紀伊國屋書店のKinoppyには、新着図書のコーナーがあるのです。登録された電子書籍を一覧できる、いわば電子の平台でありますね。私はなるたけ本との出会いを逃したくないと、毎日これをチェックするようにしてるのですが、そこに現れたのが『女子のてにをは』。可愛い女の子ふたりの綺麗な表紙。ああ、これは昨今はやりの百合ってやつだね? いえ、違いました。第1話の半ばまで試し読みできたのは幸いでした。東山みどり。背中に届くその真っ直ぐの黒髪はまさに烏の濡れ羽色。女子からは羨望の、男子からはほのかな憧れの的だった —
。しかしその彼女が、突然その髪を切った理由とは一体!?
なんとですよ、試し読み、落ちの直前で終わりなんですよ! なぜ彼女が髪を切ったのか、それが明らかになる前に終わりなんですよ! なにそれ! 許せない! 買うしかないじゃない!
買いましたよ、読みましたよ、もう、めちゃくちゃ面白かったですよ。東山みどり。いいわ、この子。なんか思い切りよくて、あのいてもたってもおられなかった、そうした様子にこの子の胸の高なり、気持ちの躍動が溢れかえって、なんて瑞々しいのだろう! 感動すら覚えました。彼女の気持ちの昂り、それはうきうきと表情にあらわれて、そしてまた落胆も同様で、なんてチャーミングな人なのか。ええ、この漫画、出てくる女の子たちが本当の本当にチャーミングで、それもただただ可愛いは正義といった類ではなく、ひとくせふたくせある、ちょっとズレてたり、あるいはなにかノリノリだったりする、そうした個性の中に、肩肘はらない人の自由さ、時にあっけらかんとして、そして晴れやかな空、その高さを思わせる心地良さがある。自然なんですね。漫画です、フィクションです、作り事なんです。わかってるんだけど、彼女らひとりひとりに、この世界のどこかに笑って泣いて、楽しく元気に暮らしてそうな、ありそう感、どこかにいそう感がぴしっと通っていて、ほんともうたまらない。もうひきこまれるみたいにして読んでしまうんですね。
この漫画は、基本一回一回が独立した読み切りになっていて、第1話の彼女、東山みどりは第1話だけの登場です。1話あたり9ページという短い読み物、その短さで彼女らの個性、魅力を見事に描く、その手腕は確かなものであるなあ。ちょっと短い、そうしたところも、この漫画の魅力を支えています。テンポがいい、ぽんぽんとリズムよく展開するその小気味よさは、彼女らの足取りの軽やかさそのものであり、次へ次へとページをめくらせる、先を先を読みたくなる、そんな気持ちを後押しする優しくも強い力であります。1話を読み終える、ああ面白かった、そう思った気持ちはすぐに続く話にからみとられて、もう今日はこのへんで、そう思っていたはずなのに、とどまることなく目はページの先に向かっている。目を、心をとらえるのですね。彼女らの鮮やかさが、私をとらえて離さないのです。
しかし本当に素晴しい。見逃すことなく出会えたことに、安堵しつつ、喜びを感じています。
- るなツー『女子のてにをは』(ビッグコミックス) 東京:小学館,2013年。
- 以下続刊
引用
- るなツー『女子のてにをは』(東京:小学館,2013年),5頁。
『まんがタイムきららフォワード』2014年6月号、発売されました。表紙は『ハナヤマタ』であります。ハナを真ん中にナルとヤヤ、すごく華やかな背景は、着物をレンガの舗装に敷いているのかな? となるとそこに仰向けに寝転がって、そしてこちらにアピールしてくる、そんな具合の艶やかさであります。皆がね、髪に花をあしらっている、それが実に可愛くて、ええ、いいイラストでありますよ。
『
今日はサイエンスカフェというものにいってきました。喫茶店などで、いや、喫茶店とは限らないのでしょうけど、科学にまつわる講義、解説、ワークショップ? などおこなう、そういう催しをサイエンスカフェと呼びますが、放射線について基本のところを学ぶ会が開かれるというので参加してみたのでした。解説は大阪大学の菊池誠さん。先日、『いちから聞きたい放射線のほんとう — いま知っておきたい22の話』という本を刊行なされたところなのですが、基本のところを押さえておきたい、そういう要望に応えようという本、そして催しなのでありますね。
お待たせしました、ナントカの新作、『メェ〜探偵フワロ』であります。ひつじの名探偵、フワロ氏は実業で成功した資産家にして名探偵。晩年、都会を離れ、静かな田舎にて探偵社を開業。この漫画は、そんな探偵フワロ氏の華麗な活躍を描いたもの、ではないんですね。フワロ氏、人呼んで血に飢えた草食獣。氏の求めるものは、殺人事件、猟奇事件、物騒なものばかりというんですね。ところが、氏の住まう村は平和で平和で、事件なんてありゃしない。ともない、全体にほのぼのと人情の暖かみ感じる、ハートウォーミング探偵コメディとあいなりました次第なのです。
アニメ『
改めて見ると、眼鏡率高いなあ。『ホームメイドヒーローズ』、DIYの正義の味方一家でありますよ。特撮ヒーローに憧れるあまり、家族総出で戦隊ヒーローになる! と決めたのはいいけれど、やっぱり現実ってのはいろいろ難しくってね、変身とか無理だし、スーツだってハイテクに限界がある。その上ロボットとなったら、あれやらこれやら問題山積で、道路が耐えられないにはじまり、果ては法令違反。ああー、夢とか叶わないものなのでしょうか!? 父母祖父含めて一家でヒーロー志望という非常識と、正義の味方たるもの法令は当然守るし、物理の法則などからは逃れられないというのも道理、そうした常識がコンフリクトする、なんてところにおかしみのある漫画であります。
今日は4月1日。ということで、朱木茜さん、誕生日おめでとー! 朱木茜、新人声優、漫画『フレラジ☆』の主人公であります。『フレラジ☆』は、朱木茜、青柳葵、墨田圭、山吹薫の4人がパーソナリティをつとめるラジオ番組。まだまだ新人、いろいろ問題あるできないっ子たちをあえて選んで、パーソナリティに据えました。そうした趣向の番組の、放送の様子をいわばひとつの軸として、彼女らが少しずつ仲を深めていく様描いたり、あるいはそれぞれの子らにスポットライトを当ててみたりと、その描きようが幅広くて素晴しい。ええ、こんなにも面白くなるだなんて思ってなかった。声優という、一種アイドルを描いた漫画というよりも、職業としての声優に向き合う少女らの姿勢がいい。ぴしっと伸びた背筋の向こうに、彼女らの未来の可能性感じさせる、そんな感触が心地いいのですよ。
