2009年3月30日月曜日

まじん☆プラナ

  家族ゲーム』は登場人物30人。『まじん☆プラナ』は現在ヒロイン23人。当然、私の把握限界は超えています。っていうか、具体的に数えたことないからなんともいえないんですけど、本当にそんなにいるんですか? おかんとかめるき堂のバァちゃんとかまで含めて23人? それとも金子さんレベルのサブヒロインまでで23人? まあ、いずれにしても、とっくに把握限界超えてるからわかんなくてもかまいやしません。誰がヒロインであろうとなかろうと、とりあえず登場人物の人となりがわかりさえすれば楽しく読める、『まじん☆プラナ』とはそんな漫画なのですから。実際、中心的な何人かさえ押さえておけば、問題なく読めて、楽しめるようにできていて、そして時にはちょっとじんときたりなんかして、いやもう、なんていうのかな、ツボ? そういうのをうまく心得ている、そんな感じであるんです。

しかし、ツボってなんだろう。それは、おそらくは王道的な展開であるのです。王道、あるいはベタといってもいいでしょう。ジャンルにおける約束ごとを、アレンジしたり、パロディとして取り込んだりして、数ページにうまくまとめているのですね。こうなったらいいな、こういう風に考えて動いてくれたら嬉しいな、そうした期待が裏切られない漫画、そのように思います。主人公有人は、主人公として、主人公らしく振る舞ってくれます。はっきりいって、ヒロインの方が主人公よりも遥かに強い、比べものにならないくらい高性能、そんな有り様だというのに、有人はここぞというときには、ばっちり見せ場を作ってくれる。それは、憧れのシチュエーションにおける、憧れの活躍なのかも知れないですね。だから、ぐっとくる。けど、時には、期待した以上のものを見せてくれたりもして、それは例えば無人島の回。あのラストでの有人の振る舞いは、私の思い描いたものとはまったく違って、そして思い描いた以上のものでありました。なんか、ぐっときた。そういう、ツボをうまく押さえて展開される小エピソードの積み重ね、それが楽しく、面白く、笑いをさそって、そして胸をつまらせることもあって、ああ、もう、こんちくしょう、思うつぼだよ、私は負けっぱなしですよ。

しかし、ベタだ王道だ、期待を受け止めて見せてくれるだ、それはつまりは、これはそこらによくありそうな漫画なのか? そう問われれば、そんな感じはしないんですよね。それは、調理の腕といったらいいのでしょうか、パロディにしてもベタにしても、くどくならない程度におさえられているし、それでいて本筋はこちらが気恥ずかしくなるくらいに、真っ向から、直球で、もうこっちから当たりにいきたくなるくらいの好球。こうした傾向は特に茉莉がからむと顕著で、くそう、有人、男前やのう。実際、ちょっとないくらいにベタな台詞が、振る舞いが、シチュエーションが、思いもかけぬ意外性を持って描かれる時などは、ああ、うう、うまいなあと思わないではおられない。そして、私にとっては、その意外と思うことが結構あるのですね。

さてさて、擬ツンデレであるメインヒロインの茉莉の父、大凰。彼もまた擬ツンデレで、しかし面倒くさいおっさんだなあ。と思いながら、その言動には笑ってしまうほかない威力があります。というか、娘大事が最前面だから、フルオープンだから、もう、ねえ、可愛いおっさんだと思わないではおられん感じ。気にいったというか、もっと出てくれると嬉しいなあ。そして2巻において最も好きなエピソードは、学級裁判、これですね。なんといっても響きがいい、四面楚歌な状況もいい、そしてラニの健気な様がいい。って、そこはもう裁判のシーンじゃないから。それはさておき、ガンナーのために『世界樹の迷宮 II』を買った私には、ラニの造形は強烈に効きます。これで金髪だったら、最強だったろうなあ……。ちなみに、『世界樹 II』はまだ始めていません。

あ、そうだ、これ書きたくて、『まじん☆プラナ』にしたんだった。忘れるところだった。

冒頭のカラー描き下ろし、もうなにごとかと思いました。しかし、本当に大変なものであるんですね。頭、下がります。イラスト、よかったです。あと、面白かったです。きっと笑いごとではなかったろうとは思うので、大変申し訳ないのですが、面白かったです。

  • nino『まじん☆プラナ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • nino『まじん☆プラナ』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

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