2016年6月15日水曜日

敗者復活戦!

 ああ、面白い。『敗者復活戦!』。辻灯子らしさがここでも如何なく発揮されてと申しましょうか、個性的でマイペースな女性たちが大活躍する、そんなお話。舞台は古書店ゆかし堂。古書店社長の孫娘、びっくりするような美人でけれどいろいろ残念な月穂サマに、電撃JK通称ニーナ、新名一水。そしてニーナの友達、しっかり者の長谷川夕記。皆それぞれに、いや夕記ちゃんはそんなことなんだけど、この子はいろいろよく気がつくし、なんというか微妙にがめついんだけど、でもそれはしゃあない、ええと、皆それぞれにアクが強めのお嬢さん。そのやり取りも軽妙で面白く、ああ、辻灯子漫画はよいなあとあらためて思える、そんな漫画でありますよ。

この漫画、なにがよいかって、やっぱり登場人物がチャーミングなところかなあと。主人公はニーナですよね? この子の、いろいろとぼけてたり、甘えんぼうだったり、電気発したり、けれど底抜けに明るくって、笑顔も愛らしくって、本当、愛されて育ちましたっていうのがよくわかる子。見ていてなんだかうきうきする。夕記も、ちょっとクールで面倒見がよくって、けれど結構大変な状況にあるといえばあるんだよなあ。そういえば月穂サマもだな。マイペースで皮肉屋で、駄目なところもいろいろあって、最初なんかはキツい人だなあ、みたいに思ってたんだけど、なんでかいつしか可愛い人だなって、愛らしい人だなって思えてきたんだったっけ。

この可愛い、愛らしいというのがね、辻灯子の描く人独特のそれで、『愛燦燦』の歌詞ではないけれど、時にうまくいかないところがあったり、いろいろわだかまり残ることがあったりしても、それでも日々をその人なりに頑張って、ベストじゃないかも、ベターでさえないかも、それでもその日その日を暮らしていく。そうすれば、ささやかな喜びも慰めも見つかるかも知れない。そして、そうした時に見せる笑顔のいじらしさ。

辻灯子の漫画には、そうした人の暮らしの機微が、ちっとも大げさにでなく、悲愴感なんて微塵もなく、晴れやかに、のどかに描かれていて、それだからこそ、その人の人となりに愛らしさがふわっと軽やかにただようのだと思っています。泣いたこともあるかも知れない、悔やんだこともあったかも知れない。やりきれないって思ったことも。けれど、そうしたことは今のおかしみ、明るさ、ほがらかさ、あるいは人の悪さの向こうにかすんで見える程度にとどめられて、けれどただ底抜けに明るいわけじゃないっていうのもわかるから、その人たちのことが、愛らしいと、愛おしいと思えてしまってしかたないのです。

この本のタイトルの『敗者復活戦!』って、なにが敗者でなにが復活なの? 月穂サマ、敗者? 最初はなんともわからなかったのですが、途中のエピソードで社長がその言葉に触れるんです。それでなんとなくでもわかってきて、ああ、いいタイトルじゃないですか。ええ、古書がそうであるように、人もいつもそのようにあれれば、救われる機会があるならば、それはどんなにかよいことだろう、そんな感想抱いたのでした。

ああ、そうそう。本編途中に懐かしい人、ええ、これゲスト掲載時のボーナスみたいな話ですね、あって、いろいろわくわくさせられたわけですが、カバー下のおまけですよ、ここにも、ええーっ、あの人たちが! ほんと、この漫画、嬉しいこといろいろしてくださいます。

  • 辻灯子『敗者復活戦!』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2016年。
  • 以下続刊

2016年6月14日火曜日

となりで。

 『となりで。』、大変残念なことなのですが、『まんがタイムきらら』8月号で完結との告知がなされていて、だから多分、この1巻が最終巻です。金髪も美しいえりなちゃん。お隣さんはおえかき教室をやっていて、同い年の女の子、ひよりと仲良くなりました。ひよりも絵を描きます。えりなも、内緒にしていたけど、漫画が好きで、いろいろ描いたりしてました。ジャンルこそは違うけれど、絵を描くのが好きというふたりが仲良くなって、家はおとなり。学校も同じクラス。毎日の暮らしやいろんなイベントを、一緒に経験していく。そんな漫画であります。

ひよりとえりな、ふたりがすごく仲良くなって、その距離も近くって、そういう様子も微笑ましくって面白いのですけど、ふたりの周囲の人たちがより以上に面白くって、ひよりの姉妹、姉のひびきは自信たっぷり、かっこいい系のお姉さんで、抽象画を専門とする画家だったりね、そして末の妹ひなたは、見た目ちんまりして可愛いんだけど、怒ると姉ふたりをだまらせてしまう家庭内の実力者。学校では、元気なまつりにしっかりもののゆづが楽しいし、家に帰ればえりなのお父さん、お母さんがちょっとしたことでもイベントにしてしまう。こうした個性的な登場人物とともに、ひより、えりなが、毎日の日々のもろもろを、なんでもないものにしない、わーっと楽しいものにしてしまう。自然と楽しみ、面白さを見つけていってしまう。そんな様子がとても魅力的だったんですね。

プールの回に登場したお姉さん、ひびきの友達、さつきがなんだかすごく気にいってたんですよ。ほんと、クールを絵に描いたようなお姉様で、なんだけど年下の女の子が大好きで、ひより、ひなたからお姉ちゃんっていわれて我を失ったりね、プールで水をかけあって遊んでた時に、自然とひよりチームに入っていい笑顔見せてたりね。ほんと、あれは楽しかった。

楽しいエピソード、多かったのですよ。えりなの父がひびきの絵のファンだったりね。よろこぶといつも以上に輝きを増す父とか、そういうちょっとテンションハイめなところが、読んでいておかしかった。これはもちろんえりなの父だけじゃなく、ひより、えりなをはじめとする女の子たちも、ものすごくいい表情、笑顔を見せてくれる。ああ、今、楽しんでる! 目の前のこと、とりくんでいることに一生懸命で、時に大変だったりすることもあるけれど、その気持ちのもりあがって、ふくらんでいるところが自然と表情、態度に溢れてくれば、読んでる私にも彼女らの感情が確かに伝わってくると思われました。ふっと笑みがこぼれて、ああ、いいなあ、面白そう、楽しそうって思わせてくれるところのある漫画だったのですね。

単行本、巻末の描き下ろし。ひより、えりな、まつり、ゆづ、ひびき、ひなた、各人を大きくイラストにして、そして四コマで人となりを紹介する、そうしたところ見れば、皆、本当に魅力的なキャラクターだって思わされて、ええ、終わってしまうってことが寂しいんですよ。

  • 如月瑞『となりで。』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2016年。

2016年6月13日月曜日

『まんがタイムジャンボ』2016年7月号

『まんがタイムジャンボ』2016年7月号、一昨日の続きです。

『ヒゲとセーラー』、修学旅行で京都にきました。それで女子が朝からボロボロっていうのがねよくって、ああ、夜に恋バナだなんだで、ネタもないのに、いや栗栖くんはあるのか、ともあれ、わいわいやってたら寝不足、寝坊で、支度どころではなかったっていうんですね。でも、ぼさ髪、可愛いよねえ。よく知らない朱印帳のこと、先生がここからはじめればいいんじゃない? って、ああ、いい先生ではないですか。自分もかくありたい。京都市バスが登場ですね。番号によって行き先が全然違うんだ! って、え? 京都以外でもそうじゃないの? ともあれ、京都の市バスがややこしいのは事実で、ほんとわけわからない。同じ名前の停留所がいくつもあったりしますしね……。紅葉の季節なんですね。紅葉をきっかけに、父母とのこと思い出す初。ああ、市井くん、いいじゃないか。ええ、この修学旅行、皆の距離、少しずつ縮めて、そしていい思い出をたくさん残してくれたみたいですね。

