2014年4月4日金曜日

ホームメイドヒーローズ

 改めて見ると、眼鏡率高いなあ。『ホームメイドヒーローズ』、DIYの正義の味方一家でありますよ。特撮ヒーローに憧れるあまり、家族総出で戦隊ヒーローになる! と決めたのはいいけれど、やっぱり現実ってのはいろいろ難しくってね、変身とか無理だし、スーツだってハイテクに限界がある。その上ロボットとなったら、あれやらこれやら問題山積で、道路が耐えられないにはじまり、果ては法令違反。ああー、夢とか叶わないものなのでしょうか!? 父母祖父含めて一家でヒーロー志望という非常識と、正義の味方たるもの法令は当然守るし、物理の法則などからは逃れられないというのも道理、そうした常識がコンフリクトする、なんてところにおかしみのある漫画であります。

そして同じく常識と非常識がコンフリクトおこしてる一家がありまして、菅部一家、こちらは悪の組織を夢見ていて、大学教員の父と中学校教諭の娘が中心になって、悪を夢見ているんですね。目指すは世界征服。とはいっても、本当に悪辣なことやろうとは思ってない、つまり人を傷つけたりとかするんじゃなくて、ただ純粋に悪の組織として無目的に世界を征服しようっていう。考えてみれば、すごいロマンだと思いますよ。その夢の叶うまでは、誰にも知られちゃいけない! ましてや、小さな悪やトラブルなどで新聞沙汰になるとか、もってのほかなのだ! 結果的に、すごく静かに目立たず生きる、まさしく小市民の見本みたいになっちゃって、ええ、なかなか思うようにいかないのは正義も悪も同じようです。

この漫画の面白いのは、そうした常識と非常識、夢と現実の衝突する、その狭間にある、そういってよいのだと思います。誰だって思うじゃないですか。突然教室にテロリストが! みたいなシチュエーション。あるいは、もし今ここで暴漢が現れたら!? みたいなこと。こうきたら、こううけて、こうやっつけるんだ、みたいなことを思いながら、けれど現実にはそうはいかんよなあ。現実にはそうはいかない、その苦笑い。本当に命の危険にさらされたしたら、そんなに思うようには動けないだろう、そうした現実もあらば、そもそも身近にそんな事件なんて、そうそうおこりませんから! そうした現実も。実際、そんな事件なんてない方がいいにきまってるし、平和に暮らせることが一番なんだってのは、この漫画のヒーロー一家、仙台家の人々もわかっていて、けれど自らの正義を体現したいと思う気持ちが、悪の組織を求めてしまう! おお、このジレンマよ! けど、その気持ちはちょっとわかる。なんか共感するところあって、けど、ほんと仙台家の男たち大人たちのまっしぐら具合よ! いつかきたるその日のために、体を鍛え、スーツを試作し、さらにはロボの青図まで描いて、しかしはたしてその努力が報われる日がくるのだろうか!?

くるのかも知れませんよ。

いや、だって、これ書いちゃっていいのかな。いや、やめとこう。諸君、刮目して第1巻を読み、2巻発売の日を待つのだ!

そうそう。この漫画、そこはかとなく色っぽいですよね。阿久乃先生の自宅スタイル。上下スウェットでぺたりと座る。さ、最高だ! それから、麻凛、真白もかなりきてます。こりゃもう、作者の面目躍如たるってやつなんすかね? なんすかね?

ああ、そうだそうだ。作中でもちょこちょこ触れられてます。クラタス。そうなんだよなあ。こういうものもまた、私たちの生きる現実ってやつなんですよね。ええ、現実って意外と懐深いんだなって思わされますよ。

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