2013年7月6日土曜日

『まんがタイム』2013年8月号

『まんがタイム』2013年8月号、発売されました。表紙は『おとぼけ課長』と『恋愛ラボ』のコラボ表紙。課長とリコが、ふたり、手を出しあって指でハートのマークを作っているんですね。右上には父の日でしょう、カーネーションを差し出すリコのカットがあって、そして『あいすべきものものどもへ』の告知カットもございます。

『あいすべきものものどもへ』、ほんといつも面白いな。あえてのショート読み切りで、けど是非続きを読みたいと思わせる、そうした魅力があるんだから大変です。ええ、今回もそんな感じ。マイナーメジャーってやつなのかな、二人組音楽ユニットUMのファンの女の子が無人島に漂着してしまう。一緒に流れついたのが、クラスの人気者。明るく元気な女の子、けど腹が立つっていうんですね。で、このふたりが遭難生活をおくる中で、お互いUMのファンであることを知り、そしてついには友達になる。言葉で説明したらこれだけなんですよね。けど、その過程、なかなか素直になれなかったり、けどそれでも心のわだかまり、屈折した思いを振り切って駆け出すまでの描写。UMが心の支え、指針になっているという、そうしたところ、うまいこと描かれていて、ほんと面白かったんですね。もちろん、読み切り、続きはありません。って、もったいない!

『ゆとりノベライズ』、よいな! 里美さんがゴキゲン。って、徹夜ハイってやつか? ゆとりの家にやってきて、遊ぼう遊ぼうというのを、布団に押し込んで退治して、ゆとりは外出するんですね。サクマと会うってんですが、書店での会話、サクマがゆとりに、そして多くの作家として現状と戦ってる人たちについて思いをはせる、ああこれは、ライトノベルだけでなく、すべての創作の現場にいる人たちに通ずるものなんでしょうね。うん、くじけないこと、くじけそうになっても踏ん張って続けること、それはやっぱりひとつの才能といっていいものなのかも知れません。そして里美さん、ああこの人にしても同じなんだ。ゆとりをはげましてきた里美、けど里美もゆとりに応援されて、それで気持ち動かして、そういうところもあるんだなあ。ええ、ふたりの関係、すごくいい。先輩とか後輩とか簡単にはいえない、そんな感じがするんですよ。

『ノコひけ!工業娘。』は前回の続き、技術センターの見学ですよ。先生の友人らしい田中氏。これがもうろくでもない感じで、あの女子が敬遠するところとか実にいいですね。しかし、それに負けない田中氏が見事でした。しかしこれ、ほんと面白い。風洞実験装置、反力壁、ほかにもいろいろ試験に使う、器具じゃないな、なんていったらいいんだろう、施設とかそういったレベルのもの、これはなんだかわくわくさせられるわ。で、この漫画、そうしたもの使いながら、生徒たちの個性うまいこと関係させて、面白く仕上げてる。中村桐子独特のカルマン渦記憶法、ああ、面白い。桜の煩悩に、男子たちの達観。ほんと、しみじみ面白く、楽しく最後まで読めました。ちょっといい話風の台詞があっても、決してそうはならないっていうのも味だと思う。よかったです。

『もいんの高校野球日誌』、素晴しいな。カラーだよ。カラーのもいんさんはなおさら魅力的だなあ。しかし回を重ねるごとにもいんがどんどん偉大になっていく。グラブの新製品に開発段階から関わってたとか、あと、高校野球の予選なのかな? 開会式会場をどよめかすとか。ほんと、素晴しい。あの羽田だって、どの羽田なんだろう。今回は、なるほどもいんの野球好きのルーツが少し明らかになって、ああ、おばあちゃんがそうだったんだ。1968年日本シリーズのスコアブックって、どんななんだ? 調べてみると読売ジャイアンツと阪急ブレーブスの対戦で、巨人がV4を決めたのか。これ、野球好きだともっとよくわかったりするんだろうなあ。けど、基本的に野球知識がなくても楽しめる、そのことはその他のエピソード見てもよくわかる。ほんともいんの常識を超えた野球愛、素晴しい、最高です。

  • 『まんがタイム』第33巻第8号(2013年8月号)

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