『江戸の蔦屋さん』、江戸三美人だそうですよ。妹お歌から聞かされて、さっそく見にいく歌麿。これ、当時の風潮、はやりなんかを取り上げて、かと思ったら、気軽に会いに行けて手が届きそうってトコがミソだな、今の風潮も重ねた風でもありまして、ああ、いい感じに江戸の昔を身近に感じさせる、そんな工夫がとてもよいです。さて肝心の三美人、どこもかしこも大行列で、会えるなんてちょっと無理。遠くにちらりと眺めるのが関の山で、すっかり不貞腐れてしまった歌麿。そんな彼を奮起させる蔦重の一言、ナイスでしたよ。歌麿のやる気を出させ、かつ絵を描かせることで自分の利益も確保する。なかなかさすがにしたたかであります。

『シコふんじゃえば?』、面白いですよ。舞が彼氏が欲しいとかいってます。ターゲットはもちろん力士で、どうしたらいいか。国技館でバイトする。いろいろ画策しましてね、こうした舞の恋愛事情をコミカルに描きながら、国技館での仕事事情、呼出の存在などを語っていく、その見せ方、読ませ方は実によかったです。面白くてためになる。結局、舞の国技館でバイト計画、年齢がひっかかっちゃって頓挫するんですけど、それでも諦めない舞の情熱に、いつか相撲部屋の娘だってバレちゃう! あせる杏子。もう基本なんですけど、面白いですよね。そして舞、相撲部屋近くの和菓子屋でのバイトを決めてきて、身長146cm! カウンターから顔が見えない! めちゃくちゃ面白いです。そして特別編は杏子の父、母のなれそめですよ。そうか、母は国技館でバイトしてる時に見初められたのかあ。最初は全然芽が出なくって、でもお父さん一念を通したんですね。って、車に轢かれそうなところを助けた! って、大怪我じゃん! しかし、ここでちっとも恨みごとなんていわない、笑顔で幸せですよって、ほんと、お父さん、かっこいい! 娘も見直す、そんな逸話でした。

『大漁ガールズ』、なんと、栄子さん、高校生なのか。ハルキ曰く、中1くらいかと思ってたよ!! ええと、私は、小学生かと思ってた……。そうか、今年から高校生。今回はブラックバスの話。ハルキはバス釣りには興味がない、とかいってますけど、どうにもそんな風には見えなくって、ほんと、水音に魚の存在感じてそわそわ、うずうず。そんな彼女がバス釣りに興味がないなんていうの、雪子なる女性の存在あってなのですか。なるほど、釣果で負けてる。東雪子、バスアングラーなのか。60ジャストの記録を持っていて、ハルキは40。負けてる。それがくやしいんだ。ここでハルキが一計案じて、面白い、栄子をぶつけようっていうんだ! 自分でなんとかするんじゃないんだ! こういうところがハルキって人なんですね。ともあれ、栄子、全然興味なさそうですけど、釣りにひきこまれるのか、そして釣果をあげるのか、ちょっとわくわくしますよね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第22巻第7号(2016年7月号)

2016年6月12日日曜日

『まんがタイムきらら』2016年7月号

『まんがタイムきらら』2016年7月号、昨日の続きです。

『ひなまるすまいる』。ひなが非番、というのでうらら様も一緒に屋敷の外にいきますよ。って、大丈夫!? ふたりして外出の装備整えて、ちょっと街に出るだけなんだけど、それがすごい冒険みたいになってるのがおかしくて可愛かったです。街では、うらら様の人形とか売ってるんですね。すごい。そしてひなの微妙な人形も売られていて、うらら様絶賛! いや、これ、ほんと、どうだろう。母の日も近いしカトレアにブレスレットをというところ、ああ、うらら様にとって今はカトレアが母なのだなあ。お金が足りなかったりで、うまくはいかないんですけどね。湖畔のイベントから人助け、二次災害と、なかなかに紆余曲折の冒険でしたけど、それなりに安全で、カトレアのお説教も優しいもので、ほんと、ほんわかした気持ちになれるエピソードでした。

『ハニカミしょこら』、よいですね。ホームステイしている外国からのお客さん、チョコ。この子、着物が好きなんだけど、うちには着物がない! しかし、それで末の妹、歌から浴衣をもらっちゃおうっていうの、響姉さん、それはあんまりです! せめて借りる程度にしてあげて! 雛人形を出すことにします。その間、歌がチョコをつれて町に出るんだけど、商店街でわーっと町のみんなにとりかこまれちゃって、でも人見知りの歌、頑張ってチョコのこと守って、ええ、よく頑張りました。そして自宅組、全然人形出せてなくて、あー、お姉さんふたり、いけませんなあ。でも、これでチョコも雛人形の準備を体験できて、その様子がすごく嬉しそうで、これでよかったって思える情景です。言葉、台詞がなくっても、すごく伝わってくるものがあったんですね。奇麗な絵、チョコの高揚。心ひかれるものありますよ。

『ランキンガール』、いよいよ総選挙、ということで、これまでの総決算、といった雰囲気であります。自己紹介と演説、それが終われば投票。これは、ありさとるりの一騎討ち、みたいになっていくのでしょうか。ほたるが、自分のことそっちのけでありさとるりのこと応援したりして、この自由さ、ほんと、見ていて面白い。ほんと、これがほたるだなあって思わされますよね。そしてありさ、感極まって涙を流してしまう。ここで1位になれなければ、学校に残れない。そうした事情を知らない生徒たちからすれば、ありさのここまでの感情の高ぶりは理解できないかも知れない。でも、それでも伝わるものはありそうと思わせるものあって、ほんと、今日が最後かも知れない、内心のモノローグに切なさがぐっとつのる思いでした。そしてるり。この子も、母との確執、すっかり過去のものとして、さあこの選挙どうなる。ありさが勝たなければ困る。けれどそうそう簡単に勝たせてくれるだろうか。いろいろ思わされます。

『明日はアイドルれいかちゃん』は先輩たちを送るステージ。麗華、ゆう、椿の三人でもちゃんとやっていけることを証明しよう、そんな彼女らなんですけど、足が震えているゆう先輩とか、なんだろう、面白い絵面だなあ。ステージ上、パフォーマンス中にこれまでのことを思い出していくれいかちゃん。これが、まさか失敗に繋がるとは思いもしなくって、そしてさらにあの台詞でしょう。え? どうなるの? ここからのれいかの機転、これはよかったなって、ほんと、いいクライマックスを演出していたと思います。そしてこれから、新生オネポリ編がはじまるのでしょうか。新入生とか入ってくる? れいかちゃんが先輩!? おお、なにか新境地が期待されますね。

My Private D☆V、永山ゆうのんです。『みゅ〜こん!』の人であります。女の子がふたり、ワンピースの水着でもって水辺にいる、そんな絵であるのですが、なるほど、スク水、さらには、インナースク水。インナースク水なるカテゴリーがあるんですね。服の下にスクール水着を着込んでいるというやつですね。なるほどなあ。スク水とあるそのかたわらに、とにかく良い!! の文字があって、ああ、意気込みがうかがえます。イラストを見れば、いわゆる新スク、旧スク、どちらもが描かれておりまして、これはすなわちどちらが上とか下とかじゃなく、どちらも等しく素晴しい。そうした気持ちも伝わってくるようでした。

  • 『まんがタイムきらら』第14巻第7号(2016年7月号)

2016年6月11日土曜日

『まんがタイムジャンボ』2016年7月号

『まんがタイムジャンボ』2016年7月号、発売されました。表紙は『レーカン!』天海さんがメインで、あれ? セーラー服? それもクラシック、オーソドックスなセーラー制服、髪なんかはおさげで、くるっとまわって、その様子。鮮烈でさわやかであります。『ヒゲとセーラー』初さんもセーラー服で、と、こちらもいつもとは雰囲気違えてきて、おお、これは水兵さん、そう思わせる凛々し可愛さであります。『終活女子高生』律もセーラー服。この人はいつもブレザーだから、ちょっとレアな感じ? でもこの子の場合、なんだかコスプレみたく見えますね!

