『まんがタイムきららキャラット』2014年6月号、昨日の続きです。
『へんてこバスと飴玉くるり』、独特の味、今回もよかったです。ツインテールの女の子、SOSボタンを押すか押すまいか悩んでいるんですけど、これ、あの四階建てバス月光号に通じるボタンだったんですね。不思議なバスの中に広がる世界。本屋とかあるんだ! そして詩人のビー玉氏、この子、SOSボタンのあの子だ。天才少女と名高いのだけど、いわゆるスランプなのでしょう。星空賞、その受賞会見をすっぽかして、そして月光号に助けられて、この子、アオイさんの妹なのだそう。一晩を月光号のベッドで過ごし、そして詩を書かねばならない、そう思っていたプレッシャーから自由になって、また書けるようになった。この子もまた月光号の乗客になるのでしょうか。ちょっと甘えんぼう? ちょっとメランコリック? この子の詩情は、ままこの漫画の詩情であると思われて、よい情景、その描写されるもの、しみじみして大変に豊かです。
『ののかノート』は調理実習ですよ。ハンバーグを作るっていうんで、ののかもやたらやる気なんですが、当然戦力にはならない。ひよこも同様。そこで頼りになるのが玲緒奈なんですね。手慣れた様子、見ていてとても凛々しくて、けどお嫁さんなんていわれたら照れてしまう。うん、可愛い人だと思います。ののか、この子、駄目な子なんだけど、本当にいい子なんだなって思わされましたよ。お姉ちゃんのためにご飯を作ってあげたい。けど、あの姉の警戒っぷり。案の定ハンバーグも残念な感じに仕上がって、しかしそれを必死で食べてみせる。愛だ、愛だよ。ケチャップで書かれたメッセージ、ありがとうをあいしてると読み違えたとはいえ、やりすぎです、お姉ちゃん。これからも作る、そういうののかに、なんとか自分も介入してなんとか食べられる料理にしたい、その一心と、一緒に料理できると嬉しい、おそらくは本心なんでしょうね、それがまじりあってのあの様子。いい姉妹ぶりだったと思いますよ。
『あまゆる。』、アヤが病気です。38度5分。ちょっと熱が高いですね。それで学校を休むことになるのですが、風邪をひいたことさえ都会人になったということの証拠にしてしまうアヤのポジティブさ、これが本当に素晴しくて、アヤ、見事です。けど、ひとりでいるのが寂しい。風邪ひいてればなおさらですよね。その寂しがってる様子、悪くなかったですよ。なんかね、いつもよりもちょっと素直。まあ、ひとりの時だし、誰に見られるわけでもないですしね。アヤのいないハルも寂しくて、調子がくるってる。あのクラスの友達にひやかされたりね、面白かった。クラス全員からのお見舞いメールを受けて嬉しいアヤも、ほんと、仲がいいのはいつもの四人だけじゃないんですね。ほんと、いい雰囲気だったと思います。今回は風邪の時の雰囲気、それもよく表現されていて、熱がある時におかしな夢を見ることってありますが、腕にハチミツかけちゃおっと、って、これめちゃくちゃ面白いな。ハルがノートに残したメッセージもいい。玉子雑炊もね、ネット見ながら作ったの。うん、ちゃんとしてるじゃん。そして最後のハルの風邪、最初の方にいわれてたこと、それをうまいこと引き受けて、この構成も大変よかったです。
『セカイ魔王』、ぐっと話が動いて、いやもう、大変なことになってますよ。魔王の目論見、それを人にさとられてはいけない。勇者と魔王との因縁をここで断ち切って、不幸の連鎖を終わらせたい。そう思っている優しい魔王が、その目的を達するためには人に恐怖を与えなければならない。アルシャはまあいいんです、今回は。問題はジェントルと女剣士ですよ。今はジェントルが押している。となれば出し惜しみなんてしてられないと、奥の手を使ってきて、ああ、ジェントル、死んじゃうの!? それは嫌だ! そう思ったら、ああ、魔王様の介入ですよ。よかった。戦いたくないという意思、それを力で押し通さなければならない。圧倒的な魔王の力と、その向こうにあるただただ一途な願い、これは胸に迫るものがありました。よくよく描かれました。ほんと、実によかったです。そして最後、アルシャが魔王様に見たもの。これがどうした結果を生むのか。誰もがしあわせになって欲しい。そう思いますよ。ほんと、そう思います。
- 『まんがタイムきららキャラット』第10巻第6号(2014年6月号)
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