2007年6月22日金曜日

危険がウォーキング

突然なんの脈絡もなく思い出してしまった、星里もちるの『危険がウォーキング』。これ、高校生の頃、部活の先輩から借りて読んだのですが、特異体質の女の子がヒロイン、ちょっと微妙な感じかもは知れないんですが、面白かったなあっていうのを覚えています。この当時にはまだ萌えなんて概念はなかったんですが、ヒロインたちが可愛くてですね、正ヒロインの爆発体質の女の子も快活な感じで可愛いんですが、サブヒロインの対人苦手の眼鏡娘がべらぼうに可愛かったんです。人前に顔を出すのがいやだからだったかな、不自然に曇った眼鏡、放送室に立てこもったんじゃなかったかなあ。そこに男の子が、ウサギだったかの着ぐるみきて突入して、あのシーンは本当屈指だったと思う。登場人物の名前、誰一人として思い出せないくらいに過去に押し流された漫画だというのに、あの放送室立てこもりの話、そして卒業式! いい漫画でした。機会があったらまた読みたいけど、知らないうちに出てた復刊、これもう買えないんじゃないかなあ。古本でもいいから探そうかなあ、なんて思います。

で、なんで思い出したか。波長なのですよ、波長。この本借りて、読んで、面白いなあと思って、ありがとうございました、返却したらですね、自分の好きなキャラクターは誰かわかるかいなんて問われましてね、自分っていうのはこの漫画貸してくれた先輩ですよ、で、私は即答ですよ。眼鏡の人見知りの女の子でしょう(もちろん当時は名前で答えましたさ)。そしたらドンピシャ。一瞬ひるんだのがわかりました。お前よくわかったなあ、なんでわかった、なんて聞かれたものですから、私はここで、波長が同じなんですよ、と答えたんです。

そしたら、え、俺波長が同じか、そんなこと思ったことないがなあ、なんてゆわはって、先輩はその女の子と同じ波長と思っちゃったもんですから、今更なんとも訂正できなくて、そうそうなんて適当に話し合わせちゃったんですが、今さらながら白状しますと、あの時波長が同じといったのは、その眼鏡の娘とではなくて私とです、先輩。そう、私もあの眼鏡の娘が一等好きだったんです。これが今なら萌えだとでもいうのでしょうか。けれどあの感じは、萌えの一言でくくれる感じじゃなかった。とにかくなんか他人事じゃない感じで、それにすごく可愛いと感じたものでした。懐かしい。また読みたいなあ。

もし今読んだらどう思うんだろう、なんて思います。幻滅するなんてことはまずないとして、けどちょっと昔風と思ったりするのでしょうか。そしておそらくはあの頃とはまた違った感想をもって、また違った面白さや共感を得て、 — けれどあの最終回で同じように感動するんだろう — 、と思います。壮大な爆発落ち。そしてその後のあのシーン。流れる歌は中島みゆきの『時代』でした。あの時、私はなんだか本当に自分の友人を卒業式に送るような気分になったのです。

  • 星里もちる『危険がウォーキング』第1巻 (少年キャプテンコミックス) 東京:徳間書店,1987年。
  • 星里もちる『危険がウォーキング』第2巻 (少年キャプテンコミックス) 東京:徳間書店,1988年。
  • 星里もちる『危険がウォーキング』第3巻 (少年キャプテンコミックス) 東京:徳間書店,1988年。
  • 星里もちる『危険がウォーキング』第4巻 (少年キャプテンコミックス) 東京:徳間書店,1989年。

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