『ナデシコ!』、社長が変わって海外展開に打ってでた。そのアメリカ事業部に異動したエミさん。ニコニコと笑顔で、けどお客サマ相談室のこと、酷くいわれてるなあ。お客サマ相談室は解体。メンバーはリストラというんですが、そうしたかつての仲間のこと、エミさんはどう考えてるんだろう。なにも考えてないとかありえない。なんらかの逆転策があるに違いない。そう思いながら読んでいたんですが、引き払うギリギリまで険しい顔で仕事を続けるイチカさん。会社への、商品への愛からついには泣いしまうミス小盛。どうなるんだろうなあ。切なさがしみじみと込み上げてきた、そんなところで、おお、エミさん、逆転の一打!? 海外、アメリカ人の嗜好に商品をあわせていきたい。そのヒントは、これまでのお客様相談室に寄せられた意見、そこにありますよ。ああ、これ、どうなるのか。ほんと、これが復活の一歩になればよいなあ。

『きつねとパンケーキ』は、獣娘3人を連れて和巳さん、里帰りですよ。怖いお爺ちゃん、天然のお婆ちゃん、なんともいえんコミュニケーション。でもこれって、和巳の母も父も、獣娘のことを知らない、不慣れ、つまりははじめて会ったということ、なんですよね。父も緊張している、紺乃も緊張している。けどそれは祖父もそうだってことがわかる今回。ずっと口を利かずにいた祖父の、その真意がわかる。脚立から落ちた紺乃をかばって、腰をいわせた病床で、息子和巳に語る父の気持ち。ああ、紺乃に対する気持ち。無言の凝視、その向こうに動いていた気持ち、それが素直な言葉で語られて、そしてそれが紺乃にも伝わって、和巳のわだかまりも溶けて……。ああ、これは泣ける。不器用な祖父。そんな彼の心に紺乃の手が届いたんだなあって思わされました。

『それでもヒナは魔術師になりたい!』、手品部創部にこぎつけたみたいですよ。全然マジックの才能のないヒナだけど、手品師になりたいという気持ち、その原点が語られれば、なんとかその夢がかたちになって欲しいものだ。そう思わされたりしましてね、けどヒナはいろいろあやうい、具体的に危ない。ヒヨリが心配するのも当たり前なんですけど、そんなヒヨリの本心が漏れた今回ですよ。赤面しながら、好きです…けどね。かあ…って! そりゃべにちゃんも勘違いするってものですよ。顧問になってくれる教師を見つけないと。今手が空いているのは橋広コウ先生。ハシビロコウ! この先生の顧問をひきうけるくだり、あれはおかしかった。とはいうものの、こんな先生が顧問でいいのん!? ちょっと心配の種が増えたみたいな気もしますよ?

『りくぐん』、いや、『ペンタブと戦車』ですよ。のっけから面白いなあ。里見青年の同人誌を見て、里見曾祖父がつっこみをいれる。軍装の描写のミス、それを嬉しそうにつらつらあげつらって、いい笑顔! 対して武田大尉といえば、軍装なんてどうでもいいから読ませろ。めちゃくちゃ面白い。若き曾祖父に監修を依頼する里見青年ですけど、この彼が軍ものに興味を持つにいたったきっかけ、それが曾祖父だったのかあ。けど、会うことはできなかった。生まれる前に死んでたからって、ああ、本当なら会えなかったふたりがこうして出会えているのか。これもまた切ない話であります。さて、武田大尉です。明日にはノモンハン、そんな時に、89式ハクとの祝言をあげたい。なんだかすごくナンセンスな描写、けれどそれが切実さ持って描かれて、絶対に勝って帰るぞ、その敬礼、ぐっと胸に迫るものありました。でもさ、これ、それどころじゃなかった。里見青年が見せた八九式中戦車の写真集。そこに書かれた自分の未来。それを変えようというのか、あるいは、その未来に、歴史に殉ずるのか。もう、これ、泣ける。ナンセンスで和気あいあいとして、ちょっと切なさもあって、でもどこか希望や明るさみたいなものもあった。今回はその明るさの影に隠された悲しさ、いたましさが不意に顔を出して、ああ、そうしたことを知れば、武田大尉のいろいろが、なんと悲壮なものと感じられたものか。どうなるのだろう。どうなるのだろう。気持ちがなにかざわざわとして、右往左往、そんな感じがとまらんです。

  • 『まんがタイムジャンボ』第22巻第7号(2016年7月号)

2016年6月10日金曜日

『まんがタイムきらら』2016年7月号

『まんがタイムきらら』2016年7月号、昨日の続きです。

『オリーブ! — Believe, “Olive”?』は面白い展開でしたよ。あおば先輩、格好いいよねってツバサちゃん。そうか、あおば先輩が魔法使いなんじゃないか、そんな疑惑持ってるんだ。不思議が好きで、UMAやら魔法やら好きで、でもそれは作り物や誤解の産物、これまでずっとがっかりしてきた。そんな彼女があおば先輩に向ける視線の熱さですよ。あれはきっと本当の不思議だっていうの、ひとり自室でホウキにまたがる様子なんかにも、彼女の夢や憧れがあらわれて、ほんと、この子の言動興味、すごくわくわくさせられるものあったんですね。というか、あおば先輩、不用意すぎます。スズはさ、なにを見せられても魔法じゃないと思うようになっている。でも、ツバサはそうじゃないじゃん。なのに、そんなツバサの前で魔法の道具ばんばん使ってみせたりね、そして落ちそうになったソフトクリーム! うかつなあおばの行動、目撃されちゃった! そこからのツバサがよかったなって。問い詰めるではなくて、むしろ自分の気持ち、夢や憧れ、それを真摯に語る彼女の言葉が胸に迫って、ああ、あおばがほだされて話しちゃったその気持ちもわかる気がする。あおばも自分の気持ちを言葉にして、ええ、このふたりの意外や似ている、そんなところが垣間見えて、そして気持ちの交差した、そんなエピソード。とても素敵だったと思います。

『神様とクインテット』は、女子高生ですよ! みたいなこと散々いわれてたわけなんですけど、なんだよ! またひとり、変人仲間が増えただけじゃん! うん、そんなこったろうとは予想してました。というか、期待してました。美大志望の女の子。芸祭にやってきて、それ、学校見学? と思ったら、そうじゃない。大学生のお姉さんを見にきたっていうんだ! この子、水張はる、いきなり池に頭から突っ込んでたり、助けられたと思ったら、滝のように水を吐いたりと、とにかく酷い絵面! 言動も酷いし、もう最高でした。そして、こももちゃん。パワースポットになってる。教祖みたいになってる。それもたいがいな絵面だったんですけど、やっぱりここでもはるが酷くって、ほんと、でも、りんはもっと酷いから、みんな慣れてるのか……。嫌な慣れだな。ともあれ、なんだか感動的な展開にしたかと思ったら、その雰囲気をぶち壊しにしてみたりなど、ありきたりな紋切り型におさまらないところ、とてもよいと思います。

『泣きむしストラテジー』、本編に入ったって感じですが、いや、これ、いいですよ。優しい悪魔のクレアさん。牡丹のこと泣かさないと魔界に戻れません。でも、人間界に追放みたいな状況を楽しんじゃうとか、このポジティブさ、まぶしいです! そしてターゲット、牡丹と同じ学校、クラスに転入してきて、そこからの活動、面白かった。怖れられつつも大人気の牡丹さん。いや、これ、畏怖されてるってやつじゃないの!? おそれおおくて近付けないってやつじゃないのん!? ほんと、あらゆる行動に補正がついて、授業中の居眠りでさえかっこいいって! しかしこの漫画、あがめたてまつられている牡丹、この子の孤独さをクレアが救ってくれる、そんな展開になりそうで、今回のドッジボールでも、負傷をかえりみず牡丹の相手をしてみたりね、そのポジティブさ、熱意、本当にまぶしかった。ふたり、素敵な友達になれそうで、それじゃいかん気もするんだけど、いや、ほんと、ふたり、いい感じです。

