2006年2月8日水曜日

Scarborough Faire

  最近、ちょっと『スカボロー・フェア』について調べていまして、というのもこの曲はいつか歌ってみたいなあと、そういう理由からなんですが、サイモン&ガーファンクルによる歌唱で世界的に知られるようになったこの歌、実をいいますとイギリスの民謡なのです。パブリック・ドメイン万歳! というわけで『スカボロー・フェア』でもないのですが、なにしろここ数年の私のはやりは民謡でありまして、で、民謡のなにが面白いかというとバリアントなんですね。以前Cruel Sisterの回でも書いていましたが、民謡はその伝承過程で歌詞も違えばメロディも違う発展を遂げることがありまして、『スカボロー・フェア』においてもそれは同じなのです。

バリアント求めてインターネットの旅。そうして見つけた収穫は歌詞のみにあらず、Brobdingnagian Bardsという素晴らしいグループに出会うことができました。

Brobdingnagian Bardsの歌う『スカボロー・フェア』は、メロディは有名な『スカボロー・フェア』に似て、けれどその歌詞はずいぶんと違います。第一バース、第二バースはほぼ変わらず、ですがその後に連なる歌の世界よ! 長い! とにかく歌詞の分量が違う。以前いっていたマーティン・カーシーの『スカボロー・フェア』やその直系であるS & Gのものよりも長く歌われるその歌は明らかにひとつの物語をなしていて、そして歌われ方もずいぶんと違う。力強い三拍子。野太く荒々しい声。まるで私の知っている『スカボロー・フェア』と違うのです。しびれました。日本で聴くことのできる『スカボロー・フェア』のルーツは明らかにS & Gで、静かに幻想的に伸びやかに歌われ、演奏されるものが大半ですが、しかしBrobdingnagian BardsのScarborough Faireはそれらとは違う流れを汲んでいるのでしょう。

私はこうした多様さに民謡の奥深さを感じます。ひとつの正解に収斂することのない、開かれた世界! なんて素晴らしいのだろうと感極まる思いですよ。

以下サイモン&ガーファンクル

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