2014年6月16日月曜日

『まんがタイムきららミラク』2014年8月号

『まんがタイムきららミラク』2014年8月号、発売されました。表紙は『幸腹グラフィティ』、お弁当に埋もれている娘三人。おかずを差し出すリョウに、もりもり食べてるきりん、眠っている椎名。この一枚のイラストにそれぞれの個性よく現れていて、いやほんとしかし、リョウのあのほっとする笑顔、素敵でありますよ。

そして、『幸腹グラフィティ』、アニメ化だそうですよ。うん、別に驚きはしない。ただ一点心配があるとすれば、あの強烈な印象を残す料理、その圧倒感がどんな風に表現されるのかな、ってやつですね。いやほんと、今は帰りの電車で『ミラク』を読むこともなくなりましたが(コンビニがなくなったので朝買えない……)、かつては帰宅の車内、扉に描かれたうどんに見事にやられて、お腹がすいたよう……、つらい思いもしたものでした。さて、本編です。高二の学祭、その準備の風景なのです。模擬店で豚汁を振る舞う。当日、作るのはリョウですね。そのリョウさんが、ちょっとメランコリックなんですね。自分の進路について、だんだん方向性が見えてきた。きりんも同様。そんな話してたら、進みたい大学、別々になるんだって気付かされたんですね。それでメランコリー。あの、ひとり校内をめぐって思う、その情景、しみじみと伝わるものありました。椎名と合流して、きりんが飛び込んできて、少しずつ変化していく色調、それもよかった。かけがえのない時間、大切な友達、すべてが過ぎてゆき、いつか別れる日がくるという寂しさ、侘しさを祭の喧騒の中に思う。こうした情緒は、広く共感されるものなのではないか。だからこそ、きりんの明るさ、差し入れのおにぎり、そしてきりんの変化してきたということ。それらがぱっと光の当たったかのように際立って見えて、はっと心に届くのかも知れませんね。いいテーマ、いい描かれ方でした。

『うらら迷路帳』、なるほど、この漫画の核心といっていいのでしょうか、ヒロイン千矢を突き動かすその思い、それが描かれました。お母さんを探していた。名前も知らない、どんな人か、どんな風貌かもわからない。そんな状況で探すとか無理じゃないか? ええ、明確に向かう方向が決まった、そんな感のあるエピソードでありましたよ。占いをなりわいとする彼女ら。十番の彼女らには無理でも、一番占なら可能なのじゃないか。さらには伝説の一番占と呼ばれる存在、その人ならなんとかなるのではないか、そういう話になるんですね。けれど、十番の彼女らには上位の番地には立ち入ることができない。けれど千矢はどうしてもその可能性に賭けたくて、夜、門を超えようと試みて……。ええ、強い千矢の思いが描かれました。その思いが、掟を破っての越境ではなく、正当にまっすぐ一番占となって進むという意思に転化する様が描かれました。この明確な動機の提示、実によかったです。そして千矢、彼女の思い、その目的は、彼女が一番占となった時に叶えられるんじゃないか、そんな思いもいたしますね。

城下町のダンデライオン』は、おお、父王の若かりし頃の話! なるほど、父は一人っ子だったんですね。それで、高校生になった頃にはもう王であったのですね。そんな王、総一郎は、王だからなのか、周囲から遠巻きにされるばかりで、友人のひとりもできないときた。って、メイドが付きっ切りなのか! そんな彼の出会った女の子。晴れた日には屋上で昼寝。総一郎をそうと気付かず、サボり、買い物に連れ回してみたり、それで夕食を振る舞ってみたり。いやほんと、マイペースさがおかしかったですよ。総一郎は自分のことがあるから、いろいろ思うところあるわけですけど、そのお嬢さんには全然通じない、全然わかってないんですね。いや、わかってたのか? 謎だなあ。東雲五月。今では茜たちの母ですね。その性格は今も変わらないようで、いやほんと、素敵でした。

『私たちは変じゃない!』、ゲストです。新学期に入って、同じクラスになった人、離れた人、いろいろ思ってるのはいいとして、輝、この子についてははなれてよかったんだ。ヒロインは薫? 神経質で、いろいろ細々考えすぎる女の子ですね。彼女のまわりでうるさくしてるのが輝。明るい子。マイペース? オタク娘で、多分寂しがり屋。薫と同じクラス、ふたりの友達がともえ。この子は普通のポジションかな、そう思ったら、いやいやいやいや、のっけからぶっちぎりじゃねえですか。ひとり尿意を我慢している。がまんするのが快感だっていう。あかん! あかん! 病気になるよ! 輝にその日の設定があったり、そして輝、ひとりぼっちのクラスでオタク仲間と知り合ったり。このお嬢さん、いずれは輝たちと一緒に昼食とるような仲になるのかな? いきなりのともえには度肝抜かれました。なかなか面白そうな予感ですよ。

『箱庭ひなたぼっこ』、新連載です。野草好きの女の子。陽向はひとり野草に語り掛けてたりする、そんな女の子なんですね。やっちゃん曰く、植物ポエム。陽向は植物に贈る詩だっていいますが、あんま違いがわからんなあ。はなやかに咲き誇る桜より、控え目に咲く野の花が好き。ハルジオン、そしてラッパ水仙。って、ラッパ水仙が出てこないのがおかしいなあ。ジョウチョ? ジウリンドウ、スズヒトエ、タチイヌジシバリ、名前ばかりはすらすら出るのに、ラッパ水仙は出なかったんだ。教えてくれたのが、たまたま出会った女の子、千堂ゆかり。華道の家元の娘らしい。そんな彼女と、そしてまたまたたまたま知りあった虫大好き少女一之瀬蘭と一緒に植物同好会に入ることになる。会長は橘翠子。おっとりしたお姉さん、と思ったら、面白いな、なんかいたずらっぽい? 山登ったり、それから外周30周とかいっちゃうお姉さんなんですね。自分も写真を撮る関係で、路傍の花など、気にしていたりするんです。それでなんだか共感? など感じるところありました。なんでもない花が可憐だったりするんですよね。でもって、名前がわからんのです。

  • 『まんがタイムきららミラク』第3巻第8号(2014年8月号)

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