『ヒトより私はそれが好き!』、なんか、今回のラストの落ち、面白かったですよ。綴月さん、新しい扉が開きましたね! さて、皆で集まっての勉強会ですよ。ミュエルも芽々も自由すぎるというか、はじめて訪れた人の家で、庭木に興奮してみたり、ジャパニーズイヌゴヤに入りこんでみたりと、ほんと、迷惑なお客です。本来ならふたりで勉強するはずだったのに、あのふたりも呼んだのはなぜか。いよりの本心、身の危険を感じてというのがおかしくって、ほんと、ちょっとずつ距離を縮めて、仲良くなりつつある、そんな様子のほほえましさと、フェティシズムに突き動かされるままに奇行に走る彼女らの言動、そのギャップが面白い。それに今回はいよりにも、特殊フェチの彼女らの観察し理解するという目的があるという、ええ、せめぎあいですよ。意図と意図がすれちがい、時にぶつかる、そんな様子に引き込まれるみたいに読みましたよ。

  • 『まんがタイムきらら』第14巻第7号(2016年7月号)

2016年6月9日木曜日

『まんがタイムきらら』2016年7月号

『まんがタイムきらら』2016年7月号、発売されました。表紙は『三者三葉』、メインの3人に光、小芽も加わっての、はなやか表紙でありますよ。照さん、素敵な笑顔! 双葉も元気で魅力的。葉子様がちょっとあわてたみたいなのが面白いですよね。穏やかに微笑む光に、わたわたした感じの小芽、いつもどおり、平常運転って感じもありますね。この、昼休みにいつもの中庭に集まっていたところを写真に撮られました、そんな雰囲気ある表紙。いや、もしかして全員でジャンプしてる? ほのぼので、いい感じです。

三者三葉』、薗部のお店、秘密の花園に里見先生ご来店ですよ! って、先生、その白いの、ワンピース? あんまりにシンプルでびっくりですよ。さて、山Gが恐慌状態におちいってますよ。里見先生、誰かに似ている。それはいいんだけど、他人の空似、まったく無関係なふたりって話で決着したと思ってたから、まさかここにこう食い込ませてくるか! 本当に意外で驚かされて、そう思っていたら、葉子様のお嬢様発言に先生大混乱。めちゃくちゃ面白いな! そうだよ、普通に当たり前に使用人だメイドだって受け入れられていたこれまでがおかしかったんだ! そして薗部のウソ。あれもいかす。いけしゃあしゃあと、妹がお世話になっております。ほんと、葉子様、戸惑う先生を前に、なんとか誤魔化そうと頑張りあそばして、ああ、葉子様、世間の荒波にもまれて、常識もろもろ身につけなさったのだ。ああ、葉子様、素敵なレディにおなりあそばした。感動でございますよ。そして山G、薗部、正座で説教される。いいわ、これ。素晴しいわ。しびれるわ。先生いなくなってからの非常識会話、実に面白かったです。ところで、扉のあおりなんですが、アニメ見るのやめたら、薗部さんがきてくれるのですか? え、そんな、嬉しい……。でも、アニメ見るのやめるなんて……。ものすごいコンフリクトが発生してますよ。

スロウスタート』はたまてがえらいこと落ち込んでいて、あ、もう夏休み終わりなの? って、違うやん! まだはじまったばっかりやん! 一泊だけの合宿とかあるんですね。希望者オンリー。学習強化合宿。でも、それにきてるってことは、たまても希望したってこと? 散々、拷問だなんだ、強制っぽい雰囲気なんかもただよわせてますけど、希望よね? ほんと、たまてのこうしたノリに自信持ってつっこめない花名がおかしかったです。さて、海外に逃亡した冠ですよ。もう、めちゃくちゃ可愛いな。さて、今回のメインはたまてだと思ってたんですよ。それがまさか栄依子だとは予想外でした。風邪でリタイアした。そのリタイアするまでの状況、前日夜からの様子描かれて、って、下着だ! なんかひどく汗をかいたっていうんですけど、榎並先生から風邪だっていわれて、ちょっと弱気な夜。先生の服の袖を掴んだりね、それを先生ふりきらなかったりね、ええ、ほんと、なんだろうふたりのいい感じ。ええ、たまちゃんが踏み込まなかったらどんな展開があったのか!? 期待がとまらんですね!

チェリーブロッサム!』、扉の大倉山先輩、髪短くなさって、おお、この髪形も素敵ですなあ! 本編ですよ、新学期、新入生が園芸部に入りたい、そういってやってきたら、そこはなんと男の園! 男が男にそんな! 新入生いわく、ボーイズラ部! どんな部なんだ! いいぞ、もっとやれ! 大咲も髪を切ったんですね。前髪とかえらいこと短くなって、おおう、なんだろう、幼い感じが新鮮です。新入部員の眼鏡女子。大咲と一緒に一日園芸活動して、それでなんだかいい感じになって、と、そこに踏み込む怖い先輩! おー、ささのん、副部長、兄のまわりをうろつく女に厳しい! ほんと、不機嫌そうなささのん、実に可愛い。ともあれ、なんでかやたらモテる大咲と、そんな彼と先輩ふたりの学外の情景。これがよかったなあって。これまでをまとめました、そうした最終回に、いよいよ彼らの物語は終わったのだな、そう思わされたのでした。

『くのいちスイッチ』、ゲストです。忍びの村から修行のために都会にやってきたヒロインいろは。忍者丸出しの格好でうろついてるものだから、皆からは変な人扱いされるし、そしてもうひとりのヒロインつぐみからは、公共の場でコスプレは控えた方が……、注意されるっていうのがおかしかったです。いろは、くノ一見習いなんですね。この子、つぐみの家に住み込んでおにぎり屋で働くことになって、というんですが、この子がいろいろぐうたらで、つぐみが静かに怒ったりね、あの履歴書をゴミ箱に持っていくのは、その怒りのほどがよく伝わっていい感じでした。やたら肝の太いお母さん、冬美さん。見た目は怖いが中身は乙女のお父さん、浩二。つぐみの両親が地味にキャラクター強くて、いろは、負けそうですよ!

『いこまい!』、ゲストです。いこまいってことは、愛知県? って思ってたら、ああ、岐阜なんですね。東京から岐阜へとやってきたまい。なつかしいにおいがする。ここが私の一番だ!! ああ、岐阜から東京へといった5年前。岐阜のよさを語っても、全然聞いてもらえなかった。岐阜の言葉がおかしいっていわれた。そんな彼女の我慢してきたものが、岐阜に戻って、一気に溢れた。そんな情景描かれて、子供のころに皆で遊んだひみつきち。そこで再会するかつての友人たち。5年の時間は、ひみつきちに集まって遊ぶ、そんな子供時代から皆を卒業させてしまっていたのだけど、かつての宙ぶらりんのままに置いてきぼりにされてきたまいの気持ち、それを今皆でふたたびひみつきちで繋いでいきましょう。そうした展開。あの、ツンツンしてるありさが、ならしゃあないなあ、と相好を崩す。あ、いい友人だ。そう思わされた瞬間でしたよ。ほんと、残るふたりも可愛くて、この子らがひみつきちでなにを見て、なにを取り戻して、あるいはなにを見つけていくのか、ちょっと楽しみですね。

  • 『まんがタイムきらら』第14巻第7号(2016年7月号)

