2010年11月10日水曜日

『まんがタイムきらら』2010年12月号

『まんがタイムきらら』2010年12月号、昨日の続きです。

『モテブ!』、ゲストです。もてない男ふたりの、望み薄のもてたい漫画、といった感触。その絵柄に、最近の『きらら』誌は既存のイメージから脱そうとしてるのかな、なんて思っているのですが、確かにこういった毛色が違うタッチがあるのも面白いと思います。内容は、もてない男たちの勘違い恋愛期待ものとしてのスタンダード、そんな感じで、もういっそう強烈ななにかがあってもよかったかもと思っています。駄目な男ふたりに、主人公の幼なじみの女の子がつっこみ役として機能している。こうした前提があって、最後にモテ部発足。このモテ部がメインなら、今回はいまだ導入でありましょう。次回掲載でどういった展開が見られるか、それに期待したいです。

『ヤマトナデシコ』、男なのに双子の姉として学校に通うことになったやまと。いや、オタヒッキーなのに、といった方がいいのかな。おもてが苦手、対人苦手、女の子苦手。なのに女の子に取り巻かれて、右往左往、どぎまぎ、狼狽しているやまとの様子にやられてしまっています。加えて、本当は意気地がないくせに強がってる、やまとの妹さくらをライバル視してるちづる。なんのかんのいって、やまとはちづるに好意的で、やまとにつっかかっていくちづるも、いずれはなんか仲良くなっていきそうで、こういう不器用もの同士の関係、嫌いじゃないなあ。

『たべる部』、これいいですね。あのほっぺた引っ張られてる部長がかわいくって、もう大好きです。お餅みたい。今回、新たにひとり人物加えて、国府台灯子。一人暮らしで自炊してるっていうんだけれど、なんだかあんまり期待できない感じ。てきぱきと皮だけクレープを作り、タコなしタコ焼きを作り、キャベツなしお好み焼きを作る。なんて優秀なの! って、全部小麦粉といて焼いただけじゃねえか! そうした料理っぽいけど一味も二味も足りないもの、材料がなかったからじゃないっていうのがいい感じ。また、そうした一見優秀な新入部員に焦りを見せるヒロイン、江戸川橋円もよい感じ。読んでいて楽しい漫画です。

境界線上のリンボ』、しびれました。人の社会に受け入れられなかったフゥがたどりついたリンボ。人の世界と異形の世界、どちらでもありどちらでもないリンボはフゥを暖かく受け入れて、ああこれはひとつのユートピアであるかと思ってきたというのに、そのまさにすぐそばにあったディストピア。これはひとつの私たちの暮らす世界、社会、状況のうつしではないのか。しびれました。突き付けられる決定、残酷とも思える廃棄の決定に戸惑うフゥたちの姿は、常に単純ではない選択を迫られる、そうした現実の有り様に似て、これはこの先を期待しないではおられない。きっとハッピーエンドであろう、そう思っているけれど、あっさりと好転でも、あがいてあがいて好転でも、いや、どんな努力も報われないのだとしても、その先に描かれるであろうもの、それを見届けたいと思わされるものがありました。

『田舎の子』、ゲストです。まったく都会というものを知らない純朴な女の子、芹沢瀬波、この子のカルチャーギャップを描いて、なかなかに面白いです。地図を見て駅を探すのに見付からない。うん、地下鉄だから。同じ制服を見つけて、ついていったらファーストフード店。こうして出会った、妙にのりのいいふたりに冗談いわれて騙されて、時にはからかわれたりしながらの学校生活になるのかな? 気さくなふたり、素直なヒロイン。あまりにものを知らず、疑うことを知らない、そんな風にも思うけれど、面白かったです。

My Private D☆V、『アクアリウム』の博です。「乙女と帽子」、おお、これは魅力的。実際、帽子をかぶっている女の子、ちょっとボーイッシュだったり、あるいはフェミニンであったり、そうしたイメージを際立たせたり、あるいはちょっと変化させてアクセントにしてみたり、面白いアイテムであると思います。そして添えられたイラストも、ああ、とてもいいですよ。ところでこれは作者も想定されてないことかも知れないけれど、私はこの人の描く人物の、ちょっと憂いを感じさせるところ、たとえ笑顔であって、ほのかに憂いを帯びている? そんなところにひかれます。ああ、一面的ではない表情の、とても魅力的であることよ!

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第12号(2010年12月号)

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