まさかジャズ向けのマウスピースを買っちまうというのは予想外でした。
ええ、本当に予想外でした。だいたい、ソプラノサックスを買って、アルトと並行して練習する、それだけでもういっぱいいっぱいだっていってるのに、さらにここでマウスピースを増やして、しかもはじめてのジャズ向けときた。どう考えても時間が足りない、それ以前に体力がもたない。けれど、それでもやってみたかったんです。そのきっかけは、昨日いっていたArturo Schneiderのサクソフォン。アルトサックスなんですが、その音といい表現といい、強く感じ入るところがあって、あこがれですかね。無謀とわかっていながらも、やってみないでは気がすまなかったんです。
買ったのは、アルト用での定番といわれるらしいMeyerのラバーです。5MMという、一番標準的といわれるもの。なにぶん右も左もわからないジャンルのことですから、こういう場合にはみんなが使っているものを使うのが一番いいのです。スタンダードというものを知って、それで満足がいかないようなら、違うものを模索するようにする。それまでは、とにかくスタンダードに馴染むよう努力したほうがいい。そもそも、クラシック向けではバンドーレンのマウスピースを使っている私だって、最初はセルマーのC*使ってたんですよ。でも、それは息の入りの悪い、劣った個体であったそうで、ちょっと運の悪い出会いであったというのが口惜しいところであります。
マウスピースにも個体差がある。だから、実際に吹いて、複数の中から一番いいのを選ぶようにしたいものです。ですが、さっきもいいましたとおり、私にジャズ向けマウスピースのよしあしがわかるとは思えない。だから、割り切って通販で買いました。けど、そこはちゃんとプロ奏者による選定品を買っていて、こういう安心できる買い物というのはいいものです。というか、バンドーレンのマウスピースも選定品を出してくれないものか。Optimum AL3の選定品が出たら、その瞬間に買うけどな。それから、SL3も欲しいな。いやね、その後、楽器店まわってAL3何本あるかとか聞いてみたり、探す努力はしてるんです。けど、一本しかないっていうんだもんなあ。選択の余地なしですよ。この状況で買うというのは、正直気が進みません。本当に、なんとかならないものかなあ。愚痴ばっかりいってます。
購入したMeyer 5MM、もちろん吹いて試してます。リードもちゃんとジャズ向けのものを買って、最初は2 1/2にしようかと思ったけど、JAVAはトラディショナルよりも薄く感じられるそうだから、3番にしました。で、吹いてみて、いやはや、音がでかい。開きが大きいせいでしょうけど、息はどんどん入る。ほっといても鳴る感じなんだけど、逆にいえばまとまらない。それを柔軟といっていいのかどうかはわからないけれど、異質な吹奏感。けど、面白い。息の速度はあげぎみの方がいいのかも。切れのある、エッジの効いた音が出て、それは吹いてる自分が思っている以上にぽんと真っ直ぐ出ているらしく、だから心持ちセーブして吹いた方がよいのかも知れません。
高音の出がいいのは、マウスピースの特性なのか、それともこれが選定品だったからなのか、とにかく楽に出るという印象です。普段吹いているバンドーレンA20よりも高音の当たりはよくて、それはオーバートーン(フラジオとかアルティッシモともいうのだけど、高次倍音を使って、本来の音域以上の音を出す技法)においても同様。自分はこのへんの音域がとにかく苦手だったんだけど、それでもHigh C(実音だとHigh Eb)くらいまで苦労なしに出せて、これには驚きました。
運指、それから音の当て方に慣れれば、充分実用に足るなあ。なんだか楽しくなってきたぞ。
けど、マウスピースをジャズ向けのものにしたら、即ジャズの音が出るかというと、そんなに世の中は甘くないんです。ちゃんと音を作っていかないと、いい音にはなりません。多分、今はなんともいえない中途半端な音を出してることだろうと思います。まずよい音、理想の音をイメージして、吹きながら、現実を理想に擦り合せていかんといけないのですね。それが結構たいへんで、頑張ってるつもりだけどなかなか思うようにはいかないもので、もう投げたくなるんだけど、けどそうしたうまくいかなさも含めて音楽なのだと思います。だから、ジャズにどれだけ時間が割けるかはわからんけど、ちょっとずつでも、理想の音というものを模索していきたいと思います。
でも、一番いい練習方法は、セッションする、なんですよね。私はもっぱらひとりで吹いている、サックスひとりなんだけれど、それじゃ面白くないし、上達も遅いし。だから、なんとかセッションの機会を持ちたい。そんなこと考えています。
- Meyer Rubber 5MM Alto Saxophone Mouthpiece
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