2016年6月8日水曜日

『まんがタイム』2016年7月号

『まんがタイム』2016年7月号、昨日の続きです。

『おひとり食堂』、ほんと面白いです。今回はサクマさんファンの集いですよ。誠一郎、ドラマーのサクマさん大好きで、いつか同じ場所で! とか憧れてるのだけど、店では店主と客という関係でご一緒しています。ほんと、サクマさんのキャラクターも面白いし、そして今回登場のサクマさんファン! 最初は客じゃなかった。というか、危ない人にしか見えない! ショートカットの可愛いお姉さんで、サクマさんと同じメニューを出してあげたら感動。話しかけられて感激。そして、支払った3千円、5千円で譲ってくれませんか!? めちゃくちゃ面白い。それまで共感していた誠一郎が、俺よりそーとーヤバいファンだって、ちょっとひいてるのがなおさら面白いです。誠一郎とお客さん、サクマさんトークで盛り上がったり。誠一郎よりコアなファンってのがまたいいですよね。そのお客さんが白バイ警官で、うおー、かっこいい。しかもそれもサクマさんの影響なのかー。サクマさんつながりの同志ふたり、お店での会話もいい感じで、でも成就はしません! 転勤しちゃうんだー! そしてその会話見てたサクマさんに誤解されたりね、ほんと、今回サクマさん、いいところ持っていきますよ。

『ゲンバ女子のおしごと!』、いいですよ。軽トラに3人乗ります。荷台に乗ってはいけません、っていうので助手席の膝に乗ったりなんかしましてね、いや、それ、もっと駄目だろう! あかり、面白いですよ。今回は古い家のリフォームです。祖母の家を受け継いだお孫さんが、今風にキッチンをリフォームしたいっていうんですね。社長とあかり、ふたりお菓子づくりで知り合ったというだけあって、キッチンにはかなりの思い入れ。そして施工となった時、処分したいという鍋。ああ、いいものなのかあ。ケンさんが見て、その手入れのよさからお婆さんの人柄しのんだりしましてね悪くない。いや、お孫さんですよ。まさかここで、イラッとしてきました、そんな反応があるなんて思いもしませんでした。料理に関しては鬼か悪魔かと思うくらい厳しい人だった。それゆえに、料理の腕は相当なもの。ちょっと恨みに思ったりもした祖母だけど、ここにきて和解、納得できたみたいで、ええちょっとした人情小噺。大変よかったです。

『ボンジュール仲居さん』は二部式着物の紹介からはじまって、これ、便利で気軽でいいですよね。こういうのの存在、もっと知られるようになって、普段着とかに普及したらいいのに、なんて思いますよ。さて、今回はおこりんぼのお客さん、大川様がいらっしゃって、朋香のことをいろいろ気にかけているみたい。口にするのは、ちょっと乱暴? 厳しい言葉なんですけど、素直になれない、そんなおじいさんなんですね。でも、サラの案内に機嫌よくなさって、そして庭の池に落ちてしまった時の朋香の機転に朋香がしっかりと成長したこと実感して、ほんとにこにこといい笑顔であります。朋香の様子に、自分の孫に似たもの感じてるんですね。こうして人と人の関係がつないでいるものがある。そう感じさせられる今回のエピソード、しみじみとした思いいたしましたよ。

はこいり良品』は、これもまたよい話。古書から出てきたハガキと押し葉。今まで楽しかったです、ありがとう。最後にもう一度会いたいです。意味深な内容に、ラブレター? 遺書!? この姉妹、ほんと、性格が違ってて面白い。大人の火遊びなる謎の言葉を残して出掛けていった祖父も気になる。許されない恋? じーちゃん宛ての恋文!? 謎が謎を、疑惑が疑惑を産んだこのエピソード。まさかこれが、マキの幼い日の思い出の木。ドングリの木とのお別れに繋がるなんて、もう、ほんと、思いもしませんでした。しかしなんて素敵な話なんでしょう。子供の頃の思い出を胸に、木との別れを偲ぶマキの姿に、思わず涙もこぼれてしまう。そうした切なさとあたたかみ感じさせられて、ええ、これ、屈指のエピソードですよ。

  • 『まんがタイム』第36巻第7号(2016年7月号)

2016年6月7日火曜日

『まんがタイム』2016年7月号

『まんがタイム』2016年7月号、発売されました。表紙は、え? ピザがテーマ? ピザでも食ってろ! ってやつ? 『おとぼけ課長』がメインで、手にはピザ、いよいよ食べますよといった状況です。すでに食べてるのが『さわらせてっ!あみかさん』で、食べてかつチーズを引っぱって楽しんでるのが『らいか・デイズ』らいか。そして『おひとり食堂』誠一郎は、焼きあがったピザを窯から出してさあどうぞ、といった様子であります。

『秘書の仕事じゃありません』、最近なんだか変な方向に振り切れて、いやもう、おかしいなあ。主任がいうんですが、スリット連盟の発起人、あなたでしょうって。いやまて、そんなものは知らない。というか、なんでもスリットがらみなら私関係と決めつけるな。中田さんも困惑ですよ。以前登場したライバルスリット秘書、というかスリット秘書というカテゴリがすでになにかおかしいんですけど、佐竹さんに酒田商事の丸井さん、皆それぞれに自分のスリットを極めるべく奮闘していて、ってなんだろう、意味がわかんねえな、それでスリット連盟を発足、中田さんも勝手に巻き込んで、その暴走ぶりのおかしさと、巻き込まれたくない中田さんの抵抗が、本当におかしかったです。スリットを増やそうとしているっていう都市伝説も再び登場してみたり、主任はカンフー的ななにかだったりと、そうした小ネタもおかしくて、ほんと、いい塩梅にやりたい放題な感覚、とてもよいです。

『さわらせてっ!あみかさん』は、沙織ちゃん回でしたよ。先生、仕事が大変、ひどい顔色、へとへとになってて、リフレッシュしましょうと、あみかさん、ドライブに誘います。って、待って? ドライブって疲れない? 田舎出身のまひろ、この子の車の常識がたいへん面白かったです。畔つぶしたり! って、そのアドバイス、はじめて聞いた! リアルだとめんどくさいツンデレとか、そういうのも面白く、そして沙織ちゃんの免許証! おお、女を頑張っていた時代があったのか! いや、でも、今の方がずっと素敵よ! 沙織のリフレッシュはかなったようで、祝着祝着。そして最後にバス子さん。あの危険思想! ほんと、めちゃくちゃ面白かったです。というか、路線バスを巻き込んじゃあいけないよ!

『ひとみ見つめないで!』、新作ゲストです。って、ゲストか! 当然、新連載かと思ってた! 『鉄仮面のイブキさん』の作者の新作。今度は、人の視線に敏感なお嬢さん、生徒会長やってる人見さんが主人公。書記の観田くんから向けられる視線、その鋭さがためにチクチクと痛むというんですね。ああ、それで目が四角なんだ。これ、鋭い目なのか。熱い視線を受ければ暑くなる。生徒総会なんかは大変で、学内を歩いても、人気の会長です、皆の熱い視線を浴びてやっぱり大変なことに! って、そこで副会長が出てくるんだ。彼女の冷たい視線、それが会長には役立って、罵ったりね、嫌ったりね、そんなこという副会長なんだけど、え? それ、真意じゃないの? 演技なの? わかんないんだけど、まっすぐでわかりやすい観田少年。ちょっとわかりにくいけど、その素直じゃなさに魅力感じる副会長。いいキャラクター、そろえてきますよね。

『ひふみさんでもういっぱい』、ゲストです。わるくないですよ。小学四年生の古賀真矢くんは、一緒に住んでる小料理屋の女将さん、紫村ひふみさんのことが好きなんですね。身長を超えて婚約するとかねいっちゃって、それで牛乳をたくさん飲んでる。そんなちょっと微笑ましい関係がいい感じであります。おませさんですね。ひとつ屋根の下に暮らしている、つまり事実上結婚しているといっても過言ではない、という真矢の言葉に、過言ですと応じるひふみさん。ひふみさんから見る真矢との関係。仲良い、近しい、けど恋愛のなんのって風ではない? そういう距離感悪くなくって、憧れは憧れとしてありがたく受け取って、でもちゃんと大人なのがいいなあ。なるほど、真矢の母、古賀菜々子、この人がひふみさんの友人なのか。ひふみさんは未亡人。菜々子さんはどうなんだろ。いろいろわからないけど、今わかってること、描かれていること。仕事している時以外は結構ゆるいひふみさんとかね、素直にいいなあって思わされますよ。

