『まんがタイムきららミラク』2012年6月号、発売されました。表紙は『夜森の国のソラニ』ですね。夜森であります。夜桜、桜の下、フードに花びらをいっぱいに溜め込んで、背景に光っているがように淡くピンクに咲きほこる桜は幻想的。そして、夜森は、ただ佇んでいるだけ、けれどすごくキュートで、あの手の細やかな表情、そうしたところにほのかに色気が感じられるイラストです。しかし、あの笑みも静かで、きれいで、魅力的ですよね。
今日はゲスト中心です。
『8'sエレジー』。タイトルの8'sがなにを意味するのかはわからないんですが、ヒロイン山科優嫁の着ている服の胸にその文字が見えますね。この人、人からはガラが悪いのなんのと、悪くいわれているみたいなんですが、本当は全然違う。くちなし寮は406号室にて先輩に甘える彼女は、まったく違った表情を見せて、先輩は沖埜宿毛、詩を趣味で書いてるお嬢さんなんですね。しかし、その詩がくせもので、他人に読まれることで、その内容が具現する。羊を詠えば羊がでる。けれど、これはほぼ幻で、そのものの目的を達成したら消えていってしまうっていうんですね。この特殊能力のために、詩を読んでもらえない悲しみもあり、しかしそれでできる人助けもある。でも、なにか楽観して面白がって、だけじゃいけない、そんなものを孕んでいるかのような描写もあって、心配というのか、不安というのか、ちょっと違った色合いを混ぜこんで、ひきつけます。
『ももいろhoney』、こちらは、女の子ふたりの恋愛もの? いや、まあ別に、女の子同士でキスしまくる漫画もあるんだから、これぐらいは平気さ! とはいえ、両思いというわけじゃないんですね。守山あきら、クールなお嬢さん。一人暮らししていたこの人のもとにやってきたのがリオ。おお、人じゃないのか? 誕生日に届いた一冊の本から現れた女の子。運命の人と一緒に試練を受け、自分の物語を完成させないといけないっていうんですね。でないと国に帰れない。で、その運命の人っていうのがあきらだっていうんですね。試練とは、ハグをするとか、そういう恋愛的イベント。で、試練を達成したら、その内容を絵日記にしていくんだそうです。こういう設定は、いろいろあちこちで見ることがある。とはいっても、そこには少しずつ違いがあり、それが個性、味わいの違いになっている。この漫画はどんな風に展開するのかなあ。積極的なリオに、ちょっと退いてるあきら。その攻防、楽しみです。
『けーたろいど☆コミュニケーション』は、人型ケータイの普及している世界でのできごと。高校生、寮で一人暮らしをはじめる娘のために両親からのプレゼント。それが人型のケータイ、ケータロイドというんですね。可愛い、人形のようなケータイ。見た目がそうというだけでなく、人工知能も搭載されている? あくびをしたり、会話もできたり、かなりの高性能。この子コロンとここあの生活、あと友人たち。学校での生活も描かれる、それは面白そうです。実際、ケータロイドで留守電伝言サービスから両親のメッセージを再生する場面、コロンの話すその表情など、なんかよかった。可愛い、それだけじゃなくなにかメッセージに心情がプラスされた、そんな印象。機械が再生している、ではなくて、この子が預かった伝言を伝えてくれている、そんな風に感じたんですね。うん、こういうインターフェース、ありかも知れない、そう思わされるものがあったんですね。
『彼女は彼女だけど彼女じゃない』、この展開はなかなかにいい感じかも知れませんね。死んじゃった幼なじみ。その中身は天使に入れ替わっていて、誰も死んだとは気付いていない。正直、この設定はきついなあ、あんまりじゃないの? そんな風に思っていたんですが、その幼なじみ愛美の体を借りている天使、シエルは主人公星也の命を狙っていて、堕天使だからっていうんですが、そんなシエルの思惑を邪魔すべく愛美の中身が戻ってきた! いや、これはいいかも。シエルの勘違い。そのシエルの行為をまた勘違いする星也。そこに、愛美の妨害が! いや、私、この愛美という人を誤解してたんですよ。もっと、ふわふわで可愛いだけの女の子かと思ってた。そうしたら、なんと、思った以上にしっかりしてるし、それに妨害工作見れば、有能だ! そういわざるを得ない。これはいいな、可哀そうなだけの女の子じゃないな。この子なら、いつか、もしや、奇跡もおこしてくれるかも! そう思えるだけで、がらりと色合いを違えてくるものですね。
- 『まんがタイムきららミラク』第1巻第4号(2012年6月号)
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