『まんがタイム』2010年12月号、発売されました。表紙は古典的名作? 名探偵、ありていにいえばホームズに扮する『おとぼけ課長』を中心に、三銃士『みそララ』、ロミオとジュリエット『だって愛してる』、アラビアンナイト『タマさん』。結構バラエティに富んでいて面白いです。
『タンスの国のヨッちゃん』、創刊30年目のスペシャルゲストだそうですよ。ちょっとがさつな女の子、ヨッちゃんが主人公。いなくなってしまった猫、エディーを探して、なんだか不思議な世界に迷い込んでしまう。猫エディーが人のように振る舞う世界。そこでの語りに、ヨッちゃん、お父さんのこと嫌いなの? っていう誤解がとける。なかなか悪くないなって。なんだか心配していたお父さんも、最後にはしあわせそう。なんだかいいな。味わいのあるいい漫画でした。
『愛は時給を救う』、会社が倒産してフリーターになってしまった青年の生活描いて、ああ世知辛いというか、まさに不況下日本の状況反映させている設定であるなと、なんか読んでいて切ない漫画です。けど、やたらと鈍臭い主人公、トモナリですが、鈍臭かろうが要領悪かろうが、一生懸命でいつも明るいっていうのが救いになってるのかなって思います。いや、身近にいたらどう思うかはわからないんですけどね。お互い様って思えたらいいなあ。それと、トモナリの芹ちゃんに向けるひたむきな愛情、それもいいのだろうなって思います。芹ちゃん、図書館で司書として働いてる。その芹ちゃんにトモナリが偶然再会できたってことから、勤め先は公共の図書館だろうとわかる。トモナリひとりでは心配だけど、ある種かたい職業についている芹ちゃんがいるっていうことで安心できるってところもあるのかもなあ。そんな気もしています。
『Fever!! — 貧乏レイジの同居人』、幽霊やおばけと同居している青年の漫画ですが、この幽霊おばけの面々がみんないいやつだもんだから、読んでてすごく楽しくて、けれどだんだんに彼らが幽霊おばけというよりも、変わり者たちっていう雰囲気になってきている、そんな感じがしています。でも、常識の欠落、カレーの味見とか、こういうのはすごく面白い。相手が人でないから、人であればよほどありえない状況も普通に展開できるのかもな、そう思わせてくれて、カレンダーもそんな感じ。こういうシンプルかつナンセンス、わかりやすく面白い、そういう漫画があるのはよいことだと思います。
『スクミッション!』、最終回にきっちり恩返しを成就させるとは、なかなかに律儀。不思議というか奇妙なタニシの恩返しもので、最後の最後までその奇妙さを貫いて、そしてその奇妙さを事件の原因にしていくっていうの、まあ沼男は原因になっただけで、彼の恩返しが成就したわけではないっていうのが不憫であるのですが、ええ、思えばこの漫画はいろいろと不憫な沼男を愛でる、そうした漫画と理解して読んだ方が面白かったのかもって思えたのでした。しかし沼男こそが奇妙さの集中するところで、ほんとヘンテコなやつだったと思います、最後まで。
- 『まんがタイム』第30巻第12号(2010年12月号)
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