  • 『まんがタイム』第36巻第7号(2016年7月号)

2016年6月6日月曜日

PENTAX レンズフード PH-RBA40.5 (Qマウントレンズ 06 TELEPHOTO ZOOM用)

 このあいだ、ちょっと京都にいきまして、せっかくだからとカメラも持っていきまして、カメラはGR DIGITAL IVPENTAX Q-S1。Q-S1には望遠ズームをつけっぱなしにしていまして、ええ、このレンズ、気にいっているのですよ。さて、こないだの話に戻ります。時間にも余裕があったし、天気もよかったし、というので、家から駅まで歩くことにしたんですが、いやあ、なんということでしょう、そのズームレンズに逆向けにつけてたフードがなくなってる! あー、落としちゃったよ! 逆向けにセットしたときは、かちっとはまらない、緩くてぐらぐらしてる、わかってたはずなのに気をつけてなかった。ああー、落ち度だわ。歩いてるうちに、振動でちょっとずつ回転して、落ちちゃったんだ。もう、すごくショックでした。

京都に向かう電車の中で、いやあ便利ですよね、iPhone、ウェブにアクセスできる。価格を軽く確認しましたら、2500円くらいする! あー、地味に高いよ。千円ちょっとくらいなら、まあ痛いがしかたない、そんな気にもなろうもの。でも二千円超えるとなれば、というか三千円近いとなれば、痛みもかなりのものになって、もうね、すっごい憂鬱。これから京都だ、撮影だ、そんな気持ちでいたのが、もうすっかり消沈。まあ、金で解決できることはくよくよしないがモットーです。気落ちしててもしゃあないんですが、まあ、ショックはショックということで、はあ……。

フードはですね、なくても写真撮るのにそれほどダメージはありませんから、まあ、炎天下とかだとあった方がいいって思いますけどね、撮れないわけじゃない、そう思って気力をふるっていろいろ撮影してきたんですね。でも頭のどこかにはフード落としたという意識が確かに残っていて、ふいにがっかりする。そんなことを繰り返していて、庭園出口の受付に誰かが落としたフードを見ては、ああ、気の毒だ、でも、これ、落としちゃうよなあ。なんだか相哀れむ、そんな気持ちにさえなっていたのでした。

たくさん歩いて疲れたから帰りはバスを使いたい。そう思ったのだけど、道のどこかに落ちてるんじゃないか、回収できたらいいな。そう思って、頑張って歩いて帰りました。いやあ、ただ歩くだけじゃなくて、あっちこっちと視線さまよわせて探しながら歩くの、結構つらい。ほんと、地面、道路の脇だけじゃなく、段差があったらその上に置いてくれてる人がいるかも知れない、可能性ありそうなところは全部見て、けど見つからなかったんですね。壊れて割れてしまった、そんな形跡でもあれば納得もいくのに。そんなこと思って、もしかしたら玄関にでも落ちてないかな? そう思ったのですが、やっぱりない。ああ、ほんとに失くしてしまったんだ。そんな気持ちがして落ち込みました。

PCでヨドバシカメラのサイト開きまして、型番どれだっけ、PENTAXのサイトで確認して、対象のフードのページ開きまして、でもすぐにほいっと注文する気にはならなかったんですね。でも、これが正解でした。いえね、あったんです。テレビ見ようと場所を移動したら、そのテレビの前らへんに、黒い筒が落ちてる。あれ? あ、フードだ。あれ!? じゃあ、玄関にいく前にもう落としてしまってたってこと!?

慌てて買わなくてよかったですよ。そして想像以上に落ちやすいということもわかって、ええ、フード、使う時は逆向けにではなく、たとえすぐには撮影しないとしても、正位置にきっちりつけておく、そうした意識が必要だと実感させられる出来事でした。

2016年6月5日日曜日

『まんがタウン』2016年7月号

『まんがタウン』2016年7月号、一昨日の続きです。

『恋するヤンキーガール』は、アヤメちゃんとナギの関係、どんどん進展していきますね。そんな状況が面白くない? ナデシコが介入してきまして、嫉妬ですか? 嫉妬でしょうね。でも今回は、ナギがアヤメちゃんのこと考えていろいろ頑張ってくれたりね、そうしたところ大変よくて、さらにはアヤメちゃんの誤解を解こうともしてくれて、功は奏さなかったんですけどね、でも彼女らに必要なのはこうした積み重ねですよね。そしてアヤメちゃんもナギのために暴力をふるわないって決意して、ああ、変わろうとしてますね。このお互いを思って、お互いに変わろうとしたりするところが、ほんと、ふたりいい関係を築けているなって思わせて、とてもいいんですね。

『魔法少女は笑わない』、いい話でしたね。どんなに苦労しても感謝されない、それが魔法少女だっていってモチベーション下げてるふたりです。けど、このふたりが感謝されて、報われて、そうした今回、ほんと、小さな感謝なんだけれど、褒められたいわけでなく、ましてやなにかの得があってのことでなく、ただただ自分たちの大切に思うものを守りたい一心での頑張りがちゃんと通じていたという、その実感がこもるエピソード。最後のコマのふたりの泣き笑いなんて、最高だったと思いますよ。

『ほぼほぼ商店』は、もともとの金物屋の売り上げがしょぼしょぼとあって、あとはさっぱり? お客さんは増田のおばちゃんだけ? みたいな話してますけど、ほんと、この店、大丈夫なんでしょうか。潰れそう! 心配やわー。太郎のいう金物屋は経営安定の理屈。在庫が無駄にならないっていうの、いや、それ売れなかったらやっぱり無駄だから! 心配だわー。キャンドルのすれ違い、それ面白くて、そして若いふたりのちょっと甘いやりとり。ああ奥さん、可愛いです。ほんと、可愛いですよ。あの派手なレースにつつまれるふたり、眠れない夫、これもおかしかったです。

『あいたま』はお風呂回ですよ。アイドルの皆が温泉で! っていうんだけど、色気だなんだよりも、あいの変態性癖ばかりが目立って、もう、ほんと、あんたいつか出血で死ぬよ? あいちゃんのやらせて発言、別になにも際どいことなくって安心! とかね、ひよこのシャンプーハット卒業とかね、雪乃さんのクラゲとかね、ほのぼのネタあり、そして蓮の過激なダイエット! 久米さまプロデュースの血の池地獄とか、アグレッシブなネタもあり、この過激ほのぼの過激ほのぼの、折々にふれられるあいの変態! その揺さぶりが『あいたま』であると実感させられる面白さでした。

  • 『まんがタウン』第17巻第7号(2016年7月号)

2016年6月4日土曜日

『まんがホーム』2016年7月号

『まんがホーム』2016年7月号、一昨日の続きです。

『宇宙ファラオ☆パトラちゃん』は初心に立ち返ろうという話ですね。というか、パトラちゃんはその気はさらさらないんだけど、御付きのホルスに堕落したって怒られて、でも逆にホルスがパトラにたしなめられる始末。チョロいな、ホルス。駅前のイオソがなくなったら嫌だっていうの、それ聞いてホルスもあそこは楽しいと同意。お前も地球気にいってるでしょっていわれて、そりゃまあと同意。うん、ほんと、あの丸めこまれてる様子がおかしかったです。でも、ここまで侵略の意思はないことを見せつけながらも、のあに釘を刺される。ほんと、のあ、どんどんすごい人になっていってますね。

