2014年4月1日火曜日

フレラジ☆

 今日は4月1日。ということで、朱木茜さん、誕生日おめでとー! 朱木茜、新人声優、漫画『フレラジ☆』の主人公であります。『フレラジ☆』は、朱木茜、青柳葵、墨田圭、山吹薫の4人がパーソナリティをつとめるラジオ番組。まだまだ新人、いろいろ問題あるできないっ子たちをあえて選んで、パーソナリティに据えました。そうした趣向の番組の、放送の様子をいわばひとつの軸として、彼女らが少しずつ仲を深めていく様描いたり、あるいはそれぞれの子らにスポットライトを当ててみたりと、その描きようが幅広くて素晴しい。ええ、こんなにも面白くなるだなんて思ってなかった。声優という、一種アイドルを描いた漫画というよりも、職業としての声優に向き合う少女らの姿勢がいい。ぴしっと伸びた背筋の向こうに、彼女らの未来の可能性感じさせる、そんな感触が心地いいのですよ。

ラジオ『フレラジ☆』は、あえて致命的な欠点のある子を抜擢して、彼女らの成長していく様を見せようというのがコンセプト、ってのはもういいましたよね。我らがヒロイン茜はというと、超がつくくらいあがり症で、ここぞって場面で、とにかくかむ、トチってしまう。こんな具合に、漢字が苦手な子、台本以外はてんで駄目な子、歌が壊滅的な子と続いて、ああ、それぞれの弱点、誰がそうなのかは、ぜひ漫画を読んで確かめていただきたい。やっぱりちょっとずつ知っていくのが面白いと思うんですよ。ああ、この子はこういうところに問題抱えてるんだな、でもこういう美点があるんだな、読んでいくうちに、その性格、人となりとともに少しずつわかっていって、その積み重ねが彼女らのキャラクターを確かなものにしていく。そこに加えて、なんだかすごく身近といいますか、まあ、声優の知り合いとか女子高生の知り合いとかいないんですけどさ、それでも、ああすごく距離が近いと思わせる、そんな気安さがありまして、それは弱点も悩みもオープンにして、頑張ってる、その姿勢がまじめな筆致でつづられているからだと思うんですね。

兄の視点なんだろうか。ああ、茜には兄がいるんです。妹大好き。まだまだいたらない妹のこと、見守ってる。そんな感じの兄貴。思えば、自分もそうした視点に立っているのかも知れません。ほのぼのした描写に和みつつ、これから伸びゆく彼女らのその様子に気持ちを高めていく。伸びゆくということ、それがやはり魅力の源泉なんですよね。彼女らに設定された弱点は、明確にされた克服すべき目標なんです。一種到達点が示されて、そこに向かってハードルをひとつひとつ超えていくのだろう彼女らの姿は、やはり見ていてわくわくさせられる。もう、こんなんで大丈夫なのかなあ、そうした不安があったとしても、彼女らを応援したり、励ましたり、発破をかけたり、いろいろな人が彼女らの周辺にはあって、そしてついにはひとつの山を越えるにいたる。そうした出来事のひとつひとつが彼女らのドラマであるのですね。

けれど、彼女らの越えていく山、それらはいまだ小さな山であって、ゆえに描かれるドラマも劇的な展開とまではいえません。でも、小さな山々を越えていったその先、彼女らの目指した地点に立ったいつかその時、振り返って見る景色はどうしたものであるのだろう。そんなことを思うのですね。今はまだ小さな歩みであっても、彼女らの進む先には広く大きなフィールドがある。そう思わせてくれる伸びやかさにひかれています。

ああ、そうそう。墨田さん、最高だ!

  • 種田優太『フレラジ☆』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2014年。
  • 以下続刊

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