2012年11月1日木曜日

Free!

 『Free!』はいいですよ。『まんがタイムきららMAX』に連載されている漫画。タイトルのとおりフリー、自由な女の子たちがわいわいと楽しそうにしている漫画、といいたいが、フリー! なのはアトリだけなんじゃないのかい? 主人公、五十嵐アトリ、元気で明るい女の子。まさに主役! といった感じの子なんですが、キスカ・姫子、ミサキ、トモエ、皆の中心になって、楽しみを提供したり、迷惑かけたり、騒動にしたりと大活躍。けどそれがなんだか楽しそうなのがいいところです。

しかし、騒動にするっていうの、決してアトリだけが原因じゃないの、それもいいところだと思います。アンラッキー女子トモエが、誰のせいでもなく、自ら困った状況に落ち込んでいったり、優等生キスカ・姫子が引き起こすトラブルもあったり、けれど圧倒的にアトリですよね。で、そのアトリのやること、大きいのから小さいのまでいろいろあるんですけど、これら全部、友達との関係、それを信じているからこそできる、やっている。そんな風に感じられるのですね。

ふざけてみたり、からかってみたり、ちょっとズルもしてみたり、けれどそれらは、ばれて怒られるところまでをちゃんと視野にいれてやってるんだろうな。つまりは、友達に甘えてるんだろうなあ。いろいろ相手してもらいたいの。怒られても、ちゃんと許してもらえるってわかってて、その許してもらえる範囲でいろいろやってる。もちろん自分が楽しいからやってるんだけど、その楽しさにはやっぱり友達みんなが必要で、いっそ巻き込んで、一緒に楽しもうよ、ねえ、そんな気安さ、みんなへの好きという気持ちがにじんでいます。

だから読んでいて楽しい。アトリに悪気がなくって、やっちゃうことも、困ったなあ、苦笑して、そして楽しめる、そういう感じだからなおさらです。しかしこういう見方してみると、トモエやキスカ、それぞれが引き起こすこと、その発端にまつわる気持ちや意識、それらがちょっとずつ違ってる、それがイベントの展開にも関係して、ええ、個性になってるんですね。悪気もなにも、まったくそんなつもりなんてないのにトラブルになるトモエ。素直になれない、プライドの高さや決めたらもう退けない、そうした気持ちが発端になるキスカ。ミサキ、ミサキは、甘えられる側だなあ。で、彼女らの気持ち色々がからまり、混ぜ合わされて、より騒動、イベントは豊かになる。動いてる、いきいきとしてる、そうした感触が魅力になっているんですね。

ええ、作者は漫画を描くのははじめてだっただなんておっしゃってます。ゆえにか、尻上がりによくなっていく、その萌芽し伸びていく様がめざましいです。もう、あの文化祭などは最高でしたよ。可愛い、楽しい、いきいきとして鮮やかで、なによりフレッシュ。まさにそうした印象が、漫画から、表現されるその総体から、立ち上ってくるがごとし。これはよいですよ。

  • GAN『Free!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
  • 以下続刊

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