『ウィッチクラフトワークス』、めちゃくちゃ面白いです。現在アニメ絶賛放送中。ええ、私もアニメで見て、それでその面白さを知った口なんですけど、原作をですね、電子で入手して読んでみたらば、おおう、すごいな、アニメはかなり原作どおり、いや、かなりなんてもんじゃない、ほぼ原作どおりといっていいくらいに忠実で、びっくりしてしまいました。どれくらい忠実かというと、妹が火々里さんを襲撃するシーン、ファンシーショップの棚に倉石たんぽぽたちのフィギュアが並んでたの、アニメの遊びだと思ってたら、おおう! これ、原作どおりだよ! ほんと、びっくりした。ええ、ものすごく忠実なのです。
アニメは、原作を忠実に再現しつつ、そこにアニメとしての面白さを盛る、そういった作りになっているんですね。それが顕著なのは、妹が火々里さんを襲撃するエピソードなんか見るとよくわかるんですけど、クマとウサギの対決シーン、これ原作でも同じテイスト、ニュアンスながら、アニメはより長く、見せるものになっているんです。原作に描かれたもの、そのよさを尊重しつつ、よりよく、面白くなるよう、いやそうじゃないな、原作が内包している魅力に丁寧に動きを、展開をつけていくとああなるのだな。そう思わせるものありまして、ええ、これ、原作好きな人にとってもアニメはかなりいけてるんじゃないかな。そんな印象がびしばしするのでした。
しかし原作ですよ、見てみて、なるほどと思ったのは、あの多種多様なオブジェクトがごちゃっと詰め込まれた、そんな感触がですね、独特の画面を作り上げていて、時にわかりにくくさえ感じるというのに、それでも目を離させない求心力があるんです。ああ、これが力か、持ち味か、そう思わせて、でもってアニメです、そのごちゃっとした感触がしっかりあって、頑張ってるなあ。
あとなにが面白いかって、登場人物、その個性でしょう。なにを考えてらっしゃるのか! みんなマイペースというか、ちょっと利己的というか、火々里さんなんかはその最たるものでしょうけど、妹もそうだしさ、たんぽぽたちもそうだしさ、あのメンタル弱いお母さんもなんだかんだいってそうですよね。自分の欲求、自分のしあわせ、自分の喜びに素直で、直球で、まっしぐらで、他のこと? そんなもんは知らん! みたいなシンプルな行動原則が見えて、ほんと、見ていて気持ちいい。火々里さんの、いや他の人も一緒か、自分にとって都合の悪い展開があれば、あれは塔の魔女の仕業。いやいや、待って! 待って! しかし火々里さんは待たない。そうと決めたらそれでいってしまう。というか、工房の魔女は全員同じ原則で動いてるよな……。それがもうおかしくて最高。シリアスになってもおかしくない、そんな局面にあってさえ、なおコミカル、なお軽く、後味におかしみと、しかたないなあ、そんな笑みを残させる。ええ、あの軽さを忘れず、かといって軽くなりすぎて浮き足だたないその塩梅、これは素晴しいよ。ええ、素晴しいのです。
あと、眼鏡のお嬢さんが多い。素晴しいのです!
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第1巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2010年。
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第2巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2011年。
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第3巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2012年。
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第4巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2012年。
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第5巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2013年。
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第6巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2013年。
- 水薙竜『ウィッチクラフトワークス』第7巻 (アフタヌーンKC) 東京:講談社,2014年。
- 以下続刊
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