『まんがタイムラブリー』2010年12月号、発売されました。表紙は、冬の装いがテーマでしょうか。いや、これは人形か。『Welcome! つぼみ園」ことみ先生は園の皆の、『天使な小悪魔』はまるの兄、幹ですね。他に『放課後のピアニスト』、『サクラ街さいず』、『うさぎのーと』ときて、自分の人形を持ってる持ってないなど、ちょっとした違いで見える関係性の表現など、面白い表紙でありますね。
『この街のハテ』、おじいちゃんの退院。孫娘から見た像、義理の息子から見た像、そして犬のハテから見た姿、それぞれに違いがあって、ただただ喜ぶ孫娘があれば、心配も隠せない子の立場もあって、こうした多面的な組み立ては面白い。そして、そうした心配が融ける、おじいちゃんの思いがけない喜びよう、そして対話、思い出語り、じんとさせられますね。この漫画は、ちょっとしたところに人の情の機微を伝えてくれる。そうした情に読んでいる私の心も動く。いい漫画です。
『ただいま独身中』、ついに結婚式、っていうんだけど、ヒロインはなんだかいろいろやらかしちゃってて、このどうにもこうにも駄目なところ、どうしようもなく面白い。なんといいましょう、ある程度年月を経て、夢や希望だけじゃ生きていけないってこと知ってる女性たちの、どこかシビアで、どこか開き直ってて、けれど期待もなんかあったりして、そうした気持ちのいりまじった様子がすごくいい。思わず口にしてしまった嫌味、いや、嫌味のつもりはなかったのかも知らん。仕合せに嫉妬? 単純に嫉妬? 主人公の楓もそうなんだけどさ、友人たちもたいがいで、そのたいがいなやりとり、すごくよいなって思うわけです。経験上、こうした人とは変に気があう。一緒にくだを巻いたりしてさ、そういう近しさみたいなの、あんまりきれいじゃないですけどさ、感じちゃってるみたいなんですね。
『だんつま』、あいかわらずの克ちゃんだけれど、その相変らずという状況を面白く描くのが本当にうまいですね。クリスマスパーティ、張り切って料理作りまくる夫。誉められて嬉しい。けど、せっかく教えようとしてくれてるレシピを断わる英理子、その理由が最高で、やっぱりこの相変わらずのやりとり、ものすごくうまいと思うのです。しかし、今回の面白かったのは、隣の旦那の手柄を自分のものにしようとしている英理子に怒ってみたり、あるいは折角の労作を煮込まれてしまったことに驚く、そんなひなよさんが面白い。全然動じない克ちゃんもさすがですが、克ちゃんのために心砕いている、そういう様子はほのかに情やら愛やらを感じさせて、すごくよかったのでした。
『放課後のピアニスト』、こちらもクリスマス。しかし最初の冷え性の話、これは本当に切実で、ずっと自宅にいるならいいんですよ。ストーブなりなんなりであぶっておける。けれど、レッスンや試験となると話は別で、手袋は絶対、カイロも装備、ほんと切実だった。まあ、試験は待ち時間にストーブであぶれるようになってるんだけど、定期試験ならともかく受験の時にはそんな横着な真似できなかったわけで、いやほんと切実でした。さて、高校生のクリスマス前。定期試験があったりパーティに持っていくケーキ作る話があったりして、いやしかしソラくんは器用貧乏の相が出ておるな。ほんと、なんか他人事とは思えない(私は、伴奏のお礼にお菓子を焼いていた)。彼の将来が心配です。そしてレミの体力の話、いやあこれも切実。その切実な願いをサンタクロースに託す。サンタクロースを信じる理由っていうのがふるっていました。もう、最高。レミさん、最高です。
『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』、つくづくはねる先輩は可愛いな。扉が可愛い、やってることが可愛い、しかしこの人、友達いないのか? いや、友達と撮るのがはじめてなだけか。ちょっと安心した。けれど、ちょっとしたことに楽しみやら面白さを見出して、そういうはねる先輩はすごくいいと思う。ちょっと子供っぽくも見える、けどそれだけじゃないと思う。なんだかね、満たされないなにかを埋めようと頑張ってるのかな? 考えすぎかな? でも、この人の日々を楽しもうとしている姿勢には素直に憧れちゃうなあ。そんなこと思います。そして最後の泣いちゃうところとか、ああ、本当に可愛いな。可愛さだけで好きだのいいだのいってるつもりはないんだけど、なのに結局はこの人の魅力に集約されてしまう、そんなところがあって、いやもう、やられっぱなしですよ。
ところでさ、近所のとんかつ屋さんのマスコットキャラ、思わずこやつを思い出してしまったんだけど、確認してみたら全然違った。自分の記憶のまずさに驚いた。
- 『まんがタイムラブリー』第17巻第12号(2010年12月号)
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