2009年2月3日火曜日

天より高く

 後から気付くということは、やはりあるのです。ということで、今日も現津みかみ。扱うものは『天より高く』。実は、この漫画に関しては一旦買わないことを決めていて、よって発売日にはスルー。『まんがタイムきららフォワード』は購読しているし、だから単行本で読まなくってもいいかなって思ったんですね。しかしどうしても我慢できなくなって、遅ればせながら購入を決定。いやね、表紙がね、ちょっと気になったんです。ちょっと不機嫌そうなお嬢様がこちらに視線を投げ掛けていらっしゃる、そうした表紙であるのですが、そのお嬢様が素敵だなって思った。いや、本当。制服なんですけど、黄色いワンピースのその下にいかにも胴がありますよという質感があって、私はそうした身体というリアリティを憎んでいるはずだったというのに、これは確保しておかないと、後々悔やむことにもなりかねないぞ — 、そう思った。かくして、今手元に『天より高く』の1巻があるのです。

いや、しかしこの表紙はいい感じです。可愛いお嬢さんは、ちょっとふくれっ面でも変わらず可愛いのだなあ、と実感させられる表紙です。そして本を開けば、照れているのか、不安がっているのか、そうしたお嬢さんがまた可愛い。と、こんな風に可愛い可愛いと連呼するのも非常にあれなものがあるので、話を変えます。

この漫画が面白いのかどうなのか。正直、私にはまだそれを判断できるだけの材料がないといった感じです。好きか嫌いかでいうと、嫌いじゃないよ。そう答えます。だから、余裕があるなら、躊躇なく買いだった。けど余裕がなかったから、見送ろうとした。その余裕とは、貧困よりもむしろ部屋の収容力でありますね。いやあ、もうすごいことになってますから。このまま調子にのって、本、漫画を買い続けたら、どれくらいで寝るスペースがなくなるだろう。現実的にそのリミットが見えてきて、そうなると気持ちの余裕もなくなってくるから不思議です。そして気持ちに余裕がなくなれば、買おうかなどうしようかなという迷いにおいて、買わないという選択肢が浮上することにもなるというのです。

『天より高く』もまさにそうしたお話であります。超お金持ち学校に通うお嬢様、西園寺遥がひょんなことから身を持ち崩す。そのゆきつく先は、学園唯一なのか? 苦学生の近衛浩之のもと。幼くして親を亡くした彼は、それは絵に描いたような赤貧で、そこへ贅沢のかぎりをつくしてきたお嬢様が転がりこんできた! しかも借金付きで!

私がこの漫画が結構嫌いじゃないというのは、お嬢さんが表情豊かで、またいい感じに人が悪くって、そうしたところが気にいっていたからでしょう。けれど、面白いかどうかまで踏み込まないのは、現時点ではまだ導入段階が過ぎたところといった感じで、動く余地は充分にあるし、膨らみもするだろうけど、正直まだわからん。ゆえに迷った。それに、お嬢さんが転落するきっかけとなった借金、というか損害か、それが2000万ぽっちというのはどうかと。ひろくんや私みたいな庶民ならともかく、お嬢さんのお家なら、個人資産でなんとかなりそうな額じゃなくて? 2000万なら、国家予算どころか、地方自治体級って感じじゃないかと思って、せめて一桁、できれば二桁くらい上だったらよかったのに……。

といった、重箱の隅をつつくようなことはどうでもいいのでありまして、気になるのは今後の展開。ひろくんを取り巻く女性たち、ちょっとしたハーレム環境が加速するのか、それともお嬢さんが苦労を通してその魅力を深めていくことになるのか、そうしたところに期待をしたいと思います。

  • 現津みかみ『天より高く』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

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