書店で見かけたときには思わずエロ漫画かと思ってしまった『まんがみなむーん』。著者はみなづきふたごで、おおっと、この名前には覚えがありますよ。それもそのはず、裏表紙見てみれば、『港湾署デカビタ誌 — 刑事さんの美しき多忙な日誌』と『美味しくごはん』が収録されているとわかります。いや、懐かしい。この漫画、ずいぶん前に芳文社の四コマ誌に連載されていたもので、結構好きで楽しみに読んでいたのですよ。記憶が正しければ、ちょうどこの頃に私は、実話系を除く芳文社の四コマ全誌を買うにいたりまして、病膏肓に入ったという話ではあるんですけど、まあそれくらい私にとって四コマが熱かった時代であるのです。まだ萌え系、DV系は萌芽の時期であって、主力はオールドスタイルから抜け出したかわいい系。『デカビタ誌』は『まんがタイムジャンボ』にて、『美味しくごはん』は『まんがタイムスペシャル』にて、それぞれ連載されていたのですが、今こうして久しぶりに見てみると、これ初期の『きらら』で連載されてたんだぜー、とかいわれたら信じてしまいそうな感じです。そうかあ、『きらら』というと特別な感じがしたものだけど、別に全然地続きなんじゃね。
『港湾署デカビタ誌』は刑事物、刑事ドラマのりなのかな? 私はその方面は疎いのでよくわかりませんが、この当時って『踊る大捜査線』あたりが大ヒットしてたんじゃなかったかな。けど『デカビタ誌』は力いっぱいギャグ漫画です。ちょっとグータラな女刑事朝子が事件解決、犯人逮捕に向け走り回ったり、けどそれ以上に友人にたかったり遊びに興じたりしているシーンの方が多いという、そんな感じの漫画です。けど、そういう不真面目といえば不真面目な朝子と同僚たちのどたばた、読んでいて悪くないんですよね。いい感じに脱力してるからかな。肩の力抜いて、毎日を楽しくいこうやみたいな感じがいいんだと思います。いたずら心を忘れず、なにか仕掛けてにやにやしながら見てるみたいな、けどやるときには全力疾走だぜ。こういうのりが緩急をつけて、飽きさせないのかなと思います。
こうした感じは『美味しくごはん』にもやっぱり感じられて、こちらはタイトルが示すように料理もの。調理師学校の学生たちのどたばたとした日常を愛でる漫画です。主人公はあほ毛がチャームポイントの元気娘金本恵、かと思ってたら、どうも太郎丸健太っぽいなあ。でも、誰が主人公っていうんじゃなくて、金本に健太、そしていつも眠そうな安藤早苗の三人がそれぞれに主人公なんだろうなあと、そういう感じ。で、私この漫画が好きで、例えばタイトルが好き。『美味しくごはん』。すごくストレートで可愛い感じ。登場人物たちも、真面目かどうかといわれると不真面目方向に振れ気味な娘たちなんですが、けどそのグータラ感はすごく好き。金本の感情にあほ毛が揺れる、その表現も好き。なんか楽しくって、ハイっていうのとはちょっと違う、けどテンションが低いわけでもない、そういう穏やかにぎやかなのりが好きだったんだと思います。
でさ、買ってから気付いたんだけど、表紙の娘って金本なんよね。ええーっ、こりゃわかんねえよ、可愛くなりすぎやっちゅうねん。といいますが、実際絵の雰囲気は違ってますよね。各扉に現れる金本をはじめとする娘たちの表現と、表紙の表現はやっぱりしっかり違っていて、時代の趣味の変化かな。確実に時間は流れてるんだなと思う一コマであります。
あ、そうそう。連載時から思ってたんだけど、112ページの扉に現れる安藤。この絵がすごく好きだったりします。ロングコートのポケットに手を突っ込んで、土筆をみている。足もとはブーツ。やっぱり女の子の可愛さは布の量に比例するのだと実感できるイラストレーション、素敵です。
- みなづきふたご『みなむーん — 4komaDX』(TSUKASA COMICS) 東京:司書房,2007年。
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