『まんがタイムきらら』2013年3月号、発売されました。表紙は『棺担ぎのクロ。 — 懐中旅話』。おおう、黒くないぞ! ランタンを手に結晶の洞窟に踏み込んだクロなのでしょうか。クロを照らすのはランタンの暖かみある光、そして結晶が青く投げかける淡い光。ふたつの光が混ざりあって不思議な雰囲気を作り出しています。しかし青く照らされるクロは、あたかも妖精かなにかのようで、ちょっと儚い、そんな風にも思わせられますね。不思議と印象的な表紙であります。
『チェリーブロッサム!』、今回はつばきのターン? 妙蓮寺と武蔵浦和、いや武蔵小杉の計略により、大咲、つばきと一緒に帰ることになった。恋する同志としての支援、なのでしょうね。妙蓮寺は妙蓮寺で恋の花咲かせようとしてるみたいですけども。さて、つばき、大咲にちょっとアプローチしかけてみるも、見事はずして、けどこの大咲の対応、もしかしてと思いながらも間に受けて違ったら恥ずかしい、それで牽制してみてるとかじゃないだろうか。ないんだろうなあ。さて、つばきと大咲、突然のゲリラ豪雨で雨宿り。そこに通りがかる大倉山先輩、ならぬ大岡先輩ですよ。扉は大倉山先輩だった。そうか、今回は大倉山先輩の番だった、というわけですね。大倉山先輩、大岡と変名使って、つばきの恋愛相談に乗っている。今回も気を利かして、大咲、つばきのふたりに傘を貸して、応援している……、複雑な気持ち抱えながら。大倉山先輩は中立であろうとしている、けれどそうあろうとしてあれない、憂いを抱いて、雨の中、ひとり帰宅。ええ、大倉山先輩の番。自分の内面にある思い、それに向き合うことを余儀なくされつつあるのですね。そうした状況にあって、この人の魅力、美しさが際だって映えている。そう感じます。ええ、恋に迷い、自分に戸惑う、美しい人であると思います。
『箱入りドロップス』は、前回の続き、バレンタインデー当日でありますよ。って、おおう、澄田純、あんたの好きな相手って教員なのか。おおう、おそれいった。さて、陽一と雫ですよ。陽一、前回雫にいわれた陽一さん用じゃないっての、あれにすっかりやられて気にしちゃって、一緒に登校できなかったっていうんですね。って、雫、横断歩道、まだ駄目なんだ。しかし、バレンタイデー、こんなにも意識して、この男ふたりは可愛いのう。萌の「義理チョコ」、あれもまた可愛いのう。相ノ木×陽一に反応してる人もいるよ! 相ノ木のチョコレートは、うん、妹からか。あの妹か。しかし、ほんと、陽一、雫のチョコレートのこと、気になってしかたなかったんだなあ。いや、わかる。自分が一番雫に近しい男子だと思っていた。なのに、他に気になる相手がいるっていうの!? ところがそれが一転自分のためのものと知れて、それであんなに動揺して、対する雫のあの表情、あの言葉の素直さ、あれはしみる。雫の気持ちは恋じゃないかも知れない、日頃の感謝かも知れない、いつもよくしてくれる陽一への好意かも知れない、けれど恋かも知れない。それは私にはわからない。陽一にもわからない。雫にもわかってないのかも知れない。けど、この雫の気持ちの透明で清いこと、心洗われる思いでありました。純粋な人の気持ちのまぶしさがありました。
『スマイル・スタイル』、素晴しいな。百合の部活をめぐる騒動でありますよ。以前は美術部に入ってた。けれど今はどこにも入ってない。伊藤先生が、美術部を覗いてみたらといってくださるんですね。ちゃんと話を通しておくから、そうしたら、おおおお、あの先生ですよ、面接の時の、そして伊藤先生と百合を取り合っていた、あの先生ですよ。めちゃくちゃ可愛いな! 美術の先生だったんだ! 今回は新たに判明したことがたくさんですよね。学校の名前、清香女学園。美術の先生は西谷絵美。なんと美しい人だろう。百合に思いの丈を語る。なんと真摯な姿、見惚れてしまいましたよ。しかし、この漫画、先生たちが出てくると増して面白いな。今回も馬場先生、あの赤面! そして西谷先生。あの手この手というか、手段選ばないな! めちゃくちゃ面白かったです。あと、寮長も。この人、というか、この漫画って、大人たちがものすごいよね。ほんと、この人たち、大好きです。
