ちょっと心療内科について知りたいと思ったものだから、買ってきました『マンガで分かる心療内科』。作者はゆうきゆう、漫画を描いたのはソウさん、まさしく黄金といえるコンビです。ゆうきゆうは、上野にあるメンタルクリニックの院長をされている方で、楽しい著書も多数。漫画の原作もいろいろされていて、実際私がゆうきゆうを知ったのも漫画でした。『お茶のこサイコロジー』。茶畑るり、好きだった。というわけで、『マンガで分かる心療内科』、読んでみました。
とはいうのだけど、内容のほとんどはWebに掲載されたものなので、買った時にはもう既読、みたいなものであったのですけどね。Webに掲載というのは、前述のゆうメンタルクリニック、マンガで分かる心療内科・精神科・カウンセリングというコーナーがありまして、そこで掲載されたものがもとになっているんです。また『ヤングキング』でも連載されているみたいですね。それと『チェンジH blue』、これは一回かぎりかと思われますが、ここからも収録されているんですね。
さて、『マンガで分かる心療内科』といいますように、心療内科というのはどういうものなのか、どういったものを扱うのかが説明される、そんな漫画であるのですけど、その説明がどう考えても普通じゃない。いや、異常といいたいわけじゃないんですけど、だってさ、比較的まともな表紙、これだけを見て買った人があったとしたら、しまった、こんな内容だったのか! 裏表紙もちゃんと確認すべきだった! となること請け合いの内容で、だって第3回にこれはそういうのとはまったく無縁のただのギャグマンガだ!
なんて台詞のあるくらいです。ええ、ギャグマンガだそうです。でも、ただのギャグマンガといってしまうには有益で、そしてただのといってしまうにはあまりに面白い漫画であるのですね。
この漫画は、病気や心療内科についてくわしく知って、その治療法やなんかに精通しようというようなものではありません。むしろ、詳しく知るのではなく、浅く知ることを目標としている、そのような気がします。というのはですね、精神の病気について詳しい人を増やすより、そうしたものに浅くとも親しみ、偏見なくつきあえる、そんな層が広がるように、との配慮がなされているように思ったのですよ。だから、詳細な説明よりも面白さが優先されて、しかし漫画に紹介される内容が誤解や偏見を助長するようなことのないようにとの配慮も感じられる。いいバランスだと思います。ちょっとギャグ寄りではありますけど、楽しく、面白く、そしてちょっとためにもなる、いい漫画だと思っています。
- ゆうきゆう原作,ソウ作画『マンガで分かる心療内科』第1巻 (ヤングキングコミックス) 東京:少年画報社,2010年。
- 以下続刊
引用
- ゆうきゆう原作,ソウ作画『マンガで分かる心療内科』第1巻 (東京:少年画報社,2010年),21頁。
0 件のコメント:
コメントを投稿