『敗者復活戦』は月穂サマと母の日でありますよ。と思ったら、むしろ観察されているのはニーナの方で、ああー、ニーナは兄ちゃんが甘いんだよなあ。すごく気を配ってる夕記に兄だよりのニーナ、そもそもあんまし興味関心がないっぽい月穂サマと、三者三様、キャラ被りなし、いい塩梅です。そして榎本さん、来店。おお、残念な印象のあるえのっちですが、今回はうまいこといった? でも家族のもの、勝手に持ってきてしまったのか。となると、当然買い取れません。うん、いい店だ! しかしあだ名で呼ばれただけでちょっと嬉しそうなえのりん、チョロくて、ほんと、なんか可愛らしいです。そして社長。旅先から大量の本を持って帰宅。そんな夫のもろもろ、ばっちり把握してるばーちゃん、堂々として素敵でした。

『歌詠みもみじ』はもみじと千恵子がけんかです。それはいいとして、最初のコマに描かれたふたり、これ、すごくいいな! 幼小中と、ふたりの歩みをとらえたスナップ写真も素晴しい。けどふたりけんかしちゃって……、とはいうものの、そこまで深刻には見えないのがいいところ。反面、ふたりに挟まれるまりなが大変で、けど、それでも巻き込まれるままになってくれているまりなはいい子だと思います。もみじの家でのこと、父と母の会話が酷くて、友達は対等だけど夫婦は主従関係。ああー、この家は妻が主っぽいですね。母のアドバイスがとてもよかったです。血の通った人間みたいなことって! パパさん! こうやってところどころにコミカルな展開挟んでくれるから重くなくって、けれどしみじみとよさ感じさせるふたりの仲直りのエピソード。ほんと、とてもよかったです。そしてまりな! うん、まりなさんは、そうやって憤る権利、あると思います!

『マチ姉さんの妄想アワー』は「夢いろいろ」がやばい! そもそも冒頭の夢あふれる夢のなさもかなりいかすんですけど、全部のエピソードを終えたところに、化学式的におかしい水をうんたらかんたらって、このダブルで世相に踏み込むのがね、もう、しびれまくりですよ。昔話のくだりももちろん面白い。「第三者存在」、ドンびきしてる彼女がもうね。というか、女神様、そのチョイス、完全にこの男を追い込む気満々じゃん! そして人魚姫の「ひずみ」。ああ、このお嬢さんのかたくなさ、すごくいいな! あの眉がいいよ。めちゃくちゃ可愛いじゃん。パンドラの箱、コウモリの中立も実に気がきいて、そしてマッチガール! ああ、この作者のネタへの取り組み。実に素晴しいです。

  • 『まんがホーム』第30巻第7号(2016年7月号)

2016年6月3日金曜日

『まんがタウン』2016年7月号

『まんがタウン』2016年7月号、発売されました。表紙は『かりあげクン』をメインにしまして、お、なんと、日本漫画家協会賞大賞受賞でありますか! どういう賞であるかはちょっと知らないのですが、いずれにせよこうして受賞したということ、大変おめでたいことだと思います。そして今回は新作ラッシュですよ。『ひなたの総務メイト』、『妄想しがちなすみれさん』、『ようこそ!スマイリーバーガーへ』、新連載の告知カットがございます。さらに『山本さんちのガン・ガール』、『恋するヤンキーガール』の単行本告知カットもありますよ。

今回は新作が4本もありますよ。

『ひなたの総務メイト』は総務部総務課に配属された新入社員、若井ひなたが主人公。フタバ精機株式会社。あえてフタバホールディングスの子会社と書いているのは、会社の規模が小さめという断りなのかな? いや、別に普通に大企業の場合もあるものなあ。総務課、全員で3人。人少ないな。社内のなんでも屋。備品の調達したり、なにかあると出動したり。課長がいろいろ自分でやりたい、そういうタイプの人みたいですね。けれどこの課長、いろいろ角のたつ、そんな人でもあるようで、なるほどなあ、ひなたさんはそんな課長ないしは総務課と他課との緩衝材、円滑なコミュニケーションの実現を期待される、そういう人材であるわけなんですね。

『妄想しがちなすみれさん』、こちらも社会人1年生、深町すみれさんが主人公。つとめ先は図書館だそうですよ。で、この人、なにかと妄想してしまう。なるほどいい男といい男を見ると云々ってやつ!? いや、違いました。この人は男女の仲を妄想して、しかも自分についてもいろいろ考えちゃうっていうんですね。父母からの教え。男女交際は自分で責任がとれる社会人になってから、というのを守って今の今まできてしまったすみれさん。なんというか、奥手? モテない? そうしたことにずっと縁のないままきてしまって、けれどだからといって興味がないわけじゃない。なにかあるごとに、彼氏だなんだ、いろいろを想像、妄想しちゃうっていうんですね。さて、この漫画、図書館舞台っていうことですが、その設定がどう活かされるのか? そこが気になりますよ。

『ようこそ!スマイリーバーガーへ』、ハンバーガーショップ、スマイリーバーガーは、おいしいバーガーが人気、なのだけれど、店員の愛想がなくてなくて……、それで客をみすみす逃してしまっている、っていうんですね。店員も決して無愛想にしようってつもりじゃないみたいですよね。でも笑顔がない、というか表情が怖い。そんなお店が、さあどうする。第一話では、まだ動きらしい動きはなく、後半にちょろっと新人になるだろう女の子の姿が描かれた程度。なので物語は次回、刮目して待て! といった具合みたいですね。いや、だって、表紙のカットに出てる笑顔の可愛い女の子、本編にはそれらしい出番、全然ないんだもの! ちょこっとモブレベルで出てるだけなんだもの!

『中年マンガ家ですが介護ヘルパー続けてます』、こちらは不定期連載だそうですよ。実録ものですね。作者吉田美紀子さんが訪問介護の仕事について、そこで経験したこと、出会った人たちを漫画にして伝えてくれるっていうんですね。ああ、なるほど、訪問介護とはどういうものであるか、よくわかります。介護が必要な人、その人の状況に応じて、その人の自立や機能回復をサポートする、そうした仕事であるんですね。でもサポート受ける人も、自分の衰えや機能喪失した状況を見せたくない。プライドですよね。プライドもなくてはならないものだけど、時には邪魔することもあるんだって思わされますよ。またより大変な状況にある被介護者もあって、という、ほんと、これ、決して自分も無関係ではないのだろう、どういう立場かはわからないものの、いつか関わらざるを得ない、そんな日がこないとも限らない。ある種切実なテーマなだけに、こうしてその現場の状況を知ることのできるのは、ありがたいことだと思います。

  • 『まんがタウン』第17巻第7号(2016年7月号)

2016年6月2日木曜日

『まんがホーム』2016年7月号

『まんがホーム』2016年7月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』らいかがメインで、お、これはプールですか? 水に潜りましてね、水中じゃんけん、じゃんけんポンっ! であります。青い表紙は涼しげで、見上げた上方、水面に輝く太陽がいいですね。『のちの真田幸村である』の弁丸は褌一丁で水練。『孔明のヨメ。』孔明、月英夫妻は、なんと潜水艦ですよ! 小さいカットながら『敗者復活戦!』月穂サマも水着で登場です。

『スナックあけみでしかられて』、今回はしかられませんでした。スナック・ハンターを自称する若いのが登場ですよ。閉ざされた扉が一般社会あるいは日常と隔絶する、そんな世界。スナック。けど、あけみさんの店はずいぶん違う印象ですよね。さて、ハンター、スナックあけみを訪れて、手芸好きの中年ママ? なんてあたりをつけたら大間違い。予想外のあけみさんにすっかりやられちゃって、けどこの人、ハンターだなんだ、訳知りに見せてますけど、意外や経験豊富というわけではない? あるいは、それだけスナックあけみは規格外!? カウンターから距離置いてる常連客とか、おすすめがラーメンとか、ほんと、なんか、独特で、アイス欲しい人ー! ほんと、この距離感、おかしいです。そしてハンター、ママの歌にやられる……。ああ、これはほんと、たいした罠であります。