『プレフレ』、雪の日ですよ。樹と椿、通学途中に雪合戦に発展して、いやもう、楓もお怒りです。さて、樹、タイツが似合わないらしい。というので、ジャージ装備。スカートの下に着込んでたのか。っていうか、よくあの短いスカートに隠せてたよな。樹、スカート下にジャージのなにが行儀悪いのか、熱弁するわけですが、男子はズボンなのに女子はスカート、タイツよりこっちのが機能的だろうと、うん、全面的に同意する。まるで自分の言葉が樹の口を通して発されている、そう感じるほどに同意する。いや、もう、そのとおりだと思いますよ。で、男子のスカート、うん、素晴しい、樹は自分の発想に極めて近いものを持っている。もうほんと、素敵な娘さんたちですよ。と、うんうん共感ばかりしててもしかたないんですが、この子らのさっぱりとした? 女の子女の子してないところ? けど、しっかり女の子だったりするところ、その塩梅、それがこの漫画の魅力だと思うんですね。今回は女の子っぽいところ、ほとんど出てませんけど。さばさばしてて、わーいと思いきったことやっちゃうところとか、彼女らの自然でいられる感じ、それに実に魅せられています。ほら、あの氷の坂道、あれもほんと惚れ惚れしましたよ。チャレンジせんではおられない、そうした樹、椿が愛おしいのですよ。
『帰宅るまでが学校です!』、いい感じじゃないですか。帰宅部、部員が集まりつつある? そう思ってたんだけど、またふたりだけに戻ってる。いや、そうじゃない、ちゃんと来てくれてたんですよってところ。あの人見知り? カンナですね、すっかりコミュ障のポジション? それからクールが過ぎている夏芽っち? このふたりのかもしだす雰囲気、葵にわあわあとアプローチされて、そこに生じるリアクション? それがいい感じに面白みやキャラクターの魅力を作っている、そう思います。で、葵のあだ名。ラッキースケベなのか。で、最後のピザ、ハーフ&ハーフ、しおんも面白いなあ。いい感じに動いていきそう、そう思ったら次回から連載とのこと。うん、いい感じです。
『すいまさんといっしょ』、おおう、扉のしおりの可愛いこと。そう思っていたら、なるほどしおりの家は神社なんですね、って、しおりの家じゃなくてしおりの祖父の家がそうなんですね。なので手伝いをしている。巫女の装束着けて、ということで、扉が巫女姿だったわけです。で、本編ですよ。ふみんさんも巫女の格好! あの登場シーン、あの表情、ぱぁっと明るさ振りまくようで素敵であるなあ! 髪の表情、それも素敵で、ほんとふみんさん、大変にキュートであります。この神社のおみくじの、御縁の5円が入ってるっていうの、粋ですね。縁が続きますようにと願って人に渡す、そういういわれ。しおりがね、ふみんにいわれて意識してしまって、ユウの一挙手一投足に過剰反応する。いやもう、面白い。だんだんに育って、世界が、この人達の関係が、ふわふわほかほかと広がっていってる、そうした感触、とてもよいですよ。
『コドクの中のワタシ』、真由が囚われの身に? 今回は人の二面性を学ぶ、ということで、真由のプライベートを教室に流されてしまって、それでぐれ子、どん引きした? どうも様子のおかしいぐれ子を見張ってくれるよう先生にいわれて、後をつけた真由。そうしたらつかまってしまったのですね。見知らぬ屋敷の中、出会ったのはぐれ子、にそっくりの女の子。春日野麗華。ぐれ子に寄生されているというのです。不治の病にかかっていた彼女、しかしぐれ子に寄生されたことで、病気が寛解した。なるほど、ぐれ子は地球人の身体を、麗華は症状の緩和を、それぞれメリットを得ることで共生することにしたっていうのですね。面白い。SFですよ。ええ、ハル・クレメントの小説、ええとそのジュブナイル向け翻案本『星からきた探偵』を思い出しましたよ。これも宇宙人、というか宇宙からきた知的生命体みたいにいった方が適切かも知れない、と人が共生する話なんですよ。もちろん両者にメリットがあって、そうしたのを思わせる麗華とぐれ子の関係。ああ、面白い。なんかわくわくさせられます。ええと、『星からきた探偵』のオリジナルは『20億の針』だそうです。絶版してるのかな? 読んでみたくなりましたよ、両方。さて戻りまして、麗華です。真由に嫉妬して嫉妬して、その挙句の真由の選択。これも面白かった。ええ、今後の麗華の活躍、ぐれ子のそれともども期待したく思います。
- 『まんがタイムきらら』第11巻第3号(2013年3月号)
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