『まんがタイムきららフォワード』2012年8月号、昨日の続きです。
『せなかぐらし』は、結構な緊迫した状況ですよ。いつだって失敗続きだった巡。しかしその失敗の度ごとにいろいろ学んで、少しずつ菓奈との距離を埋め、信頼を勝ち得てきたというのに、最後の最後でしくじってしまった。ああ、巡よ、自身の思いを頑にしすぎてしまったなあ。ああ、巡よ、相手がどう思っているか、そこに思いをいたらせず、頑な思い込みによって、結果気持ちを離反させてしまった。最後の失敗だったんだろうなあ。同じ思いを共有していたのに、その気持ちを隠してしまった。誤解を解きたい、その機会も失って、ええ、これはもう巡、すぐさま駆け出して追い掛けるしかないですよね。いや、もしかしたらまだもうちょっとぐずつくのかな。けどいまにもクライマックスですよね。
『麻宮さんの妹』、このところ、麻宮さんの父親、宗太郎のことが描かれているわけですけれど、強烈な天才、ただし非人間的な振る舞いが目立つ、そんな男。なにか純粋で、ゆえに危険、そうした匂いさせている宗太郎、ついに娘たちとの別れまで描かれて、これはぐいぐいとひきこむ展開でした。実をいうと、『麻宮さんの妹』、いまいち状況が把握できなくなっていた、そんな感じで、今彼女の置かれている状況ってどんなだっけ、今彼女を捕えてるの、どういう組織だったっけ、混乱したりあやふやなまま読んでいて、けどこういうの見せられると、読み返さないことにはいかないなあ。そんな風に思ったりしているのですよ。最初のうちは、ほのぼのな漫画? そう思ってたんだけど、全然違いましたよね。ほんと、予想しないほどの広がり見せて、すごいなあ、そう思ってるのです。
『少女素数』。あの事故にあった犬、ずいぶん元気になりましたね。すみれを見て、嬉しそうに飛び付いてくる。それはとてもしあわせな情景なんですが、交通事故にあった大型犬に不用意に近付いてはいけないという獣医師からのアドバイスに、的確な答を返すすみれさん。なるほど、どうぶつオタクモードであるのか。犬の名前はマロンではないか。気付いていたすみれと先生、現在わかっている状況、それをもって捨てられたと判断するあんず、そうでない可能性を検討しようとするすみれ、ふたりのスタンスの違い、それが描かれて、なるほどすみれのそれは信念、こうしたことをなおざりにはしたくないという、そうした思いのためかも知れませんね。あんずはより情を重視し、すみれは理を重んじる。そう思えば、前回は情をもって覚悟をなしたすみれが描かれていた。今回は、すみれのその選択を冷静に受け入れるあんず。ふたりの違い描かれながらも、ふたりともに一面的ではない、どちらの面がよいとか悪いとかではないんですね。ふたりともに理も情も合わせ持っていて、その表れ方が違う。そうしたところが見えて面白い、そう思わされたのでした。そしてぱっクン。彼もまた自分の目標、だんだんにしぼっていって、ああ、皆、自分のゆく末、それを思い、見つめているのですね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第6巻第8号(2012年8月号)
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