『男子の花園』、これ、父ちゃんがいいですよね。朝食を用意する音、そして匂いに妻を思ってはっと目覚めたら、そこにいるのは父であります。おお、エプロン・ダンディ! 弁当までこしらえてくれて、それで保育園に通う息子が喜んじゃって、いや、給食出るから駄目なんだけどさ! この父が息子と孫のこと思っていろいろやってくれる、それはとてもいいことではあるんだけど、いかんせんそれが有難迷惑になっててさ、ちゃんとこれ、息子と話し合って、どこを助ける、そうした、いわば孫の太陽、この子を育てるバディにならないと駄目なんだろうなあ、そんなこと思わされたんですよ。ええ、はやく父と子、歩み寄って話し合って、役にたつ助けをする、ひとつの家族、機能するチームになって欲しい。そう思わされましたよ。さて、息子です。こないだまではいろいろ必死だった彼が、父ちゃんのおかげで余裕ができて、そうした状況の変化を見た皆が女ができたとショック受けるんです。女じゃないですって、という言葉に男!? 皆が動揺する仲、ひとりめちゃくちゃハート飛ばしてるよ! 息子は父にいろいろ思うところあるのだけど、このわだかまり、わかるからさ、なんとか解ければいい、そう思うんですね。

『孔明のヨメ。』、劉備の逆襲ですよ! 面白い。蔡瑁、蔡夫人の策略を受け、暗殺されかかった劉備が、徐庶の計略でもって、暗殺の首謀者は誰なのかをあぶりだしつつ、円満円滑に問題を解消し、さらに相手に手出しせぬよう釘をさすというのがですね、実に見事な展開でした。また蔡瑁、蔡夫人のふたりがくやしそうで、とりわけ蔡瑁ですよね。もう見事にすべてが裏目裏目で、馬はとられるしさ、本当のことなんていえないしさ、その上ぽいっと証拠の品を突き付けられて、見抜かれてるぞと駄目押しされる。完敗完敗、もうどうしようもない完敗でありますよ。これで徐庶は劉備の厚い信頼を得るにいたった。それは重畳。けれど同時に徐庶は月英の縁者と敵対関係になって、とこうした悲しさもあって、本当、難しい時代でありますね。

『マツ係長は女ヲタ』、タイトルがすべてを語ってますよね。主人公マツ係長はオタクです。なんのオタクかというと、アイドルオタクなのだそう。カラフル☆ワンダーなるグループの、しろたんがとりわけお気に入りで、語り出したらとまらない! と、ここでちょいと驚いた。マツ係長、部下のウメ君には普通にドルオタであることカムアウトしてますね。そうか、オープンオタなのかな? と思ったらそうではなく、なるほどウメ君が特別なのか。係長の仕事ぶり、堅実冷静なその姿勢と、アイドルしろたんのもろもろに右往左往する姿のギャップ。そうしたの面白くて、またしろたんグッズでわかりあえる者同志との静かなる対話などなど、見どころ、面白み、よくよく表現されてよかったと思います。あのタクシーの運転手さんに、女の子しか興味ないっていっちゃう係長とかもね、グッドでしたよ。

  • 『まんがホーム』第30巻第7号(2016年7月号)

2016年6月1日水曜日

決してマネしないでください。

 ずっとネットで気にしていた漫画だったんですよ。twitterとかでね、ちらほら紹介されたり話題になったり、それで、面白そうだなあ、ずっとそう思っていたんですね。『決してマネしないでください。』。科学の漫画。大学、理系の学生が、先生や同期? 先輩? と一緒に、なんやかんや実験、というか科学実験遊びをやって、楽しく日々を過ごしている? そんな印象感じさせる漫画で、そんな彼らの遊びに参加する一般人枠のお姉さん、この人がなんだか可愛くて魅力的で、ってそんな感じの漫画。いや、しかし、なにが魅力って、お姉さんもそうですが、その科学のもろもろ、説明、解説、それがなんかすごいなって思わされるもので、実際まとめて読んだらですよ、あれまあ、事前の印象以上! ほんと、これ、すごく力量感じさせる、そんな漫画であるのですよ。

なにがすごいといっても、主人公掛田氏、この人を中心とした理系男子たちの人間関係。有栖君とテレス君、それぞれに専門違いの彼らのやりとりのおかしさ、会話の軽妙さ、それがまず面白くって、そこに一般人代表の飯島さん、このすごく魅力的でチャーミングなお姉さんが加わってくる。掛田氏は飯島さんのことが好きなわけですよ。飯島さんも掛田氏のこと気になってるわけですよ。と、恋愛ものとしての面白さが加味されたところに、これらすべての要素が科学の事象、実験や科学史、科学の偉人の説明でもってエピソードとして高いレベルでまとめあげられる。

いや、ほんと、ものすごいですよ。コメディの要素だけで面白い。恋愛ものとしても面白い。そこに科学のもろもろ、めちゃくちゃわかりやすい! しかも面白い! なんだこれ、昨今科学の発見や手続きやもろもろ、いろいろ話題になること多いけど、そういうことになにかちょっとでも感じるところのあった人は、この漫画読むべきだと思う。いろいろごちゃごちゃ絡み合ってしまってること、それがすっきりとときほぐされる、そんな実感を得るんじゃないかな!? なんて思うわけですよ。

科学における発明とは、研究とはどういうことなのか。私もね、大学でいろいろ学ぶ過程でね、自然科学でも人文科学でも同じですよね、研究とは皆が少しずつ積み上げていく営為であって、人によっては小さな石かも知れない、けれど皆でこつこつと積み上げることでいつか大きな伽藍もできあがるんだ、みたいな話は聞いてたわけですよ。あるいは、よく自然科学の人はいいますよね、巨人の肩に乗って云々ってやつ。それがこの漫画では、液体の入ったコップに研究者がひとつひとつ小石を入れていく。少しずつ水面はあがっていって、いつしかあふれる、その最後の石を入れる行為が発明といえるのだけど、その達成はひとりの力でなされたわけじゃないんだって感じで説明がなされてまして、うわ、なにこれ、すごくわかりやすい! 徹頭徹尾こんな具合で、科学の考え、手続き、いろんな考え方やらなんやらかんやら、わかりやすく例示されて、なるほどなあ、そういう学問なのか、そういう論理なのか、すっと入りこんでくる。面白い! うん、これ、皆、読むといい。読まないと損だよ! そう思うくらい、この漫画、面白い。

この作者さん、ものすごいクレバーな人なのだと思います。こんなにすっきりと整理された説明。わかりやすい例示に図解。しかもそれが面白くてチャーミングであるときた。なにそれ、ほんと、過不足なく、理想的にしあがってるじゃん! 理系の物理の工学の、日頃そうそう身近でないという人も多かろう世界が、ものすごく近しく感じられて、ちょっと覗いて見てみたい! 見学、体験、してみたい! そう思わされること必至。うん、ものごとを説明することは難しいといいますけど、面白く、楽しく、魅力的に説明するのは、さらに輪をかけて難しいわけで、でも、その難しいことを、なんかあたかも簡単に普通に自然に当たり前みたいにやってくれている。これ、そんな漫画なんですね。

いや、絶対簡単じゃない。簡単みたいに、当たり前みたいに見える、感じるのは、相当な力量、相当な実力があるからですよ。ほんと、これ、稀有な漫画だわ。もう最高だと思う。

最高といえば、飯島さん。なんでしょうな。素晴しいですよね。穏やかで可愛らしくて、知的好奇心に溢れていて、科学の物理の実験のいろいろを、あんなに面白そうに聞いてくれて、楽しんでくれてって、もう、あんないい人いやしないもの! そう思って、絶望に空を仰いだよ! ああ! 現実が色褪せて見えて悲しいなあ!

みたいに馬鹿なこと思ったりもしますけど、読めば必ず面白い。ええ、これ、素晴しいです。ぜひ広く読まれるべき漫画です。