昨日紹介しました『3人の写真』ですが、私はこの歌を聴くと自分の学校時分のことではなく、川原泉の漫画『笑う大天使』を思い出してしまいます。『笑う大天使』、川原の大出世作にして、今なおファンをつかんではなすことのない名作で、もちろん私もこの漫画を愛しています。お嬢様学校に入ったものの、どうにもこうにも馴染めない三人娘が繰り広げるどたばたのアクションがあったと思えば、心に深く刺さって涙を絞るシリアス展開もあって、けれどこれらのまったく違ったように見える向きが、ひとつのカラーの中に収まって、すごく馴染んでいるのです。華やかでにぎやかで、あたたかで、私はこのカラーこそが川原泉のらしさであろうと思っています。
『笑う大天使』というのは、学校のあまりのお上品さに馴染めない三人が、というのが基本のプロットであったのですが、その彼女たちは学友上級生下級生を渾身の頑張りでもって助けましてさ、それまでかぶっていた猫なんてなんのそのって感じでもって奮闘して、そしてその心根のまっすぐさが通じたと思える瞬間があるのですよ。彼女らは彼女ららしさでもって、繕ったうわべの笑顔ではなくって、その本当の心意気でもって、自分たちの位置を友人の心の中に作った。私はだからあのシーンも大好きで、誰かのために一生懸命になれるというのは素晴らしいことだと、輝いてるよね川原、なんて感じてしまいます。
さざめくような華やかさだと思うのです。決して派手ではないけれど、川原の描く少女たちは凛々しくまっすぐで、伸びやかな木々の春に芽吹く生き生きとした生命が満ちていて、健やか。そしていつか花開こうとする予感をひしひしと感じさせて、私がひかれるというのはそこなのでしょう。最終話、卒業式のスナップ写真。そこに居並ぶ三人娘のまぶしさはなんか心の奥にきれいな水が涌くような思いがします。清冽な印象は、消えず心に残り続けています。
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