『まんがタイムきらら』2012年7月号、発売されました。表紙は『けいおん!』、グランドフィナーレですね。ああ、最後の表紙はライブ衣装なんですね。2度目のフィナーレ。実際、高校卒業時で物語には終わっていて、それがアンコールを受けて再演、といった感じだったんでしょうか。こんなこといっちゃあいけないけれど、大学編、これも面白かった。だからこの最終回表紙には、晴れやかさとともに寂しさも感じないではないんですね。お疲れ様、ほんと、お疲れ様でした。
『チェリーブロッサム!』は妹沙咲野の入学祝いでお花見、っていうんだけど、肝心の沙咲野が御機嫌ななめだ! いや、理由はわかるよ。きっとそうだよ。絶対そうだよ。そう思ってページをめくったら、ああ、やっぱりそうでした。先輩たちだってきてくれる、それが理由ですよね。素直ないもうと、いや、ぬもうとさんです。しかし、いもうと沙咲野と大倉山先輩のやりとり、実にいい感じですよ。沙咲野のことよく理解してる、かつターゲットは大咲だけじゃないよというこの攻防、先輩の貫禄、見事でした。しかし、なにがいいといっても、最後の沙咲野の感想ですよ。ああ、なんのかんのいっても、ちゃんと楽しいと思ってる。そうしたところに、沙咲野の気持ちの素直さやらよくうかがえて、いいじゃん! そう思ったのです。
実は、私は面倒くさい人間でして、新規の登場人物を嫌う傾向があるんです。こうした部活ものとかに顕著で、その小さなコミュニティがうまく機能していればいるほど、その楽しさに水をさすのではないか、危ぶんで、というより、もう本能的といっていい、新入のキャラクターに抵抗するんですね。けど、沙咲野みたく、最初から園芸部にこれだけ馴染みがあって、もうこんなにも仲良く、いやお兄ちゃんのこととなるとばりばり喧嘩腰ですが、そうしたやりとりも含めてうまく機能すること保証されてるだけに、ああ、園芸部はきっともっと面白くなる。そう感じたんですね。その予感あればこそ、沙咲野以外にも新入部員がいるかも、それが期待される。なんて思っているんですね。
さてさて、余興、あれ面白かった、ですが、沙咲野、なにをやったのだろう。気になります!
『箱入りドロップス』、真骨頂だな。この漫画の魅力、それを中心に据えて、ぐーっと押し出してくる。これは、もう、たまりません。もう、ほんと、なんといおうとも追い付かない、素晴しいです。しかし、ほんと、面白いですよね。パターンとしては、誕生日のサプライズパーティの一バリエーションになるのでしょうが、その準備の過程が最高でした。なんてったって、当日に誕生日を知る。準備ゼロだよ! それからの皆の奮闘ぶりが、ああ、雫は愛されてるのだなあ、見事に物語っていて、普通の人が送ってきた日常、普通のイベントを知らない雫に、いろいろ知らせたい、多く経験して欲しい、そんな皆の暖かさがあふれかえっていて、たまらない。ほんと、雫ですよ。皆、サプライズにするつもりなんてなかった。雫の誕生日と知って、急遽パーティやろうぜ、その一心で動きだすんですが、それを見ても、自分のために動いてくれてるとわからないんですね、雫って。祝われて当たり前とか思ってない。それどころか、誕生日を祝うという概念がないのかも知れない。そんな彼女が皆からお祝いされて、感極まって、内心を吐露して、もう、もう、たまらぬ。相ノ木、お前さんが落ちをつけてくれんだったら、あまりのことに死んでしまっていたかも知れぬ。ほんと、たまらぬ、幸いにあふれた屈指のエピソードでした。
『女子大生生活様式』、面白かったです。202号室、こよの部屋に集まるふたり。なりゆきでカレーとハンバーグつくることになって、って、すごいな、なんて豪勢なんだろう。どっちも一品でメインディッシュじゃんか。なんていう私は、ことねに似たところがあるのかも知れません。しかしことね、邪魔ばかりする。そんなことねを邪魔にして追い出したりせず、邪魔ながらちゃんと相手するとか、ねねはいい子だなあ。面白かったのは、ねねとことねがわいわいやってるのに今さら加われなくて、けどそれがさみしいもんだから、台所のすみで本読んでるこよい。わからんでもない。いや、ほんと、楽しい話、大変よかったです。なんでもない、夕食用意して皆で食べる、それが楽しい。よかったです。
『まどぎわクーリスト』、ゲストです。クールな女の子ふたりのやりとり。クールぶりたい島元さんと、実際クールな寿子さんですね。寿子にいわれて、やりたいことをリストアップする島元さんが可愛いですよね。基本真面目で小心者。だけどなのか、だからなのか、クール系不良に憧れたりなんかして、悪いこといわんからやめときなさいな、なんて思うんですが、その島元さんの寿子に相手してもらいたがったり、けどサボるとかできない、そんな真面目さ発揮させたり、いい感じではありませんか。どうも島元は寿子に甘えてるのかな? いいですよ。すごくいいですよ。
『コドクの中のワタシ』、おお、触手少女に名前がついたぞ! もう、ほんと、この子、可愛いなあ。さてさて、ぐれ子ちゃん、この子の不思議ないし奇妙な行動と、それを全部、そういうものなんだと肯定し納得させてしまうキャラクター、うまいこと動いてる、機能してるなあ、なんて思ったりしているところです。吸血鬼のリズもまたいい感じで、役割といってもいいのかも知れない。それをちゃんと全うしてる。エピソードを次へ次へと進める動因となり、またそのキャラクター性が発揮されることで、魅力を増し、読み手のうちに踏み込ませていく。そうした感じ、生きているという感じがするんです。この繰り返しがうまく彼女らの世界を色付けていっている、そう感じたんですね。
- 『まんがタイムきらら』第10巻第7号(2012年7月号)
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