これは表紙で軽くひっかけてきてるんですね。『トモダチログイン』。表紙にはましろ氏とさんごたん、自然の中、ふたり向き合って、ましろ氏の手がそっとさんごたんに触れる……。って、ちょっと待て、主役はどこにいった。裏表紙にはもえぎが巫女の装束着込んでいて、いやはや、この人はいいですよ。でもキャプションがなんかおかしい。いわゆる中二病的な文言がちりばめられていて、ええ、この漫画の主人公がまさしくその中二的なる病を発症しているお嬢さん、窪寺あやめなんですが、おお帯にあやめがおりますね。都会育ちの出不精ひきこもり気味のあやめが山奥の田舎町に暮らすことになった。慣れない田舎暮らし、そこで出会う女の子たち。出会って友達になっていく、そうしたところが面白い漫画でありますよ。
あやめはほぼひきこもり。漫画が好きでアニメが好きでネットが好きでゲームが好きで、田舎暮らしとか正直全然向いてそうじゃない、そんな子なんですが、両親が農業に目覚めて田舎に移住。これまでは通わずにすんだ学校も、引っ越しを機になのか、通わないといけなくなって、そこで出会った女の子たち、ましろとさんご、そしてもえぎ。彼女らとの関係をだんだんに築いていく、その過程がいやはやなんとも微妙で、もうほんとあやめの失礼千万。けど、なんだか暖かく見守られてる、そんな雰囲気があって、見ていてとても面白い。ええ、漫画やらアニメやらの常識やら価値観をインストールしてしまってるあやめの視点のおかしさと、やたらマイペースなましろに振り回されてるあやめの姿などなど。それらが実にいいんですね。
この漫画は『まんがタイムきららフォワード』連載。なので私は雑誌で読み単行本で読み、つまりこれを機会に読み返してみたといった具合なんですけど、もえぎがいいですよ。マイペースましろとメインヒロインさんご、このふたりに対しては友好的なあやめですけど、もえぎに対してはそうじゃない。その見た目から、媚びてるだのビッチだの、酷いこといってさ、はなっから敵対的に振る舞うんですけど、もえぎは親切で面倒見よくて、そしてなんだかいろいろ含むところもありそう? ええ、なんだか結構あやめとわかりあえそうな感触、最初からしっかり提示されてて、ええ、これ以上はいわない、1巻中にもえぎの秘密しっかり収録されてるので、ぜひ確認してもらいたい。ええ、これは読み返すとさらに面白くなるな! いや、ほんと、ヒロインたち、ええと、あやめもヒロイン扱いでいいのかな? 彼女らがどういう子なのか、知るごとに魅力も増して、このじわじわと面白みの増していくところ、よいじゃないの! ええ、まとめ読みの威力、想像以上でありました。
あやめもね、ましろたちに連れ回されて、いろいろイベントに参加させられて、体験通して、いろいろ思ったり意識したり、その様子が可愛くて、いやほんと、あやめがいるから面白いんだと思います。あやめのあのキャラクター、それが面白さの重要な鍵になってると思わされましたよ。
- 井藤ななみ『トモダチログイン』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2013年。
- 以下続刊
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