機会がありませんからさ、携帯電話のもろもろはタイトルに痕跡を残すのみで、後退しちゃったのかな。そう思っていたら、むしろこれはタイトルから発想されたもの? iNoteを出したいからタイトルが『アイノテ』だったわけじゃないのかも知れないって思ったんですね

さて、今こうして最初から読んでみて、ああ、ちえは最初田舎暮らし、嫌がっていたっけな。なんだか懐かしく思ったのでした。だって、今となってはそんなそぶりまったくなくて、むしろ最初っからこの土地に暮らしてるかのように溶け込んで、いやもう元気元気。持ち前の明るさといったらいいのでしょうか、あるいはちょっとおバカなだけかも知れませんが、猪突猛進気味に、後先考えず行動してるっぽい、そうした姿が楽しくて、またたきつけるカーコ、謎めいてること、そして唯一の良心? さくら。さくらのポジションがいいなって思うんですよ。なんというのだろう、彼女のまわりだけ空気がちょっと違う。日だまりのよう、ちょっとほっとさせられる、そんなおだやかさがあって、そしてそんな彼女の存在が、わりとやかましいちえたちのどたばたの緩衝材となり、また一層にぎやかさを際立たせる、そんな効果も生んでいると思うんですね。

しかし、そんなさくらが、カーコと一緒に、雨に降られた橋の下、エロ本を漁るっていうのですから、あの展開、さすがにちょっと驚いて、けどちょっとドキドキさせられたのも事実です。いえね、エロエロってほどお色気ふりまかれる漫画じゃないんです。けど、ちょっとしたところにドキっとさせられるところがあって、ちょっとしたしぐさとか、表情にですね、ひきつけられる、そんなところがあるんですね。

それと、これはもう余談なんだけど、舞台は京都琴弾っていうんですが、具体的に取材してるのは大原なんだそうですね。なんと、大原三千院。『キャラット』最新号で、カーコのうちが温泉旅館と判明しましたけど、実際大原には温泉もあるんですね。調べてみると、ラドン泉? 1kgあたり2.5ナノキュリーだそうだから、ベクレルに換算すると1kgあたり92.5ベクレル? 放射能泉の基準には満たないんですが、結構いい数字が出てますね。

大原なら、2時間ちょっとでいけるかな。日帰りでもいいし泊まりでもいいし、ちょっといってみても面白そう。そんな気になっています。いわゆる聖地巡礼ってやつですか? あと、ちょっとiPhoneが欲しいです。

  • 夕仁『inote! — アイノテ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