2006年2月26日日曜日

卒業

   私は中学高校と吹奏楽部に所属していたので、なんかイベントがあるとそれに応じた曲を演奏するということになって、ほら、入学式とか体育会とか卒業式とか、そういう式典ではとにかく演奏をしていたものでした。で、中学のこととなるともうほとんどなにをやったかなんて覚えていないのですが、ところが卒業式に演奏したものは覚えています。卒業式用に編曲されたメドレーで、ミュージックエイトだったと記憶しています。そしてその曲目に斉藤由貴の『卒業』が含まれていた。ええ、はっきり覚えています。

私は当時アイドルを追うような少年ではなく、それでも斉藤由貴は知っていました。人気がありました。幼さの残る可愛い感じの女の子として今は思い出されますが、なんせ当時は私も子供でしたから、そうした印象を当時持つことはなかったでしょう。きれいなお姉さんみたいな感じで見ていたのじゃないかな。それも、ほんの少し年上の、そんな親しみのある雰囲気をともなってテレビや雑誌に登場されていたように思います。

今から振り返ってみれば、あり得ないほどに時代を感じさせる歌詞で驚くんですが、今の若い人は卒業式で先輩のボタンをねだったりなんてするのでしょうか。なんか、まだ時代はすれていなくって、中学生や高校生は素朴さを残していた、そういう時代の歌なんじゃないだろうかと思って、けど、こういうプラトニックといったらいいのか、恋愛に純粋性を求めたいみたいな気持ちはきっと今もあるんじゃないかなあ。私がこの歌を聴いてなんか胸にぐっと迫るなにかを感じるのは、そうした恋愛の純粋性に期待したいノスタルジイをどこかに抱いているからなのだと思います。

そういえば、私が卒業するときに後輩たちが演奏してくれた曲はいったいなんだったんだろう。ついぞ思い出すことができず、やはり先輩を送るという印象をともに演奏した曲こそが記憶に残るのかも知れません。いや、ただ単に斉藤由貴が好きだったからという可能性もあるんですが、けど練習していた音楽室の雰囲気も思い出されるようで、これは私には珍しいことです。それはつまり、それだけこの曲が印象深かったということなのかも